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番外編 転生したら悪役王太子コンスタンだった件
第五話B バッドエンド*
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――エヴラールの誘惑に乗った場合――
「わ……かった」
僕は震える声で、エヴラールの誘いに乗った。
その様子を見た彼は、言葉に出さずに口だけ動かして言った。
『いい子だ』
背筋が、ぞくりとした。
エヴラールは手際よく宿を一部屋借り、鍵を持って二階へと向かう。僕は真っ赤な顔で俯きながら、彼の後ろをついて歩いた。
これからすることを考え、頭が真っ白になりそうだった。
「お入りください」
部屋の扉を開けたエヴラールが、手で室内を示す。
僕は隠れるように、足早に室内に入った。
「ふふ、緊張してますか?」
カチコチになっている僕を見て、エヴラールはくすりと笑った。
「は、はあ? なんのことだよ」
僕は強がって、キッと彼を睨みつけた。
「エール一杯だけでは、足りなかったでしょう? まずは葡萄酒でも注文して、飲み直しましょう」
「葡萄酒か!」
葡萄酒と聞いて、途端に緊張が緩んだ。
「って、どうせ庶民の葡萄酒だろう?」
「まあまあ、たまには安い酒を飲むのも、よいものですよ」
わざわざ不味いものを飲むことのどこがよいんだと思ったが、彼はさっさと注文しに部屋を出ていってしまった。
少しして、エヴラールが葡萄酒の瓶とツマミの入った皿の載った盆を手に戻ってきた。直接もらってきたようだ。
「私が注ぎますよ。そちらにお座りください」
彼が指し示したのは、寝台だ。
安宿にはテーブルと椅子がないということを、僕は初めて知った。
僕は寝台の端に腰かけ、葡萄酒の注がれた木杯を受け取った。
エヴラールは自分の分も葡萄酒を注ぎ、同じく木杯を手に隣に座った。
「では、いただきましょう」
僕らは同時に杯を傾けた。
「ああ、まったく酷い味だ」
「ええ、まったくですね」
葡萄酒の味に、二人で笑い合った。
たしかに、あえて不味い酒を飲むのもたまには悪くない。
ツマミの干しぶどうとチーズをつまみながら、不味い葡萄酒を飲み下していった。
なんだか悪くない空気だ。
予想と違って、穏やかに関係を深めていくこともできるのではないか。
そう思った瞬間だった。
「あぁっ、あんっ、あっ、あぁっ!」
壁の向こうから、女の喘ぎ声が響いてきた。
「先ほどの男女でしょうかね」
エヴラールは、平然と杯を傾けた。
安宿では、隣の部屋の物音が筒抜けである。
これも、新たに僕が学んだことであった。
隣の部屋で行われている艶めかしい情事の様子が、絶えず伝わってくる。
僕は思わず想像してしまった。このようにエヴラールに抱かれている自分を。
身体の奥底に、忘れかけていた熱が灯る。
「おや」
ふとエヴラールが僕の下半身を見下ろし、呟いた。
僕の下肢は、兆してしまっていた。
「いったい」
腿に彼の手が置かれ、僕はビクリと震えた。
その手は中心に滑ってきて、あろうことか布越しに僕のそれに触れた。
「ここは、どっちを想像してこうなってしまったのです?」
長い指先が、愛おしげに兆したモノの上で円を描く。
「んッ、どっち、って……?」
指の感触にあらぬ声を出してしまいそうになり、息も絶え絶えに尋ねる。
「抱く方と、抱かれる方」
囁くような声音に、ぞくりとなにかが背筋を駆け抜けた。
「そ、れは……」
抱かれる方だ。
強引に身体を割り開かれる瞬間を、想像してしまった。
「ねえ、教えてください」
指先が、布を押し上げているそれをそっと撫でる。
「あぁ……っ!」
思わず、大きな声が漏れ出た。
自分の声とは信じられないくらい高くて甘くて、隣で喘いでいる商売女のような声だった。
僕の隣から小さく息を呑む音が聞こえ、一瞬、彼の手の動きが止まった。
「貴方がこんなに可愛い声を出せるなんて、思ってもみませんでした。もっと、聞かせてください……!」
興奮したような熱い息が首元にかかったかと思うと、彼の手がなんと下着の中に潜り込んできて、僕の性器に直接触れた。
「や、なにをすっ、あ……っ!」
「嗚呼、可愛いですよ……!」
性器を掌に包み込まれ、鋭い快感を感じた。
「あぁっ、あッ、だめ、だめぇ……ッ!」
「何が駄目なんです? 私にこういうことをされたくて、ついてきたのでしょう?」
そうなのだが。期待していたのだが。
直接性器を扱かれ、快感に頭の中をぐじゅぐじゅに掻き混ぜられている心地になる。
