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十三階段

六段目

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「な、なんで……階段がないの……そ、そうだ!  他の階段に行けば!」


思い付いたように振り返って、廊下の奥を見たリアは……その予想外の光景に絶望してしまった。


廊下の先。2-7の教室より奥には、壁があって行くことが出来なかったから。


なぜかはわからないが、2-7の教室とその前の廊下。そして上へと続く階段だけが存在しているのだ。


まるで夢でも見ているような、そんな不気味さと奇妙さを感じる。


「も、もしかして、ここから出るには黒板に書かれていたことを実行するしかないのでしょうか……三階にある階段の、十三段目を踏むしか」


ミキが怯えた声を出すと、我に返ったソウゴが小さく舌打ちをして俯いた。


「なんだよこれ……不良の俺には罰が待ってるってか!?  冗談じゃねぇ!  どんな罰か知らねぇけど、俺は行かねぇからな!」


「ソウゴくん……」


黒板に書かれていた文字は、傍から見たらソウゴを罰する為にあるようなものだと誰もが思うだろうから。二人もその気持ちは痛いほど理解していただろう。


「だ、だけど……ここから出るにはそれをするしかないですよね。まさか、夢だと思って目が覚めるまでここにいるつもりですか?  わかりますよね?  夢じゃないってことくらい」


ミキが言うように、明らかにこれは夢ではないというのがわかる。夢特有の不思議な感覚はあるものの、それ以外の感覚は現実のものと同じなのだから。
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