疎まれ第二王子、辺境伯と契約婚したら可愛い継子ができました

野良猫のらん

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番外編 転生したら悪役王太子コンスタンだった件

第五話B バッドエンド*

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 ――エヴラールの誘惑に乗った場合――

「わ……かった」

 僕は震える声で、エヴラールの誘いに乗った。
 その様子を見た彼は、言葉に出さずに口だけ動かして言った。

『いい子だ』

 背筋が、ぞくりとした。

 エヴラールは手際よく宿を一部屋借り、鍵を持って二階へと向かう。僕は真っ赤な顔で俯きながら、彼の後ろをついて歩いた。
 これからすることを考え、頭が真っ白になりそうだった。

「お入りください」

 部屋の扉を開けたエヴラールが、手で室内を示す。
 僕は隠れるように、足早に室内に入った。

「ふふ、緊張してますか?」

 カチコチになっている僕を見て、エヴラールはくすりと笑った。

「は、はあ? なんのことだよ」

 僕は強がって、キッと彼を睨みつけた。

「エール一杯だけでは、足りなかったでしょう? まずは葡萄酒でも注文して、飲み直しましょう」

「葡萄酒か!」

 葡萄酒と聞いて、途端に緊張が緩んだ。

「って、どうせ庶民の葡萄酒だろう?」
「まあまあ、たまには安い酒を飲むのも、よいものですよ」

 わざわざ不味いものを飲むことのどこがよいんだと思ったが、彼はさっさと注文しに部屋を出ていってしまった。

 少しして、エヴラールが葡萄酒の瓶とツマミの入った皿の載った盆を手に戻ってきた。直接もらってきたようだ。

「私が注ぎますよ。そちらにお座りください」

 彼が指し示したのは、寝台だ。
 安宿にはテーブルと椅子がないということを、僕は初めて知った。

 僕は寝台の端に腰かけ、葡萄酒の注がれた木杯を受け取った。
 エヴラールは自分の分も葡萄酒を注ぎ、同じく木杯を手に隣に座った。

「では、いただきましょう」

 僕らは同時に杯を傾けた。

「ああ、まったく酷い味だ」
「ええ、まったくですね」

 葡萄酒の味に、二人で笑い合った。
 たしかに、あえて不味い酒を飲むのもたまには悪くない。

 ツマミの干しぶどうとチーズをつまみながら、不味い葡萄酒を飲み下していった。

 なんだか悪くない空気だ。
 予想と違って、穏やかに関係を深めていくこともできるのではないか。
 そう思った瞬間だった。

「あぁっ、あんっ、あっ、あぁっ!」

 壁の向こうから、女の喘ぎ声が響いてきた。

「先ほどの男女でしょうかね」

 エヴラールは、平然と杯を傾けた。

 安宿では、隣の部屋の物音が筒抜けである。
 これも、新たに僕が学んだことであった。

 隣の部屋で行われている艶めかしい情事の様子が、絶えず伝わってくる。
 僕は思わず想像してしまった。このようにエヴラールに抱かれている自分を。
 身体の奥底に、忘れかけていた熱が灯る。

