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テケテケ&音楽室の怪
十五曲目
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教室がある棟に入ると、相変わらず真っ暗。
避難口誘導灯の緑の光があるのが救いだったが、その下に何やら黒い液体が。
近付いてよく見ると赤い。
そして、その上には上半身だけの女の子が横たわっていて、キョウジは全身の皮膚を切り裂かれるような恐怖の中で小さな悲鳴を上げて、腰を抜かしてしまった。
「テ、テケテ……ケテケテ……で、出た出た出た……」
震えて声もろくに出せないが、その声に反応して女の子がキョウジに顔を向けて手を伸ばした。
「キョ、キョウジくん……お願い、助けて……」
それは、テケテケではなくヒナタだった。
「え、ええ!? ヒ、ヒナタさん! な、なんで……」
腰が抜けて、這ってヒナタに近寄ったキョウジは、その伸ばされた手を恐る恐る握った。
「あんたが言ってた……幽霊にやられちゃった……お願い、助けて……」
「幽霊……やっぱりテケテケが。ああ! でもどうしよう! 助けてと言われても、どうやったらいいか!」
切断された部分からは、血や内臓が出ていて、中学二年生のキョウジにはとてもではないが助けられるはずがなかった。
「痛いんだよ……痛くて痛くてたまらないのに。腰から下がないのに……死ねないんだよ。お願い助けて。それが無理なら……殺して……早く」
よほど辛いのだろう。苦悶の表情を浮かべて、ポロポロと涙が頬を伝って流れ落ちて。
握られた手に力が入る。
だが、どちらの要望もキョウジに応えられるはずがなかった。
避難口誘導灯の緑の光があるのが救いだったが、その下に何やら黒い液体が。
近付いてよく見ると赤い。
そして、その上には上半身だけの女の子が横たわっていて、キョウジは全身の皮膚を切り裂かれるような恐怖の中で小さな悲鳴を上げて、腰を抜かしてしまった。
「テ、テケテ……ケテケテ……で、出た出た出た……」
震えて声もろくに出せないが、その声に反応して女の子がキョウジに顔を向けて手を伸ばした。
「キョ、キョウジくん……お願い、助けて……」
それは、テケテケではなくヒナタだった。
「え、ええ!? ヒ、ヒナタさん! な、なんで……」
腰が抜けて、這ってヒナタに近寄ったキョウジは、その伸ばされた手を恐る恐る握った。
「あんたが言ってた……幽霊にやられちゃった……お願い、助けて……」
「幽霊……やっぱりテケテケが。ああ! でもどうしよう! 助けてと言われても、どうやったらいいか!」
切断された部分からは、血や内臓が出ていて、中学二年生のキョウジにはとてもではないが助けられるはずがなかった。
「痛いんだよ……痛くて痛くてたまらないのに。腰から下がないのに……死ねないんだよ。お願い助けて。それが無理なら……殺して……早く」
よほど辛いのだろう。苦悶の表情を浮かべて、ポロポロと涙が頬を伝って流れ落ちて。
握られた手に力が入る。
だが、どちらの要望もキョウジに応えられるはずがなかった。
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