もっと、可愛い声って褒められたい。
もっと……淫らになりたい。
先端からは先走りの液が垂れ、彼の指を滑らせてさらなる快感を生じさせた。
「ああ、なるほど。このままでは服が汚れてしまわれますね。それで制止なさったのですね」
納得したような声と共に、下着の中から手が引き抜かれてしまった。もうすぐで、イけそうだったのに。
「私が脱がせてさしあげますからね」
白く長い指が器用に動いて、下着ごと脚衣を足から引き抜いた。
彼の手の中で肥大した、淫らな唾液を垂れ流しているそこが、空気に晒されて丸見えになってしまった。
「うふふ。コンスタンさま、とってもえっちですよ」
僕を見下ろす彼の股間が膨らんでいるのが、目に入った。
僕の痴態に、本気で興奮してくれているのだ。それを認識した瞬間、僕の胸のうちをなにかが満たしてくれるのを感じた。
「気をやった瞬間に飛ぶといけないですから、上も脱ぎましょうね」
両手を上げるように指示され、僕は素直に従った。
上半身まで裸にされ、僕の裸を覆い隠すものはなくなった。
「コンスタンさまの玉体を視線で堪能したいところですが、ここがおつらいですよね? 今、抜いてあげますからね」
早くイキたいと脈打っていた茎を、彼の掌が再び包み込む。布に邪魔されない分、先ほどよりも大胆な動きで扱き出した。
「あっ、あ……っ、あ、あぁ……ッ!」
強烈な快感に、嬌声が喉から迸り出る。
隣に声が聞こえてしまう、とハッとして自分の口を両手で塞いだ。
「いけない子ですね……せっかくの可愛いお声を、聞かせてくれなければ」
努力も空しく、彼の片手でまとめて両手首を掴まれ、頭の上で縫い留められた。
「あぁっ、だめ、きこえちゃ……っ! あぁ、あっ、あぁッ!」
隣に声が聞こえてほしくないけれど、もっと僕に興奮してほしい。僕に興奮したと言ってほしい。
相反する感情と、快感にわけがわからなくなる。
「だめ、イク、エヴ、イっちゃう……っ!」
このままでは、イかされてしまう。
イかされてしまったら、なにかの一線を越えてしまうような気がする。
そんなものは、もうとっくに越えているのに。
「コンスタンさま、イっちゃいましょう」
囁き声とともに、親指の腹で先端を捏ね繰り回された。
「あぁ……ッ!」
一際高い声を上げて、僕は達してしまった。
情けなくも、彼の手の中に精を放出してしまった。
「すごく可愛いイキ顔でした、コンスタンさま」
陰茎から離れた彼の手は、そのまま別の場所をまさぐり始めた。陰茎のもっと先……後ろの入り口を。
「や、なに、して……」
「もっとゆっくり蕩かしてさしあげるつもりだったのですが……コンスタンさまの痴態があまりにも、私を煽るのがいけないのですよ?」
入口を撫でた指先が、僕の体液で濡れている。
滑りのいい指先が、何度もナカに挿入りかける。
「だからコンスタンさまのここを、私を受け入れられるようにしてさしあげますね」
「それって……」
「交尾できるように、してさしあげるということです」
つぷりと、指先が沈み込んだ。
「……っ!」
驚きに息を呑んだ。
「だってコンスタンさま、抱かれる方がよろしいのですよね?」
「そんなこと、言ってな……」
言ってないけれど、思いはした。
まるで僕の頭の中が、彼には丸見えみたいだ。
指先は肉を押し割り、どんどんナカに沈み込んでいく。
己の内側で、他人の体温が動いている。その感覚の奇妙さに、表情を歪めた。
「大丈夫ですよ、コンスタンさま。ナカにも性感帯はありますから」
「性感帯?」
「ええ、たとえば……ここ」
「……あっ!?」
彼の指が陰茎の裏側あたりを撫でた瞬間、ジンジンとした快感が走った。
「人間のここには、前立腺という性感帯が存在するんですよ」
彼の指がグチュグチュと音を立てながら、同じ場所を繰り返しする。
「あ……っ? あっ、あっ、あぁ……っ!」
刺激はすぐにはっきりとした快感の波に変わった。
そこを刺激されるたびに、あえかな声が零れ出た。
「そんなに気持ちいいですか? 先ほどよりも愛らしい声ではないですか。コンスタンさまは、後ろで感じる才能がおありなのですね」
「そんな才能っ、あぁッ、だめっ、エヴ、おかしくなる……ッ!」
彼は調子づいたようにナカを探る指の本数を増やし、僕が感じてしまう場所を、執拗に攻めた。
「エヴ、ンぁ、あぁッ、あッ、へんになる……ッ! あぁッ!」
指で感じてしまって、ナカが熱くて溶けてしまいそうで、脳髄がドロドロに蕩けていて、全身を快感が駆け抜けて、隣の部屋に聞こえてはいけないのに大声で喘いでしまって、それが気持ちよくって、もっと、熱いものが欲しくて。
