33 / 39
第三十二話 ルドベキア、正義
しおりを挟む
「たすけて」
檻の中の白ネズミが確かに人語を発した。
「ひ……っ!」
ケントが小さく悲鳴を上げて尻餅をついた。
「たすけ。た。ごはん」
ネズミはパクパクと口を動かし、無理やり人間の声を模しているかのような機械的な声を発した。
そしてまるで人間のように檻の扉を手で掴んでガシャガシャと揺らしたのだった。
金属音が響く中でずた袋に入れられた薄汚れた子供がただ息をしている。
「一体何なんだこの部屋は……」
常識を逸したこの部屋の様相にオレも顔から血の気が引いた。
隠し扉の中にこんなものを隠していたなんて、ヒュフナー教授の行っていることが人道的なものだとは到底思えなかった。教授ほど優しい人は他にいないと思っていたのに。今まで見てきた彼の慈悲深さと、今目の前にしていることとの乖離に脳が追い付かなかった。
それでも頭の中を真っ先に過るものがあった。
「アレクシスが危ない……っ!」
アレクシスの言っていた悪人というのはきっとヒュフナー教授のことなのだと合点がいった。
いくらアレクシスと言えど学園の教師を相手にして無事でいられるとは思えない。
「待て、ルノくん! 一体何処に行くつもりなんだ!」
尻餅をついていたケントが何とか身体を起こすと、オレの腕を掴んで止める。
「説明してる場合じゃねえ、アレクシスのとこに行くっ!」
もしアレクシスに何かあったら――――最悪の想像がオレの頭を駆け巡っていた。
この恐怖には覚えがあった。母が無茶をして足を失った時のことだ。母が血塗れの身体になって戻ってきた時、オレは母が死んでしまうのではないかと怯えた。今のこの恐怖はその時の恐怖とまったく同じだった。
「……分かった、じゃあ僕は他の先生を呼んでくる!」
ケントは何かを察してくれたのか、腕を放してくれた。
「ちゅっ!」
エーファが肩に乗っかって何かを訴えかけてくる。
エーファがついてきても危ないだけだと言いかけ、思い直す。
「お前もアレクシスが心配なのか」
思いは一緒なのだから、つれていくべきだと思った。
ケントはそんなオレたちを真っ直ぐに見据える。
「無茶はするなよ!」
「ああ!」
研究室から二人で駆け出すと、二手に分かれる。
心の内でケントに感謝しながら、オレは中庭へと向かった。
* * *
「では説明しようか、アレクシスくん」
ヒュフナー教授は授業を始める時とまったく同じ調子で口を開いた。
「私の研究する使役学は魂の一部を使い魔と共有する術である。少なくとも私はそう考えていると講義の中で説明したね?」
「はい。覚えています」
背中に使い魔のフクロウの視線を感じながらこくりと頷く。
万が一教授を敵に回す場合、オレは前と後ろから同時に襲われることになる。無事でいられるだろうか。
「そこで私は考えた。人と動物の魂を繋ぐことができるなら人と人の魂を繋ぐことだってできるだろうと」
「それは……思考してみるだけならばまだしも、実際に人体実験を行うという意味ですか? それは非人道的な行為のように思われるのですが」
「ああ、ああ。心配せずとも大義はあるよ。一見すると禁忌的行いに思えるかもしれないが、そこからもう一歩思考を奥に進めるんだ。そうすると何が見えてくる?」
教授はいつものように生徒に答えを導かせるがごとく、優しい笑みを浮かべている。
「……さあ。分かりません」
首を横に振った。
教授のあまりにも平常な表情にオレは嫌な予感がしてきていた。
「ああ、まだ学生の君には少し難しかったかな。人と人の魂を繋げ、結び、混ぜ合わせ続けた結果――――もしもすべての人間の魂を一つにすることが出来ればどうなるかな?」
「な……っ!?」
驚きに目を見開く。
「すべての人間が魂を共有することが出来れば、人間同士の争いはなくなり、すれ違いや誤解、身分の違い、その他ほとんどの苦しみは世界から消え去る。何故ならこの世に満ちる苦しみのほとんどは人間同士の不理解に起因するものだからだ。そうは思わないか?」
ヒュフナー教授はのうのうと宣ったのだ。
「どうだ、分かってくれただろう。私が目指していることは世界平和なのだ」
「…………」
