こんなもんだろう

かぁくん

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一章15 舞美の気付き。舞の涙

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舞美「ねぇ今日心来ないのぉ?」
舞「大晦日だし来ないんじゃない?」
舞美「そっかー」
舞「何?寂しいの?」
舞美「えーー。寂しい。えみちゃんも寂しいよね?」

えみは頷いた。

舞美「そうだ。昨日気付いたんだけどえみちゃん、もうひらがな書けるよねー?」

えみが頷く。

舞美「そうだよね!?」

えみは不思議そうな顔で舞美を見る。

舞美「お母さん!紙と鉛筆!」
舞「えー?何で?」
舞美「早く!お母さんも来てぇー」

舞が台所から小さなメモ帳を持って来てこたつに入る

舞「何?何するの?」
舞美「えみちゃん、今日は何食べたい?」
舞「あ」

えみは首を傾げる。

舞美「ほら、紙に書いて?」

えみ(あ)

えみが紙にえんぴつで書く。

えみ【何でもいい】

舞美「ほら!どう!?どうよ!」

そう言うと舞を見た。
舞の目から一筋の涙が流れていた。
そしてどんどん涙が溢れて舞は肩が震えていく。

舞「舞美でかした。でかした」

舞美は黙ってしまった。
えみは不思議そうな顔で舞を見ていた。
しばらくするとえみが舞に近づき抱きついた。

舞「えみちゃん、本当に食べたい物ないの?」

えみが頷く。

舞「紙に書いてみて」

えみ【ない】
舞「サンタさんからのプレゼントはあれでよかったの?」
えみ【うん】

舞美「いやいやお母さん泣きすぎだから」
舞「いや、泣かない方がおかしいから」
舞美「そう?気づかないのもおかしいけどね」
舞「だって誰からも言われなかったし、あんまり困ったりもしなかったから」
舞美「ふーん。えみちゃん?これからは言いたい事は紙に書くんだよ」
えみ【わかった】
舞美「よし。じゃあお母さんはご飯作って」
舞「舞美、何食べたい?」
舞美「肉」
舞「ない」
舞美「なんだよ!!」



元旦

舞美「今日は心来るよねー?」
舞「知らない。親戚まわりとかするんじゃない?」
舞美「えー。せっかくお年玉持って来たのに。えみちゃんも起きて来ないしつまんない」
舞「それより、陣君は来ないの?」
舞美「え、まぁ」
舞「そ」
舞美「お父さんは?」
舞「パチンコ」
舞美「パチンコ!?元旦なのにパチンコ行ってんの?」
舞「本当だよ!元旦に普通行かないよね!?信じられない!」
舞美「お父さん今日機嫌いいかなー?」
舞「どうだろうね?いいんじゃない?」

すると玄関が開く音がした。
舞美が背筋を伸ばした。

元気「おお、舞美来てたのか。陣君は?」
舞美「あぁ、今年は来ない」
元気「そうか。寂しいな」
舞美「あのさー、お父さん。チョット座って」
元気「なんだ、何かあったか?」
舞美「お母さんも来て」
舞「分かったよ」
舞美「私さぁ、子供ほしい」
舞「うん。知ってる」
舞美「陣君も欲しがってる」
舞「うん」
舞美「それでね、2人で話し合ったの」
舞「うん」
舞美「別れる事にした」
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