「あッ、あぁッ、あッ、あぁ……ッ、あ…………ひ、ぅ」
気がついたら、自身が精を垂れ流していた。ぽたぽたと垂れる白濁が、腹を汚している。
こんな射精の仕方は、初めてだった。自分の身体はどうしてしまったのだろう。気持ちよすぎて、壊れてしまったのだろうか。
エヴラールは僕を見下ろし、ほくそ笑みながら指を引き抜いた。
「初めてなのに、指で達してしまわれるなんて。コンスタンさまのえっちな身体に、興奮してしまいます。私のこれを挿入したら、一体どうなってしまわれるのでしょうね」
「これ……?」
衣擦れの音を響かせ、エヴラールは自分の衣服を脱ぎ捨てた。
「な……」
現れたモノを見て、絶句した。
彼の性器は、人間のモノよりもはるかに太く長かった。こんな代物を挿入するというのか。
「む、無理だ! そんなもの、挿入らない!」
青褪めながら、拒絶した。
「おや……それは残念です。無理やりするのは好みではありませんから、そう言われてしまっては断念せざるを得ません」
ちっとも残念ではなさそうな口調だ。
「でも」
そそり立ったままの剛直を、僕の腹に充てがった。
挿入されれば、どこまで挿入ってしまうのか、よくわかる。
「人間の腹の奥にはね、結腸というとっても気持ちのいい場所があるのですよ。前立腺よりも、数倍気持ちのいい場所です」
「さっきよりも、気持ちいい……?」
指で弄られただけで身体が変になってしまいそうだったのに、あれの数倍の快楽。思わず想像して、唾を飲んでしまった。
「人間同士の交尾だと、なかなかそこに性器が届かないのですが……このように、獣人のならば簡単にそこを刺激できるのですよ。だから人間は一度獣人との交尾の味を覚えると、一生忘れられなくなってしまうのです」
シたい。
凶悪なデカブツで内側から、身体をめちゃくちゃにされたい。なにもかも、わからなくなりたい。一生忘れられなくさせられたい。
破滅願望にも似た愛欲が沸き起こるのを感じる。
先ほど指を咥えていた入り口が、ヒクリと口を開け閉めした。
「でも、コンスタンさまがしたくないとおっしゃるのであれば……」
「待った」
思わず彼の腕に縋りついた。
「おや。どうなされたいのです?」
わかっているくせに。
彼は口元を歪め、いやらしく笑った。
「し、したい。セックスしたい。抱かれ……たい」
耳まで真っ赤になったと思う。
こんな恥ずかしい言葉を口にするのは、人生で初めてだった。
僕の言葉を聞いて、彼は身震いした。
「ああ、想像以上です……! なんて可愛いおねだりでしょう! ええ、ええ、今すぐにでも挿入してさしあげますとも!」
彼の両手が性急に僕の両脚の膝裏を持って大きく開脚させ、入り口に脈打つモノを押し当てた。
「え、待って、心の準、」
凶器じみた剛直は、本能のままに純潔を引き裂いて、内側に挿入り込んだ。
「……ッ!」
圧倒的なまでの体積に、一瞬、息が止まった。
涙と鼻水とが分泌され、シーツを濡らす。
「ふう、ふう……失礼。ああ、殿下を悦ばせてさしあげなければならないのに。こんなにも、自分を抑えるのが難しいとは……!」
彼は必死に理性で欲を抑えてくれているのか、すぐに抽送が始まったりはしない。
ゆっくりゆっくりと、腰が進められていく。
じりじりと。焦らすような速度で、カリ首が肉壁を擦って動く。
「あぁ……ッ!?」
ぐりん、とカリ首が前立腺を通り過ぎて強く圧した瞬間、嬌声が漏れ出た。
同時にそこで感じる快感を思い出した。
きもちいいの。頭がめちゃくちゃになるのが、ほしい。
「は、あ、いまの、もっと……」
エヴラールのがほしい。
腰を軽く揺らしながら、上目遣いにねだってしまった。
そんなことをしたらどんなことが起こるか、想像を巡らせる余裕など残っているはずもない。
「な……」
絶句するエヴラール。
彼の目の色が変わる瞬間が、見て取れた。彼の喉仏が、上下する。
「あ……ッ!」
瞬間、ズン、と奥まで一気に挿入された。
それから剛直が引いていき――
「あぁ……ッ! あッ、あぁッ、あっ、あぁ……ッ!」
激しい抽送が始まりを告げた。
「ああ、コンスタンさま、可愛すぎます……!」
「あッ、あぁッ、エヴ、はげしっ、あッ、あぁッ!」
穿って、引いて、穿って。
本能のままに、腰を打ち付けられる。
穿たれるたびに肉を打つ乾いた音が響いて、熱い息が顔にかかる。
「あぁッ、あッ、あぁッ、こんな、あぁッ、あ……ッ!」
商売女よりも、よほど淫靡な声を上げているのではないか。
自分は獣にいたぶられて、悦んでしまっている。その事実そのものが、悦びを高めさせていった。
