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第二十二話 裏切り
それから数日後、またドゥ・ファルギエール家からの手紙が届いた。もちろん、差出人は父だ。
父からのせっかくの善意の申し出を断ってしまったのだから、この手紙の中には罵詈雑言が書き連ねてあるのだろう。
リュシアンはいつものように侍女から手紙を受け取り、部屋に籠った。
「はあ」
手紙の入った封筒を前に、溜息を吐く。内容がわかり切っているだけに、気が重くなる。
気の重い用事は、さっさと済ませてしまおう。
もう一度大きく溜息を吐くと、乱暴に封筒を破って中の便箋を取り出した。ばっと便箋を開き、文面を確認した。
『お前の意思はわかった。ベルンハルト殿と結婚をしないのは、非常に残念だ。ベルンハルト殿も落胆していた。しかし、それがお前の意思ならば仕方がない。無理強いはできないからな』
時候の挨拶の後に続く一文に、肩から力が抜けるのを感じた。父は少しも怒っていないみたいだ。
『もうすぐ夏至祭の時期だろう。夏至祭の夜は家族で過ごすものだ。一度帰ってくるといい』
手紙の最後に、そう書かれていた。
王国では、夏至の晩を境に一年が終わり、また新しい年が始まることになっている。一年の境目である夏至祭の晩は、家族で過ごすものだ。もっとも、リュシアン自身はそんな普通の夏至祭の晩を過ごした経験はないが。
「エドは父に気をつけろと言っていたが……」
家族で過ごす夏至祭は、憧れだった。前も父の邸宅に泊まっても何も起こらなかったのだし、今回も行ってもいいのではないだろうか。だって、頼み事を断ったというのに温厚なままなのだから。きっと父は本当に心を入れ替えたのだ。
リュシアンはすらすらと返事を書いた。自分の意思を尊重してくれてありがたい、夏至祭の晩はぜひ泊まりたい、という旨の返事だ。
今ならば、父といい関係を築けるかもしれない。リュシアンの胸には、希望が灯っていた。
数日後には、リュシアンの返事を喜ぶ父からの返事が来た。リュシアンが夏至祭の晩に来てくれることになって、とても嬉しいとのことだ。
そのさらに数日後には、ドゥ・ファルギエール家からの迎えの馬車が来た。もう夏至祭の前の日だからだ。
リュシアンは馬車に乗り込み、馬車は出発した。
馬車に揺られながら、ドゥ・ファルギエール邸に行くことをエドゥアールに伝えるべきだったろうかと考えた。
考えてから、首を横に振った。イヤリングの魔力は、残り少ない。あと一言くらいしか伝えられないかもしれない。無事に何事もなく終わるかもしれないことで、イヤリングの魔力を使い果たしてはならない。
夕方ごろ、馬車はドゥ・ファルギエール邸に到着した。
到着したリュシアンは、まず父の執務室に呼ばれた。父が何か伝えたいことがあるのだそうだ。
「父上、ただいま戻りました」
「おお、リュシアンよ。よく戻った」
執務室に姿を現したリュシアンに、父は笑顔を見せた。よかった、歓迎してくれている。父は完全に温厚な人柄に変わってしまったようだ。
「そこに座りなさい。喉が渇いているだろう。茶を持ってこさせよう」
父は長椅子を指し示すと、鐘を鳴らし召使いを呼んだ。召使いはすぐにお茶を持ってきて、父とリュシアンとに給仕した。
「いただきます」
リュシアンは顔を綻ばせ、紅茶のカップを傾けた。紅茶の味に、リュシアンはわずかに眉をひそめた。ほんの少し苦味を感じたのだ。気のせいだろうか。ベリーの香りの紅茶に慣れたから、そうではない紅茶に苦味を感じるようになってしまったのかもしれない。
「ところで知っているか、リュシアンよ。今日の帝国の発展には目覚ましいものがある。何でも『蒸気機関』と呼ばれるものが発明されたそうだ。帝国はこれからもっとも発展した国になると、ベルンハルト殿は豪語していた」
「そうなんですか」
ベルンハルト殿の名前が出てきた途端、どきりとした。求婚を断った手前、彼のことを考えると気まずいのだが。
だが父は世間話をしているだけだ。気にしている自分の方が、おかしいのだろう。
「これからは、王国の大公であることなど、何の自慢にもならないだろうなあ」
父は顎髭を撫でながら呟いた。
「まさか、そんな」
