猫山さんは犬上さんが好きでたまらない

歌華

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番持ち

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部屋に戻って扉を閉める。
「真琴!」
「真白!」
俺と真琴はぎゅーっと抱き締め合いお互いの存在を確認する。あぁ・・・・・・真琴の鼓動が聞こえる。
「もう契約済みなんてな・・・・・・」
「そうだね俺達ずっと前から出逢うべくして会ったんだね」
そしてゆっくり真琴が近づいてくる俺はゆっくり目を閉じて真琴を待つ。触れ合う唇ゆっくりゆっくり俺達は魂の繋がりを確認しあった。

夜。夕飯時に桃理くんに俺と真琴は魂の番なのを話した。桃理くんはすぐ検査してと簡易検査キッドを持ってきた。
簡易検査キッドには小さな針と両端にお互いに血を流し入れる穴が付いていて魂の番同士なら線が二本出ると言う簡易的なものだった。

その結果線が二本出た。決定だった。俺は正直嬉しくてニヤニヤしていたかもしれない。
このキッドは犬上家が明治くらいに発明したらしく、改良に改良されどんどん精度が上がり千年くらい前の契約でも採血しなくてもこのキッドで分かると言う代物だった。

「ま、真琴にいちゃんを不幸にしたら許さないから!」
そう捨て台詞をはいて自分の部屋に掛けていった。魂の番の契約がいかに特別なものかを彼なりに理解しているんだろうと思った。
「よかったね!」
「はい!」
「真白くん!よかったね、真琴をよろしくね?」
札幌の病院に勤めている桃理くんのお兄さんの悠一ゆういちさんが駆け付けてきてくれて祝福してくれた。健一郎さんは柔道の練習で余り話す余裕無かったけど佑子さんが連絡したみたいで、電話の先の声は心なしか震えていた。
桃理くんにはお兄さんとお姉さんが居て。お姉さんの方は琴葉ことはさんと言うらしい。琴葉さんは看護師でもう人間とお付き合いして人間と結婚しているらしい。子供も居るけど幼いせいで今回は来れないと言う話らしく少し残念だった。真琴の名前は琴葉さんから『琴』と言う字を貰ったらしい。
ちなみに真琴のお姉さんは『とう』さんと言う人で桃理くんは真琴のお姉さんから貰った名前らしい。なにげに分家の中でも真琴の家とこっちの本家の家は近しい関係の間柄なのかもしれないと思った。お爺さんが家の源一さんってのもあるみたいだけど・・・・・・源一さんはどうやら猫山家の中で結構血の力の強い人らしくそれは真琴のお父さんの創也さんや健一郎さんをみれば何となく察した。
家の父さんも創也さんを近くに置いたのはもしかしたら源一さんの事で後ろめたさもあったのかもしれない。
「ありがとうございます!」
「まあ飲んで飲んで!真琴も!」
「悠一兄さん酔いすぎじゃない?」
「だって同じ爺さん同士が番なんてなんかドラマチックだろ?運命に導かれて~♪」
かなり酔っているな~、悠一さん。
「まぁ、真琴も猫っぽいとこありますもんね」
俺もお酒をたしなんで少しほろ酔い状態だった。
「やっぱりそうなの?分かるもん?」
「はい。気分屋だし、好きな人以外の束縛も嫌がるし、足音一切しないし」
「あ~俺も嫁に足音しなくてビビられる~!俺の嫁は犬上の違う分家ので薬剤師だけど足音五月蝿いんだよ~、やっぱり俺は猫の血なのかね~?」
「そうかもしれないですね」
俺と悠一さんがにこにこ話していると真琴がどんどん不機嫌になるの感じていた。
「悠一兄さん!真白にあんまり飲ませないで!」
「おっと、オイタが過ぎたな!ごめんな二人とも~」
「真白、大丈夫?」
真琴が心配そうに俺の顔を覗いてくる。
「大丈夫だよ」
「目がとろ~んとしてる!部屋戻ろうか!」
そう言って真琴は立ち上がり座っていた俺をお姫様抱っこする。
「ちょ!ま!真琴サンッ!?」
「いいじゃん!俺達もう番なんだし!」
それ今言う?恥ずかしいって~。佑子さんも悠一さんもにこにこしすぎ!
「真琴?明日帰るんだろ?今日はあの部屋でも盛るなよ~?」
「それは出来ると思うけど・・・・・・真白が可愛すぎたら自信無い」

***

「真琴っ!歩けるから」
「俺が抱いてたいから、良いの!」
廊下の狭さをもろともせず。すいすい歩いていき部屋に着く。布団を敷いてから夕飯を食べに行ったから。俺達はトイレのところに簡易的な洗面台が付けられておりそこで歯を磨く。
「そうだ!これ」
「ん?あ、さっきの」
検査キッドを貰ってきたのだ。結果はもう分かるのだし俺の親も俺達の言葉や言動を疑わないけど。一応写真を撮って父に送る。するとすぐ電話が鳴った。
「もしもし?父さん?」
『久しぶり、真白。おめでとう!』
「ありがとう」
『真白が生まれたとき【番持ち】なのは何となく漠然と分かっていたよ』
「【番持ち?】」
『あぁ、猫族【番持ち】は少し目立つ様に稀有な姿で生まれてくるんだ。それはもう片方の番から見つけて貰うためとも言い伝えがある』
「そうなんだ・・・・・・」
『しかしたまたまかもしれないし。力が強くても稀有な様相で生まれてくる者もいる。しかしその検査の結果が合っているんだろう真琴くんで間違いないな』
「ありがと、父さん」
『真白少しスピーカーにしてくれないか?真琴くんとも話がしたい』
「わかった」
俺は言われた通りにスピーカーにして真琴にも声の聞こえるようにする。
『真琴くん。久しぶり』
「お久しぶりです。お義父さん」
『源一の件。総一さんに聞いたんだろ?申し訳ない事をしたと思っていたよ・・・・・・猫族の当主として君に言うのが恥ずかしくて辛い思いをさせたね』
「いえ、俺の親を近くに呼んでくれたのはお義父さんですよね?」
『そうだ・・・・・・責めてもの罪滅ぼしとも思って分家の君の家ならかくまえるように創也さんの連絡先を調べて呼んだんだ。済まなかったね』
「いえ、お義父さんが近くに置いてくれたから真白と言う番にすぐ出逢うことが出来たんです!お義父さんが家の親を説得して呼んでくれたおかげなんです!」
真琴がすごく真剣な顔をしている。
『真白の事これからもよろしく頼むよ・・・・・・』
「それは当たり前です!俺は真白の番ですから!」
『よかった。真白、お前は幸せ者だね!もう少し北海道にいるのかい?』
「いや、明日には帰るつもり。新居もまだ探してないし」
『なるほど、早く二人で生活できるように猫山家は応援するよ!』
「ありがとう」
『気にするな、親として子供の幸せが一番だ。じゃおやすみ』
「おやすみ。父さん」
「おやすみなさい。お義父さん」
プツリと通話が終わる。俺はドッと疲れてしまったが、父さんは俺が【番持ち】なのは生まれたときから気付いていたんだ。
「俺達も寝るか」
「真白、やっぱりきょ「今日はしない!盛るのは帰ってからね?」
「わかった寝よう」
約束して俺達は床に着く。ふかふかの布団でなぜか俺は安心してすぐ寝落ちてしまった。
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