いつもの自分とかけ離れた自分になるほど、いい。
抽送に遠慮などない。剛直は身体の奥底まで、躊躇なく蹂躙していく。
「ああほら、もう結腸の入り口にキスできてしまってますよ……!」
身体の一番奥に、一瞬、触れられると快楽の予兆を感じさせる場所がある。そこを貫かれたら――もう、元の自分には戻れないだろう。
「ふふ――処女破瓜です、ね……!」
グチュン。
剛直が、一気に最奥の肉弁を貫いた。
「――――ッ!」
想像を絶する快感に、頭の中が真っ白になった。
足先がピンと張って、勝手に身体が海老反りになる。
達しているのだ。彼の性器だけで、達してしまった。この身体は、男に抱かれるための身体に造り変えられてしまった。
絶頂の余韻を味わう余裕はない。
抽送は続いているから。
「ああ、メスイキしてしまわれたのですか……!? なんて愛らしい! コンスタンさまが、こんな、こんな、淫らな身体をなさっているなんて……!」
幾度も幾度も、剛直が最奥を襲い、犯す。
肉の弁の向こうを、蹂躙していく。
そのたびに途方もない快感が、脳髄まで駆け抜ける。
「結腸が子宮口のように、私をちゅぱちゅぱしてくれていますよ! なんて名器だ! この気持ちよさ、やはり人間は獣人の性奴隷になるために生まれてきたのだとしか、思えない……!」
彼の興奮はいや増し、抽送の激しさが緩む様子は少しもない。
「あぁッ、あぁぁぁッ、イってる、イってるのに……ッ! あッ、ああっ、あぁぁぁッ、あぁぁぁ……ッ!」
僕はほとんど絶叫のように喘いだ。
隣の部屋どころか、下の食堂にまで届いているかもしれない。
でもそんなことは、もうどうでもいい。
彼の手で淫らになれることが、ただひたすらに嬉しかった。一突きごとに、足りないものが埋められていくようだった。
「王太子がッ、こんな安宿で、獣人にッ、犯されて、淫らにッ、喘いでいるなんて、私以外の誰も想像し得ないでしょうね……ッ!」
肉を打つ淫靡な音が、部屋いっぱいに響き渡っている。
安っぽい寝台が、今にも壊れそうなほどに軋んでいる。
腰を強く打ち付けられるほどに、彼の愛を信じられる。奪われたりしない。誰かと外見を比べて、劣等感を感じる必要もない。彼は僕が一番可愛くて、一番興奮すると肯定してくれている。
まるで、心に直接愛を叩きつけられているみたいだ。
狂いそうな激しい快感こそが、愛されている証だった。
「国一番の高貴な身体が、国で一番淫乱だなんて、ね……ッ!」
「あぁッ、ああぁぁぁッ、イク、またイクッ、あぁぁッ、あぁぁぁぁ……ッ!」
ナカを搔き混ぜられて、頭の中まで快感で搔き混ぜられて。細かいことがすべてどうでもよくなって、ただただ退廃的な快楽だけが脳内を満たす。
堕ちることが、こんなに気持ちいいだなんて。
「嗚呼、コンスタンさま、種付けいたしますよ……ッ!」
抱き締めるように密着され、身体の距離が近くなった分だけ、剛直が深く深く奥まで沈み込んだ。
一番深い場所で、勢いよく精が放たれた。
種付けされてしまったのだ。
彼のモノになったという刻印が、身体の一番奥に刻み込まれてしまった。
「――――ッ!!!」
もう何度目の絶頂だろうか。
ナカにどくどくと注がれる感触を認識した途端、また頭が真っ白になってしまった。
永遠に続くのではないかと思うほど長い時間、精を注がれ続けた。そのことに心地よい満足感があった。蹂躙され尽くした、という満足感が。
「は、ぁ……」
ずるりとモノを引き抜かれ、口から吐息が漏れ出た。
モノを引き抜かれた場所からは、どろりと精が流れ出すのを感じた。
彼の手によって、体勢がうつぶせにされる。身体を拭いてくれるのだろうかと思ったら、尻を高く上げさせられた。
「申し訳ありません。お尻から私の精液を垂れ流しているコンスタンさまが、あんまりにも淫らすぎて……」
後ろの入り口に、ぴとりと熱いモノが触れる。
先ほど吞み込んでいたモノとまったく同じ太さで、同じ熱さのモノが。
「え?」
「ええ、また勃ってしまいました」
楽しそうな声と共に、剛直が再び入口を貫いた。
「あぁぁぁぁ……ッ!」
パチンパチンと肉を打つ音が、間髪入れずに響き始めた。
中の精液を掻き混ぜ、この上なく淫猥な水音まで立っている。
「ああすごい、小さなお尻が、私のを丸ごと飲み込んでいる……ッ! コンスタンさまの身体に興奮しないようにするなんて、無理です……!」
無我夢中で掻いたシーツが、皺の海を作り出す。
「ああッ、アッ、あぁッ、ああぁぁぁぁッ、しぬ、しんじゃう……ッ!!」
快楽の螺旋が終わらない。
思考もなにもかも、呑み込まれていく。
もうすべて、どうでもいいんだ。
