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第十話 食前の祈り
柔らかい白いパンに、分厚く切られた燻製肉。目玉焼きに添えられた葉野菜。グラスには、果汁を絞ったジュースがなみなみと注がれている。パンに塗るためのバターも、たっぷりと用意されている。
朝食なのに、修道院での食事三食分よりも豪華だ。
「さあ、召し上がってくださいませ」
エマが微笑む。
侍女たちが用意してくれる、いつも通りの朝食だ。
朝食を前に、リュシアンはゆっくりと両手を組んだ。
「神よ、感謝します。今日もパンとスープをわたしたちにお与えくださって、ありがとうございます。わたしたちが飢えないように、満たしてくださっていることに感謝します。囚われの生活の中でも、良き人との出会いに恵まれ、穏やかな生活を過ごせていることに感謝いたします。これからも穏やかな生活が続くように祈ります。主の御名において、祈ります」
食前の祈りを、滔々と唱えた。
侍女たちは、驚きに目を見張っている。
「まあリュシアン様、今日は一体どうされたのですか?」
「こう見えても信心深い人間なんです。今までは、我慢していたんですよ」
自ら修道院出だと喧伝するつもりはないが、これからは信仰心を隠さないことにしたのだ。
「まあ、そういうことでしたらご遠慮なさらずともよろしかったのに」
エマの笑顔に、自分は何を怯えていたのだろうかと思う。
修道院と同じく、離宮の中にも父の目は届かない。最初から、ありのままに生きていればよかったのだ。囚われの身ではあるが、離宮の中もまた自由に生きられる場所の一つだ。
それから数日が穏やかに過ぎていった。
昼は離宮の掃除をし、夜はエドゥアールの相手をした。行為自体はあまり好ましいものではなかったが、彼に会うのは楽しかった。
昼、掃除をしている最中のこと。
「ふふ、この離宮もだいぶ綺麗になってきましたねえ」
ぴかぴかと輝く廊下を眺めて、エマが満足そうに笑った。
エマの言う通り、広い離宮のほとんどが清掃され終わっていた。
「これからはお掃除以外に時間を使えますね」
「そうですね。何しようかな」
もちろん定期的な掃除は必要だろうが、今までのように一日のほとんどを費やすことはないだろう。
「それにしてもこの離宮、前はどこの側妃が使われていたのでしょうねえ」
天井を見上げ、エマがしみじみと呟いた。
「エマさんも知らないんですか?」
「ええ、何も聞かされていないのですよ。でもまあ、きっと前の主も冷遇されていたのでしょうねえ」
「冷遇されていたなんて、どうしてそう思うんです?」
「だって、離宮にしては小さいではないですか。普通の離宮でしたら、たったの侍女五人ではとても手が足りませんわ」
離宮にしては小さい方だったなんて知らなかった、とリュシアンもまたまじまじと廊下を眺め回した。
「た、大変です!」
その時、シャルロットが廊下に飛び込んできた。
「もう少ししたら、エドゥアール殿下が御渡りになるそうです!」
「ええ、この明るい時間に⁉」
彼女のもたらした報せに、リュシアンはすっとんきょうな声をあげてしまった。
「とにかく、すぐに支度いたしましょう。ほらリュシアン様、前掛けを取ってくださいませ!」
掃除で汚れないためにと付けていた前掛けを取り払うと、一旦自室に戻る。髪の乱れなどを整えるためだ。エドゥアールを迎えるために、全員で慌ただしく準備した。