「おや」

 ふとエヴラールが僕の下半身を見下ろし、呟いた。

 僕の下肢は、兆してしまっていた。

「いったい」

 腿に彼の手が置かれ、僕はビクリと震えた。
 その手は中心に滑ってきて、あろうことか布越しに僕のそれに触れた。

「ここは、どっちを想像してこうなってしまったのです?」

 長い指先が、愛おしげに兆したモノの上で円を描く。

「んッ、どっち、って……?」

 指の感触にあらぬ声を出してしまいそうになり、息も絶え絶えに尋ねる。

「抱く方と、抱かれる方」

 囁くような声音に、ぞくりとなにかが背筋を駆け抜けた。

「そ、れは……」

 抱かれる方だ。
 強引に身体を割り開かれる瞬間を、想像してしまった。

「ねえ、教えてください」

 指先が、布を押し上げているそれをそっと撫でる。

「あぁ……っ!」

 思わず、大きな声が漏れ出た。
 自分の声とは信じられないくらい高くて甘くて、隣で喘いでいる商売女のような声だった。
 
 僕の隣から小さく息を呑む音が聞こえ、一瞬、彼の手の動きが止まった。

「貴方がこんなに可愛い声を出せるなんて、思ってもみませんでした。もっと、聞かせてください……!」

 興奮したような熱い息が首元にかかったかと思うと、彼の手がなんと下着の中に潜り込んできて、僕の性器に直接触れた。

「や、なにをすっ、あ……っ!」
「嗚呼、可愛いですよ……!」

 性器を掌に包み込まれ、鋭い快感を感じた。

「あぁっ、あッ、だめ、だめぇ……ッ!」
 
「何が駄目なんです? 私にこういうことをされたくて、ついてきたのでしょう?」

 そうなのだが。期待していたのだが。
 直接性器を扱かれ、快感に頭の中をぐじゅぐじゅに掻き混ぜられている心地になる。
 
 もっと、可愛い声って褒められたい。
 もっと……淫らになりたい。

 先端からは先走りの液が垂れ、彼の指を滑らせてさらなる快感を生じさせた。

「ああ、なるほど。このままでは服が汚れてしまわれますね。それで制止なさったのですね」

 納得したような声と共に、下着の中から手が引き抜かれてしまった。もうすぐで、イけそうだったのに。

「私が脱がせてさしあげますからね」

 白く長い指が器用に動いて、下着ごと脚衣ブリーチズを足から引き抜いた。
 彼の手の中で肥大した、淫らな唾液を垂れ流しているそこが、空気に晒されて丸見えになってしまった。

「うふふ。コンスタンさま、とってもえっちですよ」

 僕を見下ろす彼の股間が膨らんでいるのが、目に入った。
 僕の痴態に、本気で興奮してくれているのだ。それを認識した瞬間、僕の胸のうちをなにかが満たしてくれるのを感じた。