全力で僕を貪ってくれる、彼がいれば。
「貴方のなにもかもが、私のものですよ。コンスタンさま──」
「わ……かった」
僕は震える声で、エヴラールの誘いに乗った。
その様子を見た彼は、言葉に出さずに口だけ動かして言った。
『いい子だ』
背筋が、ぞくりとした。
エヴラールは手際よく宿を一部屋借り、鍵を持って二階へと向かう。僕は真っ赤な顔で俯きながら、彼の後ろをついて歩いた。
これからすることを考え、頭が真っ白になりそうだった。
「お入りください」
部屋の扉を開けたエヴラールが、手で室内を示す。
僕は隠れるように、足早に室内に入った。
「ふふ、緊張してますか?」
カチコチになっている僕を見て、エヴラールはくすりと笑った。
「は、はあ? なんのことだよ」
僕は強がって、キッと彼を睨みつけた。
「エール一杯だけでは、足りなかったでしょう? まずは葡萄酒でも注文して、飲み直しましょう」
「葡萄酒か!」
葡萄酒と聞いて、途端に緊張が緩んだ。
「って、どうせ庶民の葡萄酒だろう?」
「まあまあ、たまには安い酒を飲むのも、よいものですよ」
わざわざ不味いものを飲むことのどこがよいんだと思ったが、彼はさっさと注文しに部屋を出ていってしまった。
少しして、エヴラールが葡萄酒の瓶とツマミの入った皿の載った盆を手に戻ってきた。直接もらってきたようだ。
「私が注ぎますよ。そちらにお座りください」
彼が指し示したのは、寝台だ。
安宿にはテーブルと椅子がないということを、僕は初めて知った。
僕は寝台の端に腰かけ、葡萄酒の注がれた木杯を受け取った。
エヴラールは自分の分も葡萄酒を注ぎ、同じく木杯を手に隣に座った。
「では、いただきましょう」
僕らは同時に杯を傾けた。
「ああ、まったく酷い味だ」
「ええ、まったくですね」
葡萄酒の味に、二人で笑い合った。
たしかに、あえて不味い酒を飲むのもたまには悪くない。
ツマミの干しぶどうとチーズをつまみながら、不味い葡萄酒を飲み下していった。
なんだか悪くない空気だ。
予想と違って、穏やかに関係を深めていくこともできるのではないか。
そう思った瞬間だった。
「あぁっ、あんっ、あっ、あぁっ!」
壁の向こうから、女の喘ぎ声が響いてきた。
「先ほどの男女でしょうかね」
エヴラールは、平然と杯を傾けた。
安宿では、隣の部屋の物音が筒抜けである。
これも、新たに僕が学んだことであった。
隣の部屋で行われている艶めかしい情事の様子が、絶えず伝わってくる。
僕は思わず想像してしまった。このようにエヴラールに抱かれている自分を。
身体の奥底に、忘れかけていた熱が灯る。
「おや」
ふとエヴラールが僕の下半身を見下ろし、呟いた。
僕の下肢は、兆してしまっていた。
「いったい」
腿に彼の手が置かれ、僕はビクリと震えた。
その手は中心に滑ってきて、あろうことか布越しに僕のそれに触れた。
「ここは、どっちを想像してこうなってしまったのです?」
長い指先が、愛おしげに兆したモノの上で円を描く。
「んッ、どっち、って……?」
指の感触にあらぬ声を出してしまいそうになり、息も絶え絶えに尋ねる。
「抱く方と、抱かれる方」
囁くような声音に、ぞくりとなにかが背筋を駆け抜けた。
「そ、れは……」
抱かれる方だ。
強引に身体を割り開かれる瞬間を、想像してしまった。
「ねえ、教えてください」
指先が、布を押し上げているそれをそっと撫でる。
「あぁ……っ!」
思わず、大きな声が漏れ出た。
自分の声とは信じられないくらい高くて甘くて、隣で喘いでいる商売女のような声だった。
僕の隣から小さく息を呑む音が聞こえ、一瞬、彼の手の動きが止まった。
「貴方がこんなに可愛い声を出せるなんて、思ってもみませんでした。もっと、聞かせてください……!」
興奮したような熱い息が首元にかかったかと思うと、彼の手がなんと下着の中に潜り込んできて、僕の性器に直接触れた。
「や、なにをすっ、あ……っ!」
「嗚呼、可愛いですよ……!」
性器を掌に包み込まれ、鋭い快感を感じた。
「あぁっ、あッ、だめ、だめぇ……ッ!」
「何が駄目なんです? 私にこういうことをされたくて、ついてきたのでしょう?」
そうなのだが。期待していたのだが。
直接性器を扱かれ、快感に頭の中をぐじゅぐじゅに掻き混ぜられている心地になる。
もっと、可愛い声って褒められたい。
もっと……淫らになりたい。
先端からは先走りの液が垂れ、彼の指を滑らせてさらなる快感を生じさせた。
「ああ、なるほど。このままでは服が汚れてしまわれますね。それで制止なさったのですね」
