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十三階段

七段目

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どれだけ考えても、他にこの学校から出られる手段が浮かばない。廊下の両端は壁で塞がれて下り階段は消えて黒い空間が広がっている。


「……どうしようもないってのかよ。自分の悪事に震えて階段を上れってわけか」


ゆっくりと顔を上げたソウゴが、顔を歪めて階段を見た。


それを見て、リアが呆れたように首を横に振り、ため息混じりに声を出した。


「そう思うなら、普段から真面目に生活していれば良いのに。先生に目を付けられるような不良だから、こういう時に困るんじゃない」


学級委員で優等生のリアからすれば、多少なりともソウゴに思うところはあるのだろう。それがこの場で言葉となって飛び出したが、ソウゴはそれに反論すら出来ない。


仕方なく歩いた階段。踊り場までやって来て見上げた三人は……言葉を失った。


異様な雰囲気を感じる。三階から這うように下りてくる冷気が身体にまとわりついて、いよいよその時が来たのだと嫌でも理解させられる。


さらに、その階段の最上段。どこからか吊るされている、輪っかになったロープが三人の目に映ったのだ。


「つ、罪の罰ってまさか……死」


「や、やめてよミキくん!  いくら何でも嘘でしょ……これが罰なの!?」


二人が慌てる横で、その恐怖をこれでもかと言うくらいに感じているのはソウゴだった。


自身が視線の先にぶら下がるロープに首を吊られて、揺られている姿が脳裏を過ぎったから。

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