「気をやった瞬間に飛ぶといけないですから、上も脱ぎましょうね」

 両手を上げるように指示され、僕は素直に従った。
 上半身まで裸にされ、僕の裸を覆い隠すものはなくなった。

「コンスタンさまの玉体を視線で堪能したいところですが、ここがおつらいですよね? 今、抜いてあげますからね」

 早くイキたいと脈打っていた茎を、彼の掌が再び包み込む。布に邪魔されない分、先ほどよりも大胆な動きで扱き出した。

「あっ、あ……っ、あ、あぁ……ッ!」

 強烈な快感に、嬌声が喉から迸り出る。
 隣に声が聞こえてしまう、とハッとして自分の口を両手で塞いだ。

「いけない子ですね……せっかくの可愛いお声を、聞かせてくれなければ」

 努力も空しく、彼の片手でまとめて両手首を掴まれ、頭の上で縫い留められた。

「あぁっ、だめ、きこえちゃ……っ! あぁ、あっ、あぁッ!」

 隣に声が聞こえてほしくないけれど、もっと僕に興奮してほしい。僕に興奮したと言ってほしい。
 相反する感情と、快感にわけがわからなくなる。

「だめ、イク、エヴ、イっちゃう……っ!」

 このままでは、イかされてしまう。
 イかされてしまったら、なにかの一線を越えてしまうような気がする。

 そんなものは、もうとっくに越えているのに。

「コンスタンさま、イっちゃいましょう」

 囁き声とともに、親指の腹で先端を捏ね繰り回された。

「あぁ……ッ!」

 一際高い声を上げて、僕は達してしまった。
 情けなくも、彼の手の中に精を放出してしまった。

「すごく可愛いイキ顔でした、コンスタンさま」

 陰茎から離れた彼の手は、そのまま別の場所をまさぐり始めた。陰茎のもっと先……後ろの入り口を。

「や、なに、して……」
 
「もっとゆっくり蕩かしてさしあげるつもりだったのですが……コンスタンさまの痴態があまりにも、私を煽るのがいけないのですよ?」
 
 入口を撫でた指先が、僕の体液で濡れている。
 滑りのいい指先が、何度もナカに挿入りかける。

「だからコンスタンさまのここを、私を受け入れられるようにしてさしあげますね」

「それって……」

「交尾できるように、してさしあげるということです」

 つぷりと、指先が沈み込んだ。

「……っ!」

 驚きに息を呑んだ。

「だってコンスタンさま、抱かれる方がよろしいのですよね?」
「そんなこと、言ってな……」

 言ってないけれど、思いはした。
 まるで僕の頭の中が、彼には丸見えみたいだ。

 指先は肉を押し割り、どんどんナカに沈み込んでいく。
 己の内側で、他人の体温が動いている。その感覚の奇妙さに、表情を歪めた。

「大丈夫ですよ、コンスタンさま。ナカにも性感帯はありますから」

「性感帯?」

「ええ、たとえば……ここ」

「……あっ!?」

 彼の指が陰茎の裏側あたりを撫でた瞬間、ジンジンとした快感が走った。

「人間のここには、前立腺という性感帯が存在するんですよ」

 彼の指がグチュグチュと音を立てながら、同じ場所を繰り返しする。

「あ……っ? あっ、あっ、あぁ……っ!」

 刺激はすぐにはっきりとした快感の波に変わった。
 そこを刺激されるたびに、あえかな声が零れ出た。

「そんなに気持ちいいですか? 先ほどよりも愛らしい声ではないですか。コンスタンさまは、後ろで感じる才能がおありなのですね」

「そんな才能っ、あぁッ、だめっ、エヴ、おかしくなる……ッ!」

 彼は調子づいたようにナカを探る指の本数を増やし、僕が感じてしまう場所を、執拗に攻めた。

「エヴ、ンぁ、あぁッ、あッ、へんになる……ッ! あぁッ!」

 指で感じてしまって、ナカが熱くて溶けてしまいそうで、脳髄がドロドロに蕩けていて、全身を快感が駆け抜けて、隣の部屋に聞こえてはいけないのに大声で喘いでしまって、それが気持ちよくって、もっと、熱いものが欲しくて。

「あッ、あぁッ、あッ、あぁ……ッ、あ…………ひ、ぅ」

 気がついたら、自身が精を垂れ流していた。ぽたぽたと垂れる白濁が、腹を汚している。

 こんな射精の仕方は、初めてだった。自分の身体はどうしてしまったのだろう。気持ちよすぎて、壊れてしまったのだろうか。

 エヴラールは僕を見下ろし、ほくそ笑みながら指を引き抜いた。

「初めてなのに、指で達してしまわれるなんて。コンスタンさまのえっちな身体に、興奮してしまいます。私のこれ・・を挿入したら、一体どうなってしまわれるのでしょうね」

「これ……?」

 衣擦れの音を響かせ、エヴラールは自分の衣服を脱ぎ捨てた。

「な……」

 現れたモノを見て、絶句した。

 彼の性器は、人間のモノよりもはるかに太く長かった。こんな代物を挿入するというのか。

「む、無理だ! そんなもの、挿入らない!」
 
 青褪めながら、拒絶した。

「おや……それは残念です。無理やりするのは好みではありませんから、そう言われてしまっては断念せざるを得ません」

 ちっとも残念ではなさそうな口調だ。

「でも」

 そそり立ったままの剛直を、僕の腹に充てがった。
 挿入されれば、どこまで挿入ってしまうのか、よくわかる。

「人間の腹の奥にはね、結腸というとっても気持ちのいい場所があるのですよ。前立腺よりも、数倍気持ちのいい場所です」

「さっきよりも、気持ちいい……?」

 指で弄られただけで身体が変になってしまいそうだったのに、あれの数倍の快楽。思わず想像して、唾を飲んでしまった。

「人間同士の交尾だと、なかなかそこに性器が届かないのですが……このように、獣人のならば簡単にそこを刺激できるのですよ。だから人間は一度獣人との交尾の味を覚えると、一生忘れられなくなってしまうのです」

 シたい。

 凶悪なデカブツで内側から、身体をめちゃくちゃにされたい。なにもかも、わからなくなりたい。一生忘れられなくさせられたい。
 破滅願望にも似た愛欲が沸き起こるのを感じる。

