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狂い始める歯車

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黒井、恵梨香、そして名鳥に狩野までもが驚いた様子で、上空から舞い降りた赤マントを見ていた。


「や、やれやれ……冗談きついね。あんた達はバベルの塔に向かったはずだろ、夢咲実沙希。それも随分昔にだ」


公園で軽く手合わせをした時に、確かに夢咲は四天王を育てたと言っていた。


つまり、名鳥や狩野と顔見知りどころか、師匠とも呼べる人物なのだろう。


「そうだ。そして戻って来なかった。たとえ姿が変わろうと、その目は変わらないな、武藤ナンシー」


恵梨香もまた、武藤のことは話していた。


バベルの亡霊と。


「今更何の用だ穂鷹矢白。その姿……お前らは死んだ人間だな? 死んで街のシステムの一部になったやつらが、生きている人間の邪魔をするつもりかよ!」


穂鷹が、黒井、そして新崎と奈央の師と呼ぶべき人物だと真治は聞いていた。


ここに、過去にバベルの塔を目指した人達が、その人達に関係の深い人達が集まっていたのだ。


「……お前達は強くなった。だが、まだ足りない。それでは俺達の二の舞だ。あの塔の中にいるモノには敵うまい」


「かーっ! 回りくどい言い方するなよ穂鷹! 素直に無駄な喧嘩は辞めろって言えばいいだろ。こいつらがまともにぶつかれば、確実に誰かが無駄に命を落とすってな!」
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