「勝ち馬に乗るためには、帝国に乗り換えんとな。大丈夫、国籍よりも貴き血筋の方が大事なものよ。婚姻関係さえ結べば、ドゥ・ファルギエール家が帝国に移り住むことは可能だ」
「何の話です……?」
話の雲行きに怪しさを感じて、リュシアンは困惑した顔を見せた。
「今回、リュシアンがベルンハルト殿に嫁ぐことになって、本当によかった」
父はにっこりと満面の笑みを見せた。
ベルンハルト殿に嫁ぐことになったなんて、何を言い出すのか。手紙でのやり取りを急に忘れてしまったのか。
「一体、何を言って……ぐっ⁉」
急に身体の熱さを感じて、紅茶のカップを取り落としてしまった。けたたましい音を立てて、カップが割れた。
どくどくと心臓の鼓動が不自然に速まっている。全身が熱い。そして下腹の奥に感じる、この疼き……。
――まさか発情期? きちんと抑制剤を取っていたのに、一体どうして。
「やれやれ、発情したオメガは臭くてかなわん」
気がつけば、父が革製のマスクを装着していた。マスクを用意していたのを見て、これは父の策略なのだと悟った。紅茶にでも誘発剤が盛られていたのだろう。
「だが、アルファの御仁にはこれが堪らんのだろう? ベルンハルト殿」
「ええ、それはもう」
声に振り返ると、執務室の入り口にベルンハルトがいた。グルだったのか。リュシアンは悔しさに歯噛みした。
今すぐここから逃げ出さねば。リュシアンは長椅子から立ち上がったが、ガクリと力が抜けて絨毯の上に倒れ伏した。ヒートのせいで、身体に力が入らない。
「あはは、ヒートになったオメガが動けるわけないじゃないか。今、ボクの部屋に運んであげるからね」
「や、やめ」
ベルンハルトから逃れようと身体を捩じるが、努力も空しくリュシアンの身体は、彼に軽々と抱え上げられてしまった。
意志を尊重するなんて、真っ赤な嘘だったのだ。こうやって身動きを取れなくさせて、道具のように扱うつもりしかなかったのだ。騙された自分が情けなくて、涙が頬を伝った。
父からのせっかくの善意の申し出を断ってしまったのだから、この手紙の中には罵詈雑言が書き連ねてあるのだろう。
リュシアンはいつものように侍女から手紙を受け取り、部屋に籠った。
「はあ」
手紙の入った封筒を前に、溜息を吐く。内容がわかり切っているだけに、気が重くなる。
気の重い用事は、さっさと済ませてしまおう。
もう一度大きく溜息を吐くと、乱暴に封筒を破って中の便箋を取り出した。ばっと便箋を開き、文面を確認した。
『お前の意思はわかった。ベルンハルト殿と結婚をしないのは、非常に残念だ。ベルンハルト殿も落胆していた。しかし、それがお前の意思ならば仕方がない。無理強いはできないからな』
時候の挨拶の後に続く一文に、肩から力が抜けるのを感じた。父は少しも怒っていないみたいだ。
『もうすぐ夏至祭の時期だろう。夏至祭の夜は家族で過ごすものだ。一度帰ってくるといい』
手紙の最後に、そう書かれていた。
王国では、夏至の晩を境に一年が終わり、また新しい年が始まることになっている。一年の境目である夏至祭の晩は、家族で過ごすものだ。もっとも、リュシアン自身はそんな普通の夏至祭の晩を過ごした経験はないが。
「エドは父に気をつけろと言っていたが……」
家族で過ごす夏至祭は、憧れだった。前も父の邸宅に泊まっても何も起こらなかったのだし、今回も行ってもいいのではないだろうか。だって、頼み事を断ったというのに温厚なままなのだから。きっと父は本当に心を入れ替えたのだ。
リュシアンはすらすらと返事を書いた。自分の意思を尊重してくれてありがたい、夏至祭の晩はぜひ泊まりたい、という旨の返事だ。
今ならば、父といい関係を築けるかもしれない。リュシアンの胸には、希望が灯っていた。
数日後には、リュシアンの返事を喜ぶ父からの返事が来た。リュシアンが夏至祭の晩に来てくれることになって、とても嬉しいとのことだ。
そのさらに数日後には、ドゥ・ファルギエール家からの迎えの馬車が来た。もう夏至祭の前の日だからだ。
リュシアンは馬車に乗り込み、馬車は出発した。
馬車に揺られながら、ドゥ・ファルギエール邸に行くことをエドゥアールに伝えるべきだったろうかと考えた。
考えてから、首を横に振った。イヤリングの魔力は、残り少ない。あと一言くらいしか伝えられないかもしれない。無事に何事もなく終わるかもしれないことで、イヤリングの魔力を使い果