教授の言葉にオレは黙りこくった。
教授の理想はとてもじゃないが認められるものではなかったからだ。
なるほど父が『魔術世界を丸ごと破壊しかねない悪』だと形容する訳だと思った。
すべての人間の魂を共有して一つにするだって? それはすべての人間を殺すと言っているのと何が違うのか。魔術世界どころかこの世に生きている人々すべての生が奪われるということだ。
だが、それを糾弾するには今はタイミングが悪い。教授のフクロウが油断なくオレの首を狙っている。何とか時間を稼いで反撃の隙を狙うべきか。
「しかし、そんなことが可能とは思えません」
教授を刺激しないように話を逸らす。
「いやいやそれが可能なのだ! 確かに直接人間同士の魂を融合させることは難しかった。だがあるものを媒介すればいいと私は閃いた!」
「そのあるものとは?」
ローブの下のサーベルの柄にさりげなく手を触れると、フクロウがピクリと身動ぎする。これは下手な動きはできなさそうだ。
「Agnimaだ」
「Agnima……最上位存在だという、あの?」
随分と黴臭い概念を持ち出してきたものだ。
大精霊など、オレも古代魔術史の授業でしか聞いたことがない代物だった。
「ああ。古代エルフに信仰されていた言わば神のようなもの。何処にでも存在し、何処にも存在しない森羅万象。この世すべての人間の魂を預かる器として、これ以上適した存在は他にいまい」
教授はあくまでも理性を宿した瞳でそう語った。
狂った訳ではなく、あくまでも正気のまま導き出した答えなのだろうと理解できる。だからこそ厄介だった。
「まさか今夜それを実行するつもりだと?」
「いやいや。まだこの理論は実験段階でね。今夜は大精霊に見立てた代わりの精霊に、ほんの数人の魂を融合させるつもりだ」
「……ッ!」
ヒュフナー教授の理論が本当に実行可能なのかは分からない。実験段階だというなら、むしろ何処かに破綻がある方が自然だろう。魔術師は理論を組み立てては失敗と成功を繰り返す生き物だからだ。
だが、だからといって彼の今夜の実験とやらを見過ごすことは出来ない。まかりまちがって教授の魔術が暴走して生徒に被害が及んだりしたら……とりわけルノに何かあったりしたらと思うと、許容出来る訳がない。
教授の野望を知らなかったとはいえ、ルノを教授の研究室に行かせたのは間違いだった。どんなものが潜んでいるか分からない。今頃危険な目に遭っているのではないかと思うと気が気ではなかった。
正直今すぐにでもルノのところに向かいたかったが、その気持ちを抑えて教授を見据える。
「教授。ここまで聞いて確信しました。オレはどうしても貴方を正しいとは思えません」
「それはどうしてかね? ああ、心配せずとも"素材"はきちんと商人から買い上げたものだ。元はどこかの街のスラムのをうろついてたのであろう取るに足らない子供だよ」
ヒュフナー教授はその自分の言葉に何一つ疑問を感じていないようだった。
魔術師の倫理観なんて皆こんなものだ。他の魔術師だって、魔術師でないもの、貴族でないものはすべて研究の実験材料だとしか思ってない。父だってきっと、そういう魔術師の一人なのだ。
乳母がいろいろ教えてくれなければ、今頃はオレもそうした価値観を持つ一人だったのだろうか。そしてルノへの恋心を抱くこともなかったのか。
そんな人生ではなくて良かったと心から思った。
「そういうことではありません」
教授に対して首を横に振る。
「……やれやれ。アレクシスくんもそうなのか」
教授は溜息を吐くと失望したように言った。
「すべての人間が一つになって身分の差が無くなるなどとんでもない、既得権益を手放すことなどできない、自分たちだけが美味しい汁を吸うことが出来ればいい。そう思っているのかね、君も」
教授はオレが研究に反対する理由を勘違いしているようだった。
「理由を言っても、教授には理解できないと思います」
「そうか。この学園一の優等生を失うことになって残念だ」
その言葉に、教授は目的達成の為なら人を殺すくらい訳もないのだと悟った。世界平和の為だと言いながら、笑わせる。オレを殺して証拠隠滅し、そのまま普通に研究と実験を続けるつもりか?