 先ほど指を咥えていた入り口が、ヒクリと口を開け閉めした。

「でも、コンスタンさまがしたくないとおっしゃるのであれば……」

「待った」

 思わず彼の腕に縋りついた。

「おや。どうなされたいのです?」

 わかっているくせに。
 彼は口元を歪め、いやらしく笑った。

「し、したい。セックスしたい。抱かれ……たい」

 耳まで真っ赤になったと思う。
 こんな恥ずかしい言葉を口にするのは、人生で初めてだった。

 僕の言葉を聞いて、彼は身震いした。

「ああ、想像以上です……! なんて可愛いおねだりでしょう! ええ、ええ、今すぐにでも挿入してさしあげますとも!」

 彼の両手が性急に僕の両脚の膝裏を持って大きく開脚させ、入り口に脈打つモノを押し当てた。

「え、待って、心の準、」

 凶器じみた剛直は、本能のままに純潔を引き裂いて、内側に挿入り込んだ。

「……ッ!」

 圧倒的なまでの体積に、一瞬、息が止まった。
 涙と鼻水とが分泌され、シーツを濡らす。

「ふう、ふう……失礼。ああ、殿下を悦ばせてさしあげなければならないのに。こんなにも、自分を抑えるのが難しいとは……!」

 彼は必死に理性で欲を抑えてくれているのか、すぐに抽送が始まったりはしない。
 ゆっくりゆっくりと、腰が進められていく。

 じりじりと。焦らすような速度で、カリ首が肉壁を擦って動く。

「あぁ……ッ!?」

 ぐりん、とカリ首が前立腺を通り過ぎて強く圧した瞬間、嬌声が漏れ出た。
 同時にそこで感じる快感を思い出した。

 きもちいいの。頭がめちゃくちゃになるのが、ほしい。

「は、あ、いまの、もっと……」

 エヴラールのがほしい。
 
 腰を軽く揺らしながら、上目遣いにねだってしまった。
 そんなことをしたらどんなことが起こるか、想像を巡らせる余裕など残っているはずもない。

「な……」

 絶句するエヴラール。
 彼の目の色が変わる瞬間が、見て取れた。彼の喉仏が、上下する。

「あ……ッ!」

 瞬間、ズン、と奥まで一気に挿入された。
 それから剛直が引いていき――

「あぁ……ッ! あッ、あぁッ、あっ、あぁ……ッ!」

 激しい抽送が始まりを告げた。

「ああ、コンスタンさま、可愛すぎます……!」
「あッ、あぁッ、エヴ、はげしっ、あッ、あぁッ!」

 穿って、引いて、穿って。
 本能のままに、腰を打ち付けられる。

 穿たれるたびに肉を打つ乾いた音が響いて、熱い息が顔にかかる。

「あぁッ、あッ、あぁッ、こんな、あぁッ、あ……ッ!」

 商売女よりも、よほど淫靡な声を上げているのではないか。
 自分は獣にいたぶられて、悦んでしまっている。その事実そのものが、悦びを高めさせていった。

 いつもの自分とかけ離れた自分になるほど、いい。

 抽送に遠慮などない。剛直は身体の奥底まで、躊躇なく蹂躙していく。

「ああほら、もう結腸の入り口にキスできてしまってますよ……!」

 身体の一番奥に、一瞬、触れられると快楽の予兆を感じさせる場所がある。そこを貫かれたら――もう、元の自分には戻れないだろう。

「ふふ――処女破瓜です、ね……!」

 グチュン。

 剛直が、一気に最奥の肉弁を貫いた。

「――――ッ!」

 想像を絶する快感に、頭の中が真っ白になった。
 足先がピンと張って、勝手に身体が海老反りになる。
 達しているのだ。彼の性器だけで、達してしまった。この身体は、男に抱かれるための身体に造り変えられてしまった。

 絶頂の余韻を味わう余裕はない。

 抽送は続いているから。

「ああ、メスイキしてしまわれたのですか……!? なんて愛らしい! コンスタンさまが、こんな、こんな、淫らな身体をなさっているなんて……!」

 幾度も幾度も、剛直が最奥を襲い、犯す。
 肉の弁の向こうを、蹂躙していく。
 そのたびに途方もない快感が、脳髄まで駆け抜ける。

「結腸が子宮口のように、私をちゅぱちゅぱしてくれていますよ! なんて名器だ! この気持ちよさ、やはり人間は獣人の性奴隷になるために生まれてきたのだとしか、思えない……!」

