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狂い始める歯車

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「池上……池上政晃か? 西軍だったらそうだよな。こりゃまた、とんでもないやつが次から次へと……ボウズの周りはどうなってんだ?」


そう言われても真治には答えようがない。


真治と言うよりは、恵梨香の周りに強い敵が集まっているような気がするから。


「もしもそうだとすると、吹雪や奈央が危険だな。やつは西軍以外の人間には容赦しないだろう。そして、敵軍の人間と一緒にいた雪子達も危ない」


恵梨香の言葉を聞いて、俺はまだ言っていないことを思い出した。


理沙の死があまりにショックで。いや、奈央から続く死の連鎖が辛くて思い出したくなかったのかもしれない。


「奈央さんは……PBMを破壊されて死にました。俺が守れなかったんです」


ポツリと呟いて、胸がまた苦しくなる。


結局、奈央も理沙も、自分が守れなかったから死んだんだと責めてしまう。


どれだけ普通に振舞おうとしても、それを考えると気分が沈んでしまうのだ。


そんな真治に気付いたのだろうか。


恵梨香がポンッと背中を叩いて、何も言わずに手を当ててくれている。


そんな中で、名鳥のPBMから声が聞こえた。


『順一、猿江恩賜公園、光の壁に近いから人も少ないし、そこが良いと思うんだけど』


ポケットからPBMを取り出して、返事をした名鳥は、その場に立ち上がって俺に視線を向けた。
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