「貴様の思い通りにはさせない。さっさと事を終わらせてルノを迎えに行くと約束してるんでな」
敬語をかなぐり捨てて柄に手をかける。
今すぐルノのところに駆けていかないのは正義の為に己を殺しているからではない、目の前の男を切り捨ててから迎えに行くのが一番早いと判断したからだ────。
檻の中の白ネズミが確かに人語を発した。
「ひ……っ!」
ケントが小さく悲鳴を上げて尻餅をついた。
「たすけ。た。ごはん」
ネズミはパクパクと口を動かし、無理やり人間の声を模しているかのような機械的な声を発した。
そしてまるで人間のように檻の扉を手で掴んでガシャガシャと揺らしたのだった。
金属音が響く中でずた袋に入れられた薄汚れた子供がただ息をしている。
「一体何なんだこの部屋は……」
常識を逸したこの部屋の様相にオレも顔から血の気が引いた。
隠し扉の中にこんなものを隠していたなんて、ヒュフナー教授の行っていることが人道的なものだとは到底思えなかった。教授ほど優しい人は他にいないと思っていたのに。今まで見てきた彼の慈悲深さと、今目の前にしていることとの乖離に脳が追い付かなかった。
それでも頭の中を真っ先に過るものがあった。
「アレクシスが危ない……っ!」
アレクシスの言っていた悪人というのはきっとヒュフナー教授のことなのだと合点がいった。
いくらアレクシスと言えど学園の教師を相手にして無事でいられるとは思えない。
「待て、ルノくん! 一体何処に行くつもりなんだ!」
尻餅をついていたケントが何とか身体を起こすと、オレの腕を掴んで止める。
「説明してる場合じゃねえ、アレクシスのとこに行くっ!」
もしアレクシスに何かあったら――――最悪の想像がオレの頭を駆け巡っていた。
この恐怖には覚えがあった。母が無茶をして足を失った時のことだ。母が血塗れの身体になって戻ってきた時、オレは母が死んでしまうのではないかと怯えた。今のこの恐怖はその時の恐怖とまったく同じだった。
「……分かった、じゃあ僕は他の先生を呼んでくる!」
ケントは何かを察してくれたのか、腕を放してくれた。
「ちゅっ!」
エーファが肩に乗っかって何かを訴えかけてくる。
エーファがついてきても危ないだけだと言いかけ、思い直す。
「お前もアレクシスが心配なのか」
思いは一緒なのだから、つれていくべきだと思った。
ケントはそんなオレたちを真っ直ぐに見据える。
「無茶はするなよ!」
「ああ!」
研究室から二人で駆け出すと、二手に分かれる。
心の内でケントに感謝しながら、オレは中庭へと向かった。
* * *
「では説明しようか、アレクシスくん」
ヒュフナー教授は授業を始める時とまったく同じ調子で口を開いた。
「私の研究する使役学は魂の一部を使い魔と共有する術である。少なくとも私はそう考えていると講義の中で説明したね?」
「はい。覚えています」
背中に使い魔のフクロウの視線を感じながらこくりと頷く。
万が一教授を敵に回す場合、オレは前と後ろから同時に襲われることになる。無事でいられるだろうか。
「そこで私は考えた。人と動物の魂を繋ぐことができるなら人と人の魂を繋ぐことだってできるだろうと」
「それは……思考してみるだけならばまだしも、実際に人体実験を行うという意味ですか? それは非人道的な行為のように思われるのですが」
「ああ、ああ。心配せずとも大義はあるよ。一見すると禁忌的行いに思えるかもしれないが、そこからもう一歩思考を奥に進めるんだ。そうすると何が見えてくる?」
教授はいつものように生徒に答えを導かせるがごとく、優しい笑みを浮かべている。
「……さあ。分かりません」
首を横に振った。
教授のあまりにも平常な表情にオレは嫌な予感がしてきていた。
「ああ、まだ学生の君には少し難しかったかな。人と人の魂を繋げ、結び、混ぜ合わせ続けた結果――――もしもすべての人間の魂を一つにすることが出来ればどうなるかな?」
「な……っ!?」
驚きに目を見開く。
「すべての人間が魂を共有することが出来れば、人間同士の争いはなくなり、すれ違いや誤解、身分の違い、その他ほとんどの苦しみは世界から消え去る。何故ならこの世に満ちる苦しみのほとんどは人間同士の不理解に起因するものだからだ。そうは思わないか?」
ヒュフナー教授はのうのうと宣ったのだ。
