6 / 6
2
2
しおりを挟む*** ***
「蒼護っていくつなの?」
「24かな?生きてたら38かな」
「じじいじゃん。」
「失礼な。見た目は子供、頭脳は」
「変わってねーだろうな」
栗色の髪がまだ若々しく、笑みを浮かべたままの蒼護が皺の増えている姿は想像に難がある。
「まだイケるかな?」
本当に蒼護の発言は手に余る。何と返したら良いか、これが年の差というものなのか。
「冗談、じょーだん。もうそんなお話出来るようなオトシゴロじゃないよ」
「変わったのな、蒼護も俺も」
「何言ってんの。安春はこれからじゃん」
「…」
「…」
当たり前のように言われると冗談なのか本心なのか見当がつかない。しかし多分今まで蒼護が真面目に安春に対して生きていることを羨んでいる発言は無かった。
「…またそうやって、からかいやがって」
隣に座る蒼護の肩を掴み、ぐいと引き寄せると、妖艶な雰囲気に包まれた。
「…生きてたら、俺らどうなったんだろ」
「…まだ俺も血の気あるんだなぁ」
安春は思わず笑ってしまった。
「そーご、ほんと笑わせないで」
安春のツボに入り、蒼護の余り有るブラックジョークに爆笑してしまう。そんな笑いとる霊がいるか?安春は顔を背けくっくと笑いながらも、蒼護の体を安春の膝の上に乗せた。(霊だからか難なくというかとても軽い)
「わっ」
「こっちのせりふだっつーの」
また爆笑してしまう。
そしてひとまず安春のツボが落ち着いた頃、まだ時間も夕暮れ時だったので日の入りをぼんやりと見ながら話を続ける。夜になったら蒼護の体はどんな風に見えるのだろう?
安春のふとした疑問は頭の片隅に置かれる。
「生きてたころ何してたの?」
「大学卒業して、すぐだからなぁ。社会人デビューちょっとした頃だよ」
「ふぅん…、社会人かぁ。想像つかねー」
「安春は温厚だからなー。きっと誰とでもうまくやれるよ」
「…温厚?そーでも無いけど」
そんな風に取れるのは蒼護が相手だから。…そう思ったが口には出さない。
お互い沈黙が続いた。あっという間に日が暮れる。そろそろ帰ろう、安春はそう思った。
「また来ていい?」
「またぁ?しょうがないなー」
安春はまた顔を背けて笑いを堪える。
「じゃ、また明日」
「うん、またね」
次は絶対に。安春は心に決めて体を起こす。
「あっ、ちょっといきなり立たないでよ」
そんな捨て台詞を後に手を振りながら蒼護に見送られた。
歩きながら、振り返ると蒼護はまだ手を振っていた。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
届かない「ただいま」
AzureHaru
BL
いつも通りの変わらない日常のはずだった。
「行ってきます。」と言って出て行った貴方。1日が終わる頃に「ただいま。」と「おかえり。」を笑顔で交わすはずだった。でも、その言葉はもう貴方には届かない。
これは「優しさが奪った日常」の物語。
『定時後の偶然が多すぎる』
こさ
BL
定時後に残業をするたび、
なぜか必ず同じ上司が、同じフロアに残っている。
仕事ができて、無口で、社内でも一目置かれている存在。
必要以上に踏み込まず、距離を保つ人――
それが、彼の上司だった。
ただの偶然。
そう思っていたはずなのに、
声をかけられる回数が増え、
視線が重なる時間が長くなっていく。
「無理はするな」
それだけの言葉に、胸がざわつく理由を、
彼自身はまだ知らない。
これは、
気づかないふりをする上司と、
勘違いだと思い込もうとする部下が、
少しずつ“偶然”を積み重ねていく話。
静かで、逃げ場のない溺愛が、
定時後から始まる。
息の仕方を教えてよ。
15
BL
コポコポ、コポコポ。
海の中から空を見上げる。
ああ、やっと終わるんだと思っていた。
人間は酸素がないと生きていけないのに、どうしてか僕はこの海の中にいる方が苦しくない。
そうか、もしかしたら僕は人魚だったのかもしれない。
いや、人魚なんて大それたものではなくただの魚?
そんなことを沈みながら考えていた。
そしてそのまま目を閉じる。
次に目が覚めた時、そこはふわふわのベッドの上だった。
話自体は書き終えています。
12日まで一日一話短いですが更新されます。
ぎゅっと詰め込んでしまったので駆け足です。
氷の檻に閉じ込められた月~兄上のすべては、私のもの~
春野ふぶき
BL
『兄上は私のものだ。魂も、肉体も。永遠に―—』
アーヴェント侯爵家の長男ライカは、妾腹として正妻に虐げられ続けてきた。
唯一の救いは、次期当主を目される異母弟カイエンの存在。
美しく聡明で、氷の騎士と呼ばれる彼だけは、常にライカの味方だった。
だが、その愛情は兄を守るものではなく、深く歪んだ執着だった。
母を排除し、兄を囲い込み、逃げれば鎖で捕らえる。
そしてついに、ライカの心身は限界に追い詰められていく。
——カイエンが下す「最後の選択」とは。
ふたりが辿る結末は、幸福か、それとも狂気の果てか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる