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第十七話 オレは姫ではない
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「オレが国王になって、エリクを伴侶にする。それなら何の問題もないだろ?」
完全に勢いだった。
だが、閃いた瞬間いい案だと思った。
「しかし……貴方は姫だろう。姫は国王になれない」
しかしエリクは苦笑する。
「何でだよ。オレは男だ。王子との違いは何もないだろう」
現国王には子供が一人しかおらず、それが女児だった。
だから、隣国の第三王子ローランと結婚し、ローランを国王にすることで国を存続させよう。
それが『エンドオブファンタジー』の元々の設定なのだと思う。
ところがその辺の設定周りが変わらず、姫の性別だけ男になった。
だから今のような捻じれた状況になってしまってるのだろう。
考えてみれば不当な状況だ。
訳の分からんバグのせいで、本来オレが享受すべき権利が奪われているなんて。
「いや、だが……」
「オレは姫じゃない、王子だ! オレが国を継ぐ!」
オレは初めてこの世界のバグに真っ向から抗った。
心の中では散々文句を言ってきたが、この世界の人間に「姫ではない」とはっきり言うのはこれで初めてだった。
この世界のバグに逆らったらどうなるのか、これまでは心の何処かで恐れていた。
それをはっきりと口にしたら、何が起こるのだろうかと。
果たして、エリクは――――
「……っ!」
エリクは目を見開く。
「それでも……オレと結婚するのは嫌か?」
「……いや」
ゆっくりと彼がオレに歩み寄る。
「まさか貴方にそれほどの覚悟があったとはな」
彼は柔らかい微笑みを浮かべていた。
「じゃあ……!」
「ああ。どんな手段を使ってでも貴方をこの国の王にすると約束しよう」
胸の中が暖かい気持ちで満たされる。
彼は『オレ自身』を認めてくれたのだ。
そう感じた。
「エリク……っ!」
彼の身体に腕を回し、強く抱き締めた。
彼がそれに応えて、オレを抱き締め返してくれた。
「アン。改めて聞いてくれないか」
耳元に囁かれるオレの愛称。
熱いものが込み上げてくる。
「うん」
胸がドキドキと高鳴っている。
「愛してる。私と――――結婚してくれないか」
彼の声が耳に届いた瞬間、時が止まったようにすら感じられた。
一瞬を永遠にしたいほど、嬉しい言葉だったから。
「ああ、もちろん!」
うれし涙が溢れるのを感じながら、頷いた。
「ふふ」
エリクが少し身体を離し、オレを見つめる。
そしてオレの顎にそっと手を添えた。
何をするのか悟り、オレは目を閉じた。
唇に柔らかい感触が触れ、湿ったものが唇を割って入ってきた。
舌と舌を絡めるだけで、腰砕けになるほど甘い感覚が身体を駆け抜けていく。
「はあ……っ」
口を離して彼に体重を預ける。
するとふわりと身体が浮く。
彼が抱き上げてくれたのだ。
前は変な酒を飲まされていたから気にするどころじゃなかったけど、大の男であるオレを軽々と持ち上げるなんてエリクは魔術師の癖に力持ちだな。
「身体強化の魔術だよ」
オレの視線に気がついたのか、彼が眉を上げて答える。
なんだと、魔術を使う素振りなんて見えなかったぞ。無詠唱魔術かよ。
彼はオレをベッドの上に優しく下ろしてくれた。
ローブを脱ぎながら、彼もベッドに上がってくる。
シャツの合間から見える褐色の肌に、下腹の辺りが疼くのを感じる。
「エリク、脱がしてくれるだろ?」
「ああ」
これ見よがしにボタンを外して肌を見せると、彼が苦笑してオレの頬にキスを落としながら、オレの衣服に手をかける。
彼の手によって肌が空気に晒されていく。
やがてすべて脱がせられて生まれたままの姿にされると、流石にちょっと恥ずかしくて顔が熱くなるのを感じた。
「美しい肌だな」
「そういう気障なこといちいち言わなくていいから!」
彼の低い声に思わずゾクゾクとしてしまうのが悔しくて、真っ赤になりながらも彼を睨みつける。
「心からの言葉なんだがな」
彼は微笑みながらオレの身体に口付けを落としていく。
紅いうっ血の痕が点々とできていく。
彼の独占欲の証のようで、少し嬉しくなってしまう。
彼の褐色の手がオレの身体を撫でる。
心地よさと興奮を同時に覚える。
やがて彼の手が下肢に伸びる……。
完全に勢いだった。
だが、閃いた瞬間いい案だと思った。
「しかし……貴方は姫だろう。姫は国王になれない」
しかしエリクは苦笑する。
「何でだよ。オレは男だ。王子との違いは何もないだろう」
現国王には子供が一人しかおらず、それが女児だった。
だから、隣国の第三王子ローランと結婚し、ローランを国王にすることで国を存続させよう。
それが『エンドオブファンタジー』の元々の設定なのだと思う。
ところがその辺の設定周りが変わらず、姫の性別だけ男になった。
だから今のような捻じれた状況になってしまってるのだろう。
考えてみれば不当な状況だ。
訳の分からんバグのせいで、本来オレが享受すべき権利が奪われているなんて。
「いや、だが……」
「オレは姫じゃない、王子だ! オレが国を継ぐ!」
オレは初めてこの世界のバグに真っ向から抗った。
心の中では散々文句を言ってきたが、この世界の人間に「姫ではない」とはっきり言うのはこれで初めてだった。
この世界のバグに逆らったらどうなるのか、これまでは心の何処かで恐れていた。
それをはっきりと口にしたら、何が起こるのだろうかと。
果たして、エリクは――――
「……っ!」
エリクは目を見開く。
「それでも……オレと結婚するのは嫌か?」
「……いや」
ゆっくりと彼がオレに歩み寄る。
「まさか貴方にそれほどの覚悟があったとはな」
彼は柔らかい微笑みを浮かべていた。
「じゃあ……!」
「ああ。どんな手段を使ってでも貴方をこの国の王にすると約束しよう」
胸の中が暖かい気持ちで満たされる。
彼は『オレ自身』を認めてくれたのだ。
そう感じた。
「エリク……っ!」
彼の身体に腕を回し、強く抱き締めた。
彼がそれに応えて、オレを抱き締め返してくれた。
「アン。改めて聞いてくれないか」
耳元に囁かれるオレの愛称。
熱いものが込み上げてくる。
「うん」
胸がドキドキと高鳴っている。
「愛してる。私と――――結婚してくれないか」
彼の声が耳に届いた瞬間、時が止まったようにすら感じられた。
一瞬を永遠にしたいほど、嬉しい言葉だったから。
「ああ、もちろん!」
うれし涙が溢れるのを感じながら、頷いた。
「ふふ」
エリクが少し身体を離し、オレを見つめる。
そしてオレの顎にそっと手を添えた。
何をするのか悟り、オレは目を閉じた。
唇に柔らかい感触が触れ、湿ったものが唇を割って入ってきた。
舌と舌を絡めるだけで、腰砕けになるほど甘い感覚が身体を駆け抜けていく。
「はあ……っ」
口を離して彼に体重を預ける。
するとふわりと身体が浮く。
彼が抱き上げてくれたのだ。
前は変な酒を飲まされていたから気にするどころじゃなかったけど、大の男であるオレを軽々と持ち上げるなんてエリクは魔術師の癖に力持ちだな。
「身体強化の魔術だよ」
オレの視線に気がついたのか、彼が眉を上げて答える。
なんだと、魔術を使う素振りなんて見えなかったぞ。無詠唱魔術かよ。
彼はオレをベッドの上に優しく下ろしてくれた。
ローブを脱ぎながら、彼もベッドに上がってくる。
シャツの合間から見える褐色の肌に、下腹の辺りが疼くのを感じる。
「エリク、脱がしてくれるだろ?」
「ああ」
これ見よがしにボタンを外して肌を見せると、彼が苦笑してオレの頬にキスを落としながら、オレの衣服に手をかける。
彼の手によって肌が空気に晒されていく。
やがてすべて脱がせられて生まれたままの姿にされると、流石にちょっと恥ずかしくて顔が熱くなるのを感じた。
「美しい肌だな」
「そういう気障なこといちいち言わなくていいから!」
彼の低い声に思わずゾクゾクとしてしまうのが悔しくて、真っ赤になりながらも彼を睨みつける。
「心からの言葉なんだがな」
彼は微笑みながらオレの身体に口付けを落としていく。
紅いうっ血の痕が点々とできていく。
彼の独占欲の証のようで、少し嬉しくなってしまう。
彼の褐色の手がオレの身体を撫でる。
心地よさと興奮を同時に覚える。
やがて彼の手が下肢に伸びる……。
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