納得したような声と共に、下着の中から手が引き抜かれてしまった。もうすぐで、イけそうだったのに。
「私が脱がせてさしあげますからね」
白く長い指が器用に動いて、下着ごと脚衣を足から引き抜いた。
彼の手の中で肥大した、淫らな唾液を垂れ流しているそこが、空気に晒されて丸見えになってしまった。
「うふふ。コンスタンさま、とってもえっちですよ」
僕を見下ろす彼の股間が膨らんでいるのが、目に入った。
僕の痴態に、本気で興奮してくれているのだ。それを認識した瞬間、僕の胸のうちをなにかが満たしてくれるのを感じた。
「気をやった瞬間に飛ぶといけないですから、上も脱ぎましょうね」
両手を上げるように指示され、僕は素直に従った。
上半身まで裸にされ、僕の裸を覆い隠すものはなくなった。
「コンスタンさまの玉体を視線で堪能したいところですが、ここがおつらいですよね? 今、抜いてあげますからね」
早くイキたいと脈打っていた茎を、彼の掌が再び包み込む。布に邪魔されない分、先ほどよりも大胆な動きで扱き出した。
「あっ、あ……っ、あ、あぁ……ッ!」
強烈な快感に、嬌声が喉から迸り出る。
隣に声が聞こえてしまう、とハッとして自分の口を両手で塞いだ。
「いけない子ですね……せっかくの可愛いお声を、聞かせてくれなければ」
努力も空しく、彼の片手でまとめて両手首を掴まれ、頭の上で縫い留められた。
「あぁっ、だめ、きこえちゃ……っ! あぁ、あっ、あぁッ!」
隣に声が聞こえてほしくないけれど、もっと僕に興奮してほしい。僕に興奮したと言ってほしい。
相反する感情と、快感にわけがわからなくなる。
「だめ、イク、エヴ、イっちゃう……っ!」
このままでは、イかされてしまう。
イかされてしまったら、なにかの一線を越えてしまうような気がする。
そんなものは、もうとっくに越えているのに。
「コンスタンさま、イっちゃいましょう」
囁き声とともに、親指の腹で先端を捏ね繰り回された。
「あぁ……ッ!」
一際高い声を上げて、僕は達してしまった。
情けなくも、彼の手の中に精を放出してしまった。
「すごく可愛いイキ顔でした、コンスタンさま」
陰茎から離れた彼の手は、そのまま別の場所をまさぐり始めた。陰茎のもっと先……後ろの入り口を。
「や、なに、して……」
「もっとゆっくり蕩かしてさしあげるつもりだったのですが……コンスタンさまの痴態があまりにも、私を煽るのがいけないのですよ?」
入口を撫でた指先が、僕の体液で濡れている。
滑りのいい指先が、何度もナカに挿入りかける。
「だからコンスタンさまのここを、私を受け入れられるようにしてさしあげますね」
「それって……」
「交尾できるように、してさしあげるということです」
つぷりと、指先が沈み込んだ。
「……っ!」
驚きに息を呑んだ。
「だってコンスタンさま、抱かれる方がよろしいのですよね?」
「そんなこと、言ってな……」
言ってないけれど、思いはした。
まるで僕の頭の中が、彼には丸見えみたいだ。
指先は肉を押し割り、どんどんナカに沈み込んでいく。
己の内側で、他人の体温が動いている。その感覚の奇妙さに、表情を歪めた。
「大丈夫ですよ、コンスタンさま。ナカにも性感帯はありますから」
「性感帯?」
「ええ、たとえば……ここ」
「……あっ!?」
彼の指が陰茎の裏側あたりを撫でた瞬間、ジンジンとした快感が走った。
「人間のここには、前立腺という性感帯が存在するんですよ」
彼の指がグチュグチュと音を立てながら、同じ場所を繰り返しする。
「あ……っ? あっ、あっ、あぁ……っ!」
刺激はすぐにはっきりとした快感の波に変わった。
そこを刺激されるたびに、あえかな声が零れ出た。
「そんなに気持ちいいですか? 先ほどよりも愛らしい声ではないですか。コンスタンさまは、後ろで感じる才能がおありなのですね」
「そんな才能っ、あぁッ、だめっ、エヴ、おかしくなる……ッ!」
彼は調子づいたようにナカを探る指の本数を増やし、僕が感じてしまう場所を、執拗に攻めた。
「エヴ、ンぁ、あぁッ、あッ、へんになる……ッ! あぁッ!」
指で感じてしまって、ナカが熱くて溶けてしまいそうで、脳髄がドロドロに蕩けていて、全身を快感が駆け抜けて、隣の部屋に聞こえてはいけないのに大声で喘いでしまって、それが気持ちよくって、もっと、熱いものが欲しくて。
「あッ、あぁッ、あッ、あぁ……ッ、あ…………ひ、ぅ」
気がついたら、自身が精を垂れ流していた。ぽたぽたと垂れる白濁が、腹を汚している。
こんな射精の仕方は、初めてだった。自分の身体はどうしてしまったのだろう。気持ちよすぎて、壊れてしまったのだろうか。
