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トイレの花子さん

十一個目

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「な、何……」


何とか絞り出した声。


ミラの示す先に目を向けた三人も、小さく「ひゃっ」と声を上げた。


冷気が肌を突き刺すような錯覚に陥りそうな中、神経がキリキリと締め上げられる感覚に包まれて……全員の視線の先にそれはいた。


干からびた身体。


確実に死んでいるのがわかるのに、死体が立っていて。


あまりにも不気味なその姿に、コハナが逃げ出そうと後退りした瞬間。


メグミが入っている個室のドアに張り付き、とんでもない速度でよじ登って個室の中に入って行ったのだ。


「あ、あ……メ、メグミ!」


思わずミラが声を上げたが、中にいるメグミは何も気付いていないのか、まだドアを開けようと必死になっている。


「どうして開かないの!?  どうして……え?  な、何……何が……」


そんなメグミの声が聞こえた。


何かに気付いたような……そんな感じの声だった。


そして。


「え、何。やめてよ……本当に怖いんだから……何がどう……ぶべっ!!」


潰れるような声と共に、グチャッという本当に何かが潰れたような音が聞こえた。


ビチャッと、液体が飛び散るような音も響いて。


しばらくすると、個室の床とドアの隙間から、赤黒い血が流れ出てきたのだ。


「こ、これって……じゃあさっきの音は……」


アイラがその血の量を見て、ただ事ではないと焦りの声を漏らした。


カチャッ……と、何かの役目を果たしたかのように鍵は開いて、個室のドアがゆっくりと開いた。
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