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4話
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「今日はこの宿に泊まろう」
タウンハウスのある首都まで距離があるので、この町に逗留することになった
。
夕食まで特にすることが無いので、部屋で本を読んでいるとスチューがやってきた。
「外に食べに行かない?」
「はしたないって言われるわ」
貴族でも男性は自由が利くが、未婚の令嬢は自由に歩き回るなどなかなか出来ないなか、私はお父様に管理され更に自由に出掛けたり出来なかった。
大丈夫と言ってスチューは平民が着るような装飾のないワンピースを見せた。
「でも……」
「何? 着替えさせて欲しいって」
「そ、そんなこと言ってないわ」
「早く着替えないと脱がすよ」
スチューは私を抱き寄せ、ドレスのホックを慣れた手付きで外した。
「わかったから、出って!」
慌てて叫けぶと彼はケラケラと笑って部屋から出ていった。
私が着替えて部屋から出ると、スチューが待っていた。
可愛いと言って抱きしめ、耳元で囁いた。
「おぼこい村娘をいいようにするシチュエーションも興奮するよね。行こっか」
私は貞操の危機を感じる暇もなく、手を繋がれ街に出た。
夕食時だからか、料理の匂いが所々に漂っていた。
夕焼けが夜に侵食されていく様子が綺麗だと思った。
「こんなに遅くに街になんて初めてきたわ。賑やかなのね」
「今日は休日だからじゃないか」
夜は夜会ぐらいしか出ないので、思ったよりも活気があり新鮮だった。
噴水のある広場に到着した。露店や屋台などがあり、大道芸人がジャグリングをしている。吟遊詩人が歌を歌い、奏でるリュートに合わせて人々が踊っていた。
「見たことないものがいっぱいだわ」
「ここで待ってて。何か買ってくるよ」
私が頷くとベンチに座らせて、屋台に向かっていった。
「はいこれ」
スチューが私の髪にマドンナリリーの生花で作られた、髪飾りを髪に指した。
男性自ら花を貰ったのはこれが初めてだった。憧れていたから嬉しいけど、素直に言葉にするのは慣れてないし、どんな顔をすればいいのかわからず顔が曇ってしまう。
「あまり好きじゃなかった?」
「そんなことないけど…慣れてなくて、どう反応すればいいのかわからないの」
「じゃあさ、今日は宿に帰るまで本音で話そう。嘘ついたら、相手の言うことを何でも聞くこと」
「えぇっ! 嫌よ」
「無茶なお願いはしないからさ。ねっお願い」
スチューが私の顔を覗き込む。こんなに上目遣いの似合う男性がいる? ってぐらいの顔で頼み込むから、思わず頷いてしまう。そう言えば、うちの養子になって小綺麗になったとき、好みの顔でドキドキしてしまったことを思い出した。そのうち顔を見るのは慣れたけど、こんなに至近距離はずるい。慣れてない。っていうか、男性がこんなに近くにいたら誰でもそうなってしまうだろう。お義兄様が特別じゃない。
「あーキスしたい」
「嘘でしょ?」
「何が?」
「こんな公衆の門前で恥ずかしいじゃない!」
「ああ、そっちか。いっつも思ってたよ。ロージィがワイングラスに口づけるときとかさ」
「嘘でしょ! 普通、そんなこと思わないでしょ!?」
「二十歳の性欲舐めんなよ。もっとエロい事いっつも考えてるんだぞ」
スチューがいつもはしゃいでる令嬢に囲まれて、楽しそうにしてたことを思い出し冷めた気持ちになった。
「どうせ誰にでも言ってるんでしょう?」
「それは否定出来ないが、キスしたいのもやりたいのもロージィだけだし、何でもしてやりたいのもロージィだけだよ」