エヴラールは僕を見下ろし、ほくそ笑みながら指を引き抜いた。
「初めてなのに、指で達してしまわれるなんて。コンスタンさまのえっちな身体に、興奮してしまいます。私のこれを挿入したら、一体どうなってしまわれるのでしょうね」
「これ……?」
衣擦れの音を響かせ、エヴラールは自分の衣服を脱ぎ捨てた。
「な……」
現れたモノを見て、絶句した。
彼の性器は、人間のモノよりもはるかに太く長かった。こんな代物を挿入するというのか。
「む、無理だ! そんなもの、挿入らない!」
青褪めながら、拒絶した。
「おや……それは残念です。無理やりするのは好みではありませんから、そう言われてしまっては断念せざるを得ません」
ちっとも残念ではなさそうな口調だ。
「でも」
そそり立ったままの剛直を、僕の腹に充てがった。
挿入されれば、どこまで挿入ってしまうのか、よくわかる。
「人間の腹の奥にはね、結腸というとっても気持ちのいい場所があるのですよ。前立腺よりも、数倍気持ちのいい場所です」
「さっきよりも、気持ちいい……?」
指で弄られただけで身体が変になってしまいそうだったのに、あれの数倍の快楽。思わず想像して、唾を飲んでしまった。
「人間同士の交尾だと、なかなかそこに性器が届かないのですが……このように、獣人のならば簡単にそこを刺激できるのですよ。だから人間は一度獣人との交尾の味を覚えると、一生忘れられなくなってしまうのです」
シたい。
凶悪なデカブツで内側から、身体をめちゃくちゃにされたい。なにもかも、わからなくなりたい。一生忘れられなくさせられたい。
破滅願望にも似た愛欲が沸き起こるのを感じる。
先ほど指を咥えていた入り口が、ヒクリと口を開け閉めした。
「でも、コンスタンさまがしたくないとおっしゃるのであれば……」
「待った」
思わず彼の腕に縋りついた。
「おや。どうなされたいのです?」
わかっているくせに。
彼は口元を歪め、いやらしく笑った。
「し、したい。セックスしたい。抱かれ……たい」
耳まで真っ赤になったと思う。
こんな恥ずかしい言葉を口にするのは、人生で初めてだった。
僕の言葉を聞いて、彼は身震いした。
「ああ、想像以上です……! なんて可愛いおねだりでしょう! ええ、ええ、今すぐにでも挿入してさしあげますとも!」
彼の両手が性急に僕の両脚の膝裏を持って大きく開脚させ、入り口に脈打つモノを押し当てた。
「え、待って、心の準、」
凶器じみた剛直は、本能のままに純潔を引き裂いて、内側に挿入り込んだ。
「……ッ!」
圧倒的なまでの体積に、一瞬、息が止まった。
涙と鼻水とが分泌され、シーツを濡らす。
「ふう、ふう……失礼。ああ、殿下を悦ばせてさしあげなければならないのに。こんなにも、自分を抑えるのが難しいとは……!」
彼は必死に理性で欲を抑えてくれているのか、すぐに抽送が始まったりはしない。
ゆっくりゆっくりと、腰が進められていく。
じりじりと。焦らすような速度で、カリ首が肉壁を擦って動く。
「あぁ……ッ!?」
ぐりん、とカリ首が前立腺を通り過ぎて強く圧した瞬間、嬌声が漏れ出た。
同時にそこで感じる快感を思い出した。
きもちいいの。頭がめちゃくちゃになるのが、ほしい。
「は、あ、いまの、もっと……」
エヴラールのがほしい。
腰を軽く揺らしながら、上目遣いにねだってしまった。
そんなことをしたらどんなことが起こるか、想像を巡らせる余裕など残っているはずもない。
「な……」
絶句するエヴラール。
彼の目の色が変わる瞬間が、見て取れた。彼の喉仏が、上下する。
「あ……ッ!」
瞬間、ズン、と奥まで一気に挿入された。
それから剛直が引いていき――
「あぁ……ッ! あッ、あぁッ、あっ、あぁ……ッ!」
激しい抽送が始まりを告げた。
「ああ、コンスタンさま、可愛すぎます……!」
「あッ、あぁッ、エヴ、はげしっ、あッ、あぁッ!」
穿って、引いて、穿って。
本能のままに、腰を打ち付けられる。
穿たれるたびに肉を打つ乾いた音が響いて、熱い息が顔にかかる。
「あぁッ、あッ、あぁッ、こんな、あぁッ、あ……ッ!」
商売女よりも、よほど淫靡な声を上げているのではないか。
自分は獣にいたぶられて、悦んでしまっている。その事実そのものが、悦びを高めさせていった。
いつもの自分とかけ離れた自分になるほど、いい。
抽送に遠慮などない。剛直は身体の奥底まで、躊躇なく蹂躙していく。
「ああほら、もう結腸の入り口にキスできてしまってますよ……!」