「どうだ、分かってくれただろう。私が目指していることは世界平和なのだ」
「…………」
教授の言葉にオレは黙りこくった。
教授の理想はとてもじゃないが認められるものではなかったからだ。
なるほど父が『魔術世界を丸ごと破壊しかねない悪』だと形容する訳だと思った。
すべての人間の魂を共有して一つにするだって? それはすべての人間を殺すと言っているのと何が違うのか。魔術世界どころかこの世に生きている人々すべての生が奪われるということだ。
だが、それを糾弾するには今はタイミングが悪い。教授のフクロウが油断なくオレの首を狙っている。何とか時間を稼いで反撃の隙を狙うべきか。
「しかし、そんなことが可能とは思えません」
教授を刺激しないように話を逸らす。
「いやいやそれが可能なのだ! 確かに直接人間同士の魂を融合させることは難しかった。だがあるものを媒介すればいいと私は閃いた!」
「そのあるものとは?」
ローブの下のサーベルの柄にさりげなく手を触れると、フクロウがピクリと身動ぎする。これは下手な動きはできなさそうだ。
「Agnimaだ」
「Agnima……最上位存在だという、あの?」
随分と黴臭い概念を持ち出してきたものだ。
大精霊など、オレも古代魔術史の授業でしか聞いたことがない代物だった。
「ああ。古代エルフに信仰されていた言わば神のようなもの。何処にでも存在し、何処にも存在しない森羅万象。この世すべての人間の魂を預かる器として、これ以上適した存在は他にいまい」
教授はあくまでも理性を宿した瞳でそう語った。
狂った訳ではなく、あくまでも正気のまま導き出した答えなのだろうと理解できる。だからこそ厄介だった。
「まさか今夜それを実行するつもりだと?」
「いやいや。まだこの理論は実験段階でね。今夜は大精霊に見立てた代わりの精霊に、ほんの数人の魂を融合させるつもりだ」
「……ッ!」
ヒュフナー教授の理論が本当に実行可能なのかは分からない。実験段階だというなら、むしろ何処かに破綻がある方が自然だろう。魔術師は理論を組み立てては失敗と成功を繰り返す生き物だからだ。
だが、だからといって彼の今夜の実験とやらを見過ごすことは出来ない。まかりまちがって教授の魔術が暴走して生徒に被害が及んだりしたら……とりわけルノに何かあったりしたらと思うと、許容出来る訳がない。
教授の野望を知らなかったとはいえ、ルノを教授の研究室に行かせたのは間違いだった。どんなものが潜んでいるか分からない。今頃危険な目に遭っているのではないかと思うと気が気ではなかった。
正直今すぐにでもルノのところに向かいたかったが、その気持ちを抑えて教授を見据える。
「教授。ここまで聞いて確信しました。オレはどうしても貴方を正しいとは思えません」
「それはどうしてかね? ああ、心配せずとも"素材"はきちんと商人から買い上げたものだ。元はどこかの街のスラムのをうろついてたのであろう取るに足らない子供だよ」
ヒュフナー教授はその自分の言葉に何一つ疑問を感じていないようだった。
魔術師の倫理観なんて皆こんなものだ。他の魔術師だって、魔術師でないもの、貴族でないものはすべて研究の実験材料だとしか思ってない。父だってきっと、そういう魔術師の一人なのだ。
乳母がいろいろ教えてくれなければ、今頃はオレもそうした価値観を持つ一人だったのだろうか。そしてルノへの恋心を抱くこともなかったのか。
そんな人生ではなくて良かったと心から思った。
「そういうことではありません」
教授に対して首を横に振る。
「……やれやれ。アレクシスくんもそうなのか」
教授は溜息を吐くと失望したように言った。
「すべての人間が一つになって身分の差が無くなるなどとんでもない、既得権益を手放すことなどできない、自分たちだけが美味しい汁を吸うことが出来ればいい。そう思っているのかね、君も」
教授はオレが研究に反対する理由を勘違いしているようだった。
「理由を言っても、教授には理解できないと思います」
「そうか。この学園一の優等生を失うことになって残念だ」
その言葉に、教授は目的達成の為なら人を殺すくらい訳もないのだと悟った。世界平和の為だと言いながら、笑わせる。オレを殺して証拠隠滅し、そのまま普通に研究と実験を続けるつもりか?