真摯な眼差し。私の好きなエメラルドグリーンの瞳が捉えて離さない。片頬の包む大きな手、エメラルドが近付いて、柔らかな感触が唇に触れた。
タウンハウスのある首都まで距離があるので、この町に逗留することになった
。
夕食まで特にすることが無いので、部屋で本を読んでいるとスチューがやってきた。
「外に食べに行かない?」
「はしたないって言われるわ」
貴族でも男性は自由が利くが、未婚の令嬢は自由に歩き回るなどなかなか出来ないなか、私はお父様に管理され更に自由に出掛けたり出来なかった。
大丈夫と言ってスチューは平民が着るような装飾のないワンピースを見せた。
「でも……」
「何? 着替えさせて欲しいって」
「そ、そんなこと言ってないわ」
「早く着替えないと脱がすよ」
スチューは私を抱き寄せ、ドレスのホックを慣れた手付きで外した。
「わかったから、出って!」
慌てて叫けぶと彼はケラケラと笑って部屋から出ていった。
私が着替えて部屋から出ると、スチューが待っていた。
可愛いと言って抱きしめ、耳元で囁いた。
「おぼこい村娘をいいようにするシチュエーションも興奮するよね。行こっか」
私は貞操の危機を感じる暇もなく、手を繋がれ街に出た。
夕食時だからか、料理の匂いが所々に漂っていた。
夕焼けが夜に侵食されていく様子が綺麗だと思った。
「こんなに遅くに街になんて初めてきたわ。賑やかなのね」
「今日は休日だからじゃないか」
夜は夜会ぐらいしか出ないので、思ったよりも活気があり新鮮だった。
噴水のある広場に到着した。露店や屋台などがあり、大道芸人がジャグリングをしている。吟遊詩人が歌を歌い、奏でるリュートに合わせて人々が踊っていた。
「見たことないものがいっぱいだわ」
「ここで待ってて。何か買ってくるよ」
私が頷くとベンチに座らせて、屋台に向かっていった。
「はいこれ」
スチューが私の髪にマドンナリリーの生花で作られた、髪飾りを髪に指した。
男性自ら花を貰ったのはこれが初めてだった。憧れていたから嬉しいけど、素直に言葉にするのは慣れてないし、どんな顔をすればいいのかわからず顔が曇ってしまう。
「あまり好きじゃなかった?」
「そんなことないけど…慣れてなくて、どう反応すればいいのかわからないの」
「じゃあさ、今日は宿に帰るまで本音で話そう。嘘ついたら、相手の言うことを何でも聞くこと」
「えぇっ! 嫌よ」
「無茶なお願いはしないからさ。ねっお願い」
スチューが私の顔を覗き込む。こんなに上目遣いの似合う男性がいる? ってぐらいの顔で頼み込むから、思わず頷いてしまう。そう言えば、うちの養子になって小綺麗になったとき、好みの顔でドキドキしてしまったことを思い出した。そのうち顔を見るのは慣れたけど、こんなに至近距離はずるい。慣れてない。っていうか、男性がこんなに近くにいたら誰でもそうなってしまうだろう。お義兄様が特別じゃない。
「あーキスしたい」
「嘘でしょ?」
「何が?」
「こんな公衆の門前で恥ずかしいじゃない!」
「ああ、そっちか。いっつも思ってたよ。ロージィがワイングラスに口づけるときとかさ」
「嘘でしょ! 普通、そんなこと思わないでしょ!?」
「二十歳の性欲舐めんなよ。もっとエロい事いっつも考えてるんだぞ」
スチューがいつもはしゃいでる令嬢に囲まれて、楽しそうにしてたことを思い出し冷めた気持ちになった。
「どうせ誰にでも言ってるんでしょう?」
「それは否定出来ないが、キスしたいのもやりたいのもロージィだけだし、何でもしてやりたいのもロージィだけだよ」
真摯な眼差し。私の好きなエメラルドグリーンの瞳が捉えて離さない。片頬の包む大きな手、エメラルドが近付いて、柔らかな感触が唇に触れた。
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