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しおりを挟む「あのっ一目会いたくて…」
「佐藤~客だけどぉー」
「はぁ~?誰」
佐藤と呼ばれた男がめんどくさそうに返事をする。
「知んねーよ」
「めんどくせーから連れてこいよ」
漫画のヤクザの事務所のような会話に、ドキドキする。不良同士とはこういう会話ををするのか。眉毛の薄いロン毛の先輩の後に続き勇二と馨は歩を進む。自分がなぜ今ここにいるのか頭が真っ白になりそうだった。
「入部届けですって」
「ガキかよ」
「⁈」
先ほど見た赤い髪の駿が興味なさそうに足元のジュースを飲んだ。そして何も言わない馨の方を一瞥すると、片方の眉が釣り上がる。
「さっきのじゃん」
「駿知り合い?」
目が合い、どきりとする。
「眼鏡は?」
「あの…置いてきました」
その赤い髪の先輩を前にするのに、眼鏡は不適切な気がして正直にそう白状する。ただでさえ女顔の馨にかかる色素の薄い髪は、目が隠れてしまいそうな伸びた前髪や細い髪質から、ぶすぶすと耳横にピンを止めていて、自分でいうのもなんだが首から上が全体的に邪魔くさそうなのだ。
女顔にピンに眼鏡と清廉な馨の雰囲気は、赤髪の先輩を前にするには不思議ちゃんのように映るだろう。
駿の隣に静かに佇んでいたグレーアッシュの髪の二重の聡明そうな男が、二人のやりとりを見て薄い微笑を浮かべながら口を開く。
「ボクたち、このおじさんは危ない人だからね」
男に、まるで幼稚園児を相手にするような態度を取られ、ヤンキーとは全く関わり合いになった事の無い馨もさすがにムッとする。二人は年上の3人とはゆうに頭一つの身長の差がある。しかし、年は一つか二つかという違いで、大差があるわけではないのだ。
「先輩と一緒の部活に入りたくて。先輩達って何部なんですか?」
「⁈」
先ほどの眉毛の薄い男が言った話のネタで進めようとする勇二に、馨は驚いて勇二の方
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