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怒りの二宮金次郎像

十六冊目

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アンナの言葉は四人を悩ませた。


確かに、昨日のクラスメイトの様子から察するに、クラスの中で目立つ存在が死んだという印象はなかったからだ。


クラスメイトの死というショッキングな出来事に対する反応はあっただろうが、それでも昨日は事故の翌日。


それほど引きずっている生徒はいなかったようにも思えた。


「アンナちゃんの言うことはわかるな。皆が薄情なのか、それともAに僕達が知らない何かがあるのか。この二宮金次郎像の呪いなのか……今はまだ何もわからない」


結局、二宮金次郎像を見に来ても何もわからなかった。


カミキがそう呟いた後、不思議そうにコウセイが首を傾げて口を開いた。


「あのさ、これの頭はどこ行ったわけ?  Aがこれの頭の上に乗って、首が折れたんだろ?  だったら折れた頭はどこ行ったんだよ」


「さあ?  警察が持って行ったんじゃないの?  知らないけど、ここにないってことは職員室か警察だと思う」


ミハネは適当に言ったつもりでも、なるほどと納得出来る回答だった。


処分するつもりでも修理するつもりでも、ここに置いておく理由がない。


修理するつもりなら尚更、これ以上破壊されないように保管しておくだろうから。


「だったら……何もわかんなかったな。何がどうなってるんだよ。まったく」


絶望に打ちひしがれて、キョウスケは吐き捨てるようにそう言ったが……五人に迫る絶望は、これからが本番だということを、まだ誰も知らなかった。





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