なんとか身綺麗にして、エドゥアールを玄関で出迎えた。
「急に訪れてすまない」
「別に、全然構わないよ。でも、なんだってこの時間帯に?」
「今日はたまたま空いている時間ができたから、空いた時間は君と一緒に過ごしたいと思ったのだ。駄目だろうか」
彼の問いに、リュシアンは明るく笑った。
「駄目なものか、一緒にお茶しよう!」
侍女に貴人の間でお茶会の準備をしてもらい、二人は向き合って座った。
「先日も同じ茶葉だったな。君はこの茶葉が好きなのか?」
カップを手に取り、香りを一嗅ぎした彼は指摘した。
「香りだけで茶葉の種類がわかるのか? すごいな、エドゥアールは。俺は正直紅茶のことなんかよくわからなくて、侍女が勧めてくれるものを飲んでいるだけなんだ」
嗜好品には縁がないから、よくわからない。修道院では、紅茶など飲まなかった。
「そうなのか……」
リュシアンの言葉に、彼は何事か考えるような表情になった。
「エドゥアールは、王城ではどう過ごしているんだ? やっぱり、大変なのか?」
リュシアンもまたカップを傾けて、紅茶を味わった。
「大変かどうかは、わからないが。まず父の執務の一部を肩代わりしているので、政務がある。それだけでなく公式行事への出席などの、王太子としてなすべき公務もある。さらに講師による各種学問の講義と、自主勉強。それから乗馬訓練と剣術の鍛錬と……」
彼は指折りやるべきことを数えていく。その数ときたら、一体どうやって一人の人間がこなせるのかわからないほどの量だった。
「普通はそれを『大変』と言うと思うぞ。そんなに精力的にいろいろするのは、やっぱり立派な王太子になるために?」
「そうだな。立派な王太子、か……」
彼の呟きには、含みがあった。何か気にしていることでも、あるのだろうか。
「君は以前、こんなことを言っていたな。王というのは言いなりになっているだけで務まるような、簡単なものではないと」
「そういえば、そうだったな」
リュシアンの頷きを見て、彼は語り出す。
「私は、王は他人の意見を傾聴することも大事だと思っている。王一人がどんなに勉学に励んでも、一人の知識には限度がある。だから国にとっての重要な決定をする際には、専門家の意見に耳を傾ける必要がある場合もあるだろう」
「傾聴することと言いなりになることは違うと、たしかに思う」
彼の意見に同意した。
「ただエドゥアールに生意気に意見した当時は、意見に耳を傾けているというよりも、言いなりになっているように感じていたんだ。父親に言われたからって、嫌いなオメガと契約婚するなんてってな」
今思えば、同族嫌悪に似た感情を抱いていたのかもしれない。父の言いなりになっているのは、自分の方だ。
もっとも、抵抗したくてもどのように抵抗すればいいかわからない。オメガはあまりにも無力だ。
「その件に関しては、本当にすまない」
彼が申し訳なさそうに眉を下げてしまった。
「もういいって」
ひらひらと手を振った。
「ただ、君に言われて思ったのだ。本当に私は言いなりになってしまっているのではないかと。父の言葉に、素直に従いすぎていたのではないかと」
「エドゥアール……」
彼の言葉に、突き刺されたような気がした。
――抵抗したくてでもできない? 本当だろうか。方法を考えなかっただけではないだろうか。彼と同じように、自分も勇気を持つべきなのでは?
