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怒りの二宮金次郎像
十五冊目
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やっとの思いで辿り着いた最上階から離れ、向かうは校庭にある破壊された二宮金次郎像。
教室の窓から見られないように、屈んで足音を立てないように移動する。
そして到着した二宮金次郎像の前。
ブルーシートが掛けられていたが、キョウスケは容赦なくそれを剥ぎ取って、像の姿を露わにした。
普段は特に気にもしないただの像だが、こうして改めて見ると、異様な雰囲気さえ感じる。
「これ……血? 首が折れて、そこから血が出たの?」
「何言ってんだよアンナ。首が折れて、Aがバランスを崩してここで頭を打ったんじゃねえの? その時に付いた血だろ……多分」
コウセイがアンナの言葉を否定するが、そう言われなければ折れた首から血が出た……と言われても不思議ではない場所に血が付着している。
「……てかよ、なんでAはこんな像の上に乗ってたんだ? 俺達が見てたってことは……Aが調子に乗ってただけなのか?」
キョウスケが顔をしかめてその時のことを思い出そうとするが、記憶もなければAがどんな人物だったかもわからないのだから、答えがわかるはずもない。
「そんなお調子者だったら忘れる? それに、何か気になるんだよね。昨日のクラスのやつらの態度。それだけ目立つクラスメイトが死んだら、普通もっとショック受けない? なのになんだか違うというかさ……」
教室の窓から見られないように、屈んで足音を立てないように移動する。
そして到着した二宮金次郎像の前。
ブルーシートが掛けられていたが、キョウスケは容赦なくそれを剥ぎ取って、像の姿を露わにした。
普段は特に気にもしないただの像だが、こうして改めて見ると、異様な雰囲気さえ感じる。
「これ……血? 首が折れて、そこから血が出たの?」
「何言ってんだよアンナ。首が折れて、Aがバランスを崩してここで頭を打ったんじゃねえの? その時に付いた血だろ……多分」
コウセイがアンナの言葉を否定するが、そう言われなければ折れた首から血が出た……と言われても不思議ではない場所に血が付着している。
「……てかよ、なんでAはこんな像の上に乗ってたんだ? 俺達が見てたってことは……Aが調子に乗ってただけなのか?」
キョウスケが顔をしかめてその時のことを思い出そうとするが、記憶もなければAがどんな人物だったかもわからないのだから、答えがわかるはずもない。
「そんなお調子者だったら忘れる? それに、何か気になるんだよね。昨日のクラスのやつらの態度。それだけ目立つクラスメイトが死んだら、普通もっとショック受けない? なのになんだか違うというかさ……」
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