身体の一番奥に、一瞬、触れられると快楽の予兆を感じさせる場所がある。そこを貫かれたら――もう、元の自分には戻れないだろう。
「ふふ――処女破瓜です、ね……!」
グチュン。
剛直が、一気に最奥の肉弁を貫いた。
「――――ッ!」
想像を絶する快感に、頭の中が真っ白になった。
足先がピンと張って、勝手に身体が海老反りになる。
達しているのだ。彼の性器だけで、達してしまった。この身体は、男に抱かれるための身体に造り変えられてしまった。
絶頂の余韻を味わう余裕はない。
抽送は続いているから。
「ああ、メスイキしてしまわれたのですか……!? なんて愛らしい! コンスタンさまが、こんな、こんな、淫らな身体をなさっているなんて……!」
幾度も幾度も、剛直が最奥を襲い、犯す。
肉の弁の向こうを、蹂躙していく。
そのたびに途方もない快感が、脳髄まで駆け抜ける。
「結腸が子宮口のように、私をちゅぱちゅぱしてくれていますよ! なんて名器だ! この気持ちよさ、やはり人間は獣人の性奴隷になるために生まれてきたのだとしか、思えない……!」
彼の興奮はいや増し、抽送の激しさが緩む様子は少しもない。
「あぁッ、あぁぁぁッ、イってる、イってるのに……ッ! あッ、ああっ、あぁぁぁッ、あぁぁぁ……ッ!」
僕はほとんど絶叫のように喘いだ。
隣の部屋どころか、下の食堂にまで届いているかもしれない。
でもそんなことは、もうどうでもいい。
彼の手で淫らになれることが、ただひたすらに嬉しかった。一突きごとに、足りないものが埋められていくようだった。
「王太子がッ、こんな安宿で、獣人にッ、犯されて、淫らにッ、喘いでいるなんて、私以外の誰も想像し得ないでしょうね……ッ!」
肉を打つ淫靡な音が、部屋いっぱいに響き渡っている。
安っぽい寝台が、今にも壊れそうなほどに軋んでいる。
腰を強く打ち付けられるほどに、彼の愛を信じられる。奪われたりしない。誰かと外見を比べて、劣等感を感じる必要もない。彼は僕が一番可愛くて、一番興奮すると肯定してくれている。
まるで、心に直接愛を叩きつけられているみたいだ。
狂いそうな激しい快感こそが、愛されている証だった。
「国一番の高貴な身体が、国で一番淫乱だなんて、ね……ッ!」
「あぁッ、ああぁぁぁッ、イク、またイクッ、あぁぁッ、あぁぁぁぁ……ッ!」
ナカを搔き混ぜられて、頭の中まで快感で搔き混ぜられて。細かいことがすべてどうでもよくなって、ただただ退廃的な快楽だけが脳内を満たす。
堕ちることが、こんなに気持ちいいだなんて。
「嗚呼、コンスタンさま、種付けいたしますよ……ッ!」
抱き締めるように密着され、身体の距離が近くなった分だけ、剛直が深く深く奥まで沈み込んだ。
一番深い場所で、勢いよく精が放たれた。
種付けされてしまったのだ。
彼のモノになったという刻印が、身体の一番奥に刻み込まれてしまった。
「――――ッ!!!」
もう何度目の絶頂だろうか。
ナカにどくどくと注がれる感触を認識した途端、また頭が真っ白になってしまった。
永遠に続くのではないかと思うほど長い時間、精を注がれ続けた。そのことに心地よい満足感があった。蹂躙され尽くした、という満足感が。
「は、ぁ……」
ずるりとモノを引き抜かれ、口から吐息が漏れ出た。
モノを引き抜かれた場所からは、どろりと精が流れ出すのを感じた。
彼の手によって、体勢がうつぶせにされる。身体を拭いてくれるのだろうかと思ったら、尻を高く上げさせられた。
「申し訳ありません。お尻から私の精液を垂れ流しているコンスタンさまが、あんまりにも淫らすぎて……」
後ろの入り口に、ぴとりと熱いモノが触れる。
先ほど吞み込んでいたモノとまったく同じ太さで、同じ熱さのモノが。
「え?」
「ええ、また勃ってしまいました」
楽しそうな声と共に、剛直が再び入口を貫いた。
「あぁぁぁぁ……ッ!」
パチンパチンと肉を打つ音が、間髪入れずに響き始めた。
中の精液を掻き混ぜ、この上なく淫猥な水音まで立っている。
「ああすごい、小さなお尻が、私のを丸ごと飲み込んでいる……ッ! コンスタンさまの身体に興奮しないようにするなんて、無理です……!」
無我夢中で掻いたシーツが、皺の海を作り出す。
「ああッ、アッ、あぁッ、ああぁぁぁぁッ、しぬ、しんじゃう……ッ!!」
快楽の螺旋が終わらない。
思考もなにもかも、呑み込まれていく。
もうすべて、どうでもいいんだ。
全力で僕を貪ってくれる、彼がいれば。
「貴方のなにもかもが、私のものですよ。コンスタンさま──」
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