「貴様の思い通りにはさせない。さっさと事を終わらせてルノを迎えに行くと約束してるんでな」
敬語をかなぐり捨てて柄に手をかける。
今すぐルノのところに駆けていかないのは正義の為に己を殺しているからではない、目の前の男を切り捨ててから迎えに行くのが一番早いと判断したからだ────。
22
あなたにおすすめの小説
転化オメガの優等生はアルファの頂点に組み敷かれる
さち喜
BL
優等生・聖利(ひじり)と校則破りの常習犯・來(らい)は、ともに優秀なアルファ。
ライバルとして競い合ってきたふたりは、高等部寮でルームメイトに。
來を意識してしまう聖利は、あるとき自分の身体に妙な変化を感じる。
すると、來が獣のように押し倒してきて……。
「その顔、煽ってんだろ? 俺を」
アルファからオメガに転化してしまった聖利と、過保護に執着する來の焦れ恋物語。
※性描写がありますので、苦手な方はご注意ください。
※2021年に他サイトで連載した作品です。ラストに番外編を加筆予定です。
☆登場人物☆
楠見野聖利(くすみのひじり)
高校一年、175センチ、黒髪の美少年アルファ。
中等部から学年トップの秀才。
來に好意があるが、叶わぬ気持ちだと諦めている。
ある日、バース性が転化しアルファからオメガになってしまう。
海瀬來(かいせらい)
高校一年、185センチ、端正な顔立ちのアルファ。
聖利のライバルで、身体能力は聖利より上。
海瀬グループの御曹司。さらに成績優秀なため、多少素行が悪くても教師も生徒も手出しできない。
聖利のオメガ転化を前にして自身を抑えきれず……。
完璧な計画
しづ未
BL
双子の妹のお見合い相手が女にだらしないと噂だったので兄が代わりにお見合いをして破談させようとする話です。
本編+おまけ後日談の本→https://booth.pm/ja/items/6718689
【完結】君を上手に振る方法
社菘
BL
「んー、じゃあ俺と付き合う?」
「………はいっ?」
ひょんなことから、入学して早々距離感バグな見知らぬ先輩にそう言われた。
スクールカーストの上位というより、もはや王座にいるような学園のアイドルは『告白を断る理由が面倒だから、付き合っている人がほしい』のだそう。
お互いに利害が一致していたので、付き合ってみたのだが――
「……だめだ。僕、先輩のことを本気で……」
偽物の恋人から始まった不思議な関係。
デートはしたことないのに、キスだけが上手くなる。
この関係って、一体なに?
「……宇佐美くん。俺のこと、上手に振ってね」
年下うさぎ顔純粋男子(高1)×精神的優位美人男子(高3)の甘酸っぱくじれったい、少しだけ切ない恋の話。
✧毎日2回更新中!ボーナスタイムに更新予定✧
✧お気に入り登録・各話♡・エール📣作者大歓喜します✧
神託にしたがって同居します
温風
BL
ファンタジー世界を舞台にしたオメガバースです。
アルファ騎士×美人ベータ(?)
【人物紹介】
受け:セオ(24歳)この話の主人公。砂漠地帯からの移民で、音楽の才がある。強気無自覚美人。
攻め:エイダン(28歳)王室付き近衛騎士・分隊長。伯爵家の三男でアルファ。料理好き。過労気味。
【あらすじ】
「──とりあえず同居してごらんなさい」
国王陛下から適当な神託を聞かされたセオとエイダン。
この国にはパートナー制度がある。地母神の神託にしたがって、アルファとオメガは番うことを勧められるのだ。
けれどセオはベータで、おまけに移民。本来なら、地位も身分もあるエイダンと番うことはできない。
自分は彼の隣にふさわしくないのになぜ? 神様の勘違いでは?