 彼の興奮はいや増し、抽送の激しさが緩む様子は少しもない。

「あぁッ、あぁぁぁッ、イってる、イってるのに……ッ! あッ、ああっ、あぁぁぁッ、あぁぁぁ……ッ!」

 僕はほとんど絶叫のように喘いだ。
 隣の部屋どころか、下の食堂にまで届いているかもしれない。

 でもそんなことは、もうどうでもいい。
 彼の手で淫らになれることが、ただひたすらに嬉しかった。一突きごとに、足りないものが埋められていくようだった。

「王太子がッ、こんな安宿で、獣人にッ、犯されて、淫らにッ、喘いでいるなんて、私以外の誰も想像し得ないでしょうね……ッ!」

 肉を打つ淫靡な音が、部屋いっぱいに響き渡っている。
 安っぽい寝台が、今にも壊れそうなほどに軋んでいる。

 腰を強く打ち付けられるほどに、彼の愛を信じられる。奪われたりしない。誰かと外見を比べて、劣等感を感じる必要もない。彼は僕が一番可愛くて、一番興奮すると肯定してくれている。
 まるで、心に直接愛を叩きつけられているみたいだ。

 狂いそうな激しい快感こそが、愛されている証だった。

「国一番の高貴な身体が、国で一番淫乱だなんて、ね……ッ!」
 
「あぁッ、ああぁぁぁッ、イク、またイクッ、あぁぁッ、あぁぁぁぁ……ッ!」

 ナカを搔き混ぜられて、頭の中まで快感で搔き混ぜられて。細かいことがすべてどうでもよくなって、ただただ退廃的な快楽だけが脳内を満たす。

 堕ちることが、こんなに気持ちいいだなんて。

「嗚呼、コンスタンさま、種付けいたしますよ……ッ!」

 抱き締めるように密着され、身体の距離が近くなった分だけ、剛直が深く深く奥まで沈み込んだ。

 一番深い場所で、勢いよく精が放たれた。
 
 種付けされてしまったのだ。
 彼のモノになったという刻印が、身体の一番奥に刻み込まれてしまった。

「――――ッ!!!」

 もう何度目の絶頂だろうか。
 ナカにどくどくと注がれる感触を認識した途端、また頭が真っ白になってしまった。
 永遠に続くのではないかと思うほど長い時間、精を注がれ続けた。そのことに心地よい満足感があった。蹂躙され尽くした、という満足感が。

「は、ぁ……」

 ずるりとモノを引き抜かれ、口から吐息が漏れ出た。
 モノを引き抜かれた場所からは、どろりと精が流れ出すのを感じた。

 彼の手によって、体勢がうつぶせにされる。身体を拭いてくれるのだろうかと思ったら、尻を高く上げさせられた。

「申し訳ありません。お尻から私の精液を垂れ流しているコンスタンさまが、あんまりにも淫らすぎて……」

 後ろの入り口に、ぴとりと熱いモノが触れる。
 先ほど吞み込んでいたモノとまったく同じ太さで、同じ熱さのモノが。

「え?」
「ええ、また勃ってしまいました」

 楽しそうな声と共に、剛直が再び入口を貫いた。

「あぁぁぁぁ……ッ!」

 パチンパチンと肉を打つ音が、間髪入れずに響き始めた。
 中の精液を掻き混ぜ、この上なく淫猥な水音まで立っている。

「ああすごい、小さなお尻が、私のを丸ごと飲み込んでいる……ッ! コンスタンさまの身体に興奮しないようにするなんて、無理です……!」

 無我夢中で掻いたシーツが、皺の海を作り出す。

「ああッ、アッ、あぁッ、ああぁぁぁぁッ、しぬ、しんじゃう……ッ!!」

 快楽の螺旋が終わらない。
 思考もなにもかも、呑み込まれていく。

 もうすべて、どうでもいいんだ。
 全力で僕を貪ってくれる、彼がいれば。

「貴方のなにもかもが、私のものですよ。コンスタンさま──」
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