「それに、自分をなるべく幸せにする方法も模索してみたいと思った。君がそう言ってくれたからな」
彼は柔らかく微笑む。
彼の微笑だけで、心の内が明るく弾んでしまう。どうしてしまったのだろう、自分は。
「そうか、その、俺の一言なんかで心持ちが軽くなれたんなら、何よりだ。あはははは」
変な汗が出てきて、つい照れ笑いをしてしまった。
「君の笑顔は朗らかで、私まで明るくなれる」
明るくなれるのは、こっちのほうなのに。考えていたことと似たようなことを言われ、心臓がどきりと弾んだ。
「君のおかげで元気をもらえた。では、そろそろ城に戻るとしよう」
彼がカップを置いて、席を立つ。
彼を見送ろうと、リュシアンもまた立ち上がった。
部屋を出ようとしたら、逆に彼はリュシアンに一歩近づいてきたので、予想外に距離が縮まってどきりと胸が高鳴る。
「また、今晩」
彼が囁いた。
心臓の鼓動が大きくなる。
嬉しくなってしまう自分の心が憎い。どんどん、オメガらしくなっていくようで。
「あ、ああ、待ってるぜ」
赤面せずに返事できたか、自信がなかった。
朝食なのに、修道院での食事三食分よりも豪華だ。
「さあ、召し上がってくださいませ」
エマが微笑む。
侍女たちが用意してくれる、いつも通りの朝食だ。
朝食を前に、リュシアンはゆっくりと両手を組んだ。
「神よ、感謝します。今日もパンとスープをわたしたちにお与えくださって、ありがとうございます。わたしたちが飢えないように、満たしてくださっていることに感謝します。囚われの生活の中でも、良き人との出会いに恵まれ、穏やかな生活を過ごせていることに感謝いたします。これからも穏やかな生活が続くように祈ります。主の御名において、祈ります」
食前の祈りを、滔々と唱えた。
侍女たちは、驚きに目を見張っている。
「まあリュシアン様、今日は一体どうされたのですか?」
「こう見えても信心深い人間なんです。今までは、我慢していたんですよ」
自ら修道院出だと喧伝するつもりはないが、これからは信仰心を隠さないことにしたのだ。
「まあ、そういうことでしたらご遠慮なさらずともよろしかったのに」
エマの笑顔に、自分は何を怯えていたのだろうかと思う。
修道院と同じく、離宮の中にも父の目は届かない。最初から、ありのままに生きていればよかったのだ。囚われの身ではあるが、離宮の中もまた自由に生きられる場所の一つだ。
それから数日が穏やかに過ぎていった。
昼は離宮の掃除をし、夜はエドゥアールの相手をした。行為自体はあまり好ましいものではなかったが、彼に会うのは楽しかった。
昼、掃除をしている最中のこと。
「ふふ、この離宮もだいぶ綺麗になってきましたねえ」
ぴかぴかと輝く廊下を眺めて、エマが満足そうに笑った。
エマの言う通り、広い離宮のほとんどが清掃され終わっていた。
「これからはお掃除以外に時間を使えますね」
「そうですね。何しようかな」
もちろん定期的な掃除は必要だろうが、今までのように一日のほとんどを費やすことはないだろう。
「それにしてもこの離宮、前はどこの側妃が使われていたのでしょうねえ」
天井を見上げ、エマがしみじみと呟いた。
「エマさんも知らないんですか?」
「ええ、何も聞かされていないのですよ。でもまあ、きっと前の主も冷遇されていたのでしょうねえ」
「冷遇されていたなんて、どうしてそう思うんです?」
「だって、離宮にしては小さいではないですか。普通の離宮でしたら、たったの侍女五人ではとても手が足りませんわ」
離宮にしては小さい方だったなんて知らなかった、とリュシアンもまたまじまじと廊下を眺め回した。
「た、大変です!」
その時、シャルロットが廊下に飛び込んできた。
「もう少ししたら、エドゥアール殿下が御渡りになるそうです!」
「ええ、この明るい時間に⁉」
彼女のもたらした報せに、リュシアンはすっとんきょうな声をあげてしまった。
「とにかく、すぐに支度いたしましょう。ほらリュシアン様、前掛けを取ってくださいませ!」
掃除で汚れないためにと付けていた前掛けを取り払うと、一旦自室に戻る。髪の乱れなどを整えるためだ。エドゥアールを迎えるために、全員で慌ただしく準備した。
なんとか身綺麗にして、エドゥアールを玄関で出迎えた。
「急に訪れてすまない」
「別に、全然構わないよ。でも、なんだってこの時間帯に?」
「今日はたまたま空いている時間ができたから、空いた時間は君と一緒に過ごしたいと思ったのだ。駄目だろうか」
彼の問いに、リュシアンは明るく笑った。
「駄目なものか、一緒にお茶しよう!」
侍女に貴人の間でお茶会の準備をしてもらい、二人は向き合って座った。
「先日も同じ茶葉だったな。君はこの茶葉が好きなのか?」
カップを手に取り、香りを一嗅ぎした彼は指摘した。
「香りだけで茶葉の種類がわかるのか? すごいな、エドゥアールは。俺は正直紅茶のことなんかよくわからなくて、侍女が勧めてくれるものを飲んでいるだけなんだ」
嗜好品には縁がないから、よくわからない。修道院では、紅茶など飲まなかった。
「そうなのか……」
リュシアンの言葉に、彼は何事か考えるような表情になった。
「エドゥアールは、王城ではどう過ごしているんだ? やっぱり、大変なのか?」
リュシアンもまたカップを傾けて、紅茶を味わった。
「大変かどうかは、わからないが。まず父の執務の一部を肩代わりしているので、政務がある。それだけでなく公式行事への出席などの、王太子としてなすべき公務もある。さらに講師による各種学問の講義と、自主勉強。それから乗馬訓練と剣術の鍛錬と……」
彼は指折りやるべきことを数えていく。その数ときたら、一体どうやって一人の人間がこなせるのかわからないほどの量だった。
「普通はそれを『大変』と言うと思うぞ。そんなに精力的にいろいろするのは、やっぱり立派な王太子になるために?」
「そうだな。立派な王太子、か……」
彼の呟きには、含みがあった。何か気にしていることでも、あるのだろうか。
「君は以前、こんなことを言っていたな。王というのは言いなりになっているだけで務まるような、簡単なものではないと」
「そういえば、そうだったな」
リュシアンの頷きを見て、彼は語り出す。
「私は、王は他人の意見を傾聴することも大事だと思っている。王一人がどんなに勉学に励んでも、一人の知識には限度がある。だから国にとっての重要な決定をする際には、専門家の意見に耳を傾ける必要がある場合もあるだろう」
「傾聴することと言いなりになることは違うと、たしかに思う」
彼の意見に同意した。
「ただエドゥアールに生意気に意見した当時は、意見に耳を傾けているというよりも、言いなりになっているように感じていたんだ。父親に言われたからって、嫌いなオメガと契約婚するなんてってな」
今思えば、同族嫌悪に似た感情を抱いていたのかもしれない。父の言いなりになっているのは、自分の方だ。
もっとも、抵抗したくてもどのように抵抗すればいいかわからない。オメガはあまりにも無力だ。
「その件に関しては、本当にすまない」
彼が申し訳なさそうに眉を下げてしまった。
「もういいって」
ひらひらと手を振った。
「ただ、君に言われて思ったのだ。本当に私は言いなりになってしまっているのではないかと。父の言葉に、素直に従いすぎていたのではないかと」
「エドゥアール……」
彼の言葉に、突き刺されたような気がした。
――抵抗したくてでもできない? 本当だろうか。方法を考えなかっただけではないだろうか。彼と同じように、自分も勇気を持つべきなのでは?
「それに、自分をなるべく幸せにする方法も模索してみたいと思った。君がそう言ってくれたからな」
彼は柔らかく微笑む。
彼の微笑だけで、心の内が明るく弾んでしまう。どうしてしまったのだろう、自分は。
「そうか、その、俺の一言なんかで心持ちが軽くなれたんなら、何よりだ。あはははは」
変な汗が出てきて、つい照れ笑いをしてしまった。
「君の笑顔は朗らかで、私まで明るくなれる」
明るくなれるのは、こっちのほうなのに。考えていたことと似たようなことを言われ、心臓がどきりと弾んだ。
「君のおかげで元気をもらえた。では、そろそろ城に戻るとしよう」
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彼を見送ろうと、リュシアンもまた立ち上がった。
部屋を出ようとしたら、逆に彼はリュシアンに一歩近づいてきたので、予想外に距離が縮まってどきりと胸が高鳴る。
「また、今晩」
彼が囁いた。
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※この作品は2015年頃に本文を書き、2017年頃にオメガバースに改稿、さらに2026年に手直しした作品になります。読みにくいかもしれません。ご了承ください。
三人称ですが攻めだったり受けだったり視点がよくかわります。攻め視点多めです。