悩みながらも、セオはエイダンと同居を始めるのだが……。
全11話。初出はpixiv(別名義での投稿)。他サイト様にも投稿しております。
表紙イラストは、よきなが様(Twitter @4k7g2)にお願いしました。
追記:2024/3/10開催 J. Garden55にて、『神託にしたがって同居します』の同人誌を頒布します。詳しい内容は、近況ボードにまとめます。ご覧頂ければ幸いです!
【BL】『Ωである俺』に居場所をくれたのは、貴男が初めてのひとでした
圭琴子
BL
この世界は、αとβとΩで出来てる。
生まれながらにエリートのαや、人口の大多数を占める『普通』のβにはさして意識するほどの事でもないだろうけど、俺たちΩにとっては、この世界はけして優しくはなかった。
今日も寝坊した。二学期の初め、転校初日だったけど、ワクワクもドキドキも、期待に胸を膨らませる事もない。何故なら、高校三年生にして、もう七度目の転校だったから。
βの両親から生まれてしまったΩの一人息子の行く末を心配して、若かった父さんと母さんは、一つの罪を犯した。
小学校に入る時に義務付けられている血液検査日に、俺の血液と父さんの血液をすり替えるという罪を。
従って俺は戸籍上、β籍になっている。
あとは、一度吐(つ)いてしまった嘘がバレないよう、嘘を上塗りするばかりだった。
俺がΩとバレそうになる度に転校を繰り返し、流れ流れていつの間にか、東京の一大エスカレーター式私立校、小鳥遊(たかなし)学園に通う事になっていた。
今まで、俺に『好き』と言った連中は、みんなΩの発情期に当てられた奴らばかりだった。
だから『好き』と言われて、ピンときたことはない。
だけど。優しいキスに、心が動いて、いつの間にかそのひとを『好き』になっていた。
学園の事実上のトップで、生まれた時から許嫁が居て、俺のことを遊びだと言い切るあいつを。
どんなに酷いことをされても、一度愛したあのひとを、忘れることは出来なかった。
『Ωである俺』に居場所をくれたのは、貴男が初めてのひとだったから。
Ωの花嫁に指名されたけど、αのアイツは俺にだけ発情するらしい
春夜夢
BL
この世界では、生まれつき【α】【β】【Ω】という性の区分が存在する。
俺――緋月 透真(ひづき とうま)は、どれにも属さない“未分化体(ノンラベル)”。存在すら認められていないイレギュラーだった。
ひっそりと生きていたはずのある日、学園一のαで次期統領候補・天瀬 陽翔(あませ はると)に突然「俺の番になれ」と迫られ、なぜか正式なΩ候補に指名されてしまう。
「俺にだけ、お前の匂いがする」──それは、αにとって最大の禁忌だった。
申し訳ございません。あいにく先約がございまして。
ハリネズミ
BL
取引先の息子から何度もなんども食事に誘われる。
俺は決まって断りもんくを口にする。
「申し訳ございません。あいにく先約がございまして」
いつまで続くこの攻防。
表紙はまちば様(@Machiba0000)に描いていただきました🌸
素敵な表紙をありがとうございました🌸
花喰らうオメガと運命の溺愛アルファ
哀木ストリーム
BL
αからの支配から逃げるには、この方法しかなかった。
Ωの辰紀は、αが苦手とする強い匂いを放つ花を、ヒートが始まる前から祖母に食べさせられていた。
そのおかげでヒート中にαに襲われることから逃れていた。
そして祖母が亡くなったある日。両親に売られてしまった祖母の形見を探しに骨董品屋に向かうと、先に祖母の形見を集めているαの有栖川竜仁と出会う。彼を騙して祖母の形見を回収しようとしていたが、彼には花の匂いが効かなかった。それどころか両親が隠したはずの首輪の鍵を持っていて、番にされてしまう。
「その花は、Ωを守る花ではない。喰らわれるのは君の方だよ」
花の中毒症状から救おうと手を差し伸べる竜仁。
彼は、祖母を苦しめたαの孫だと知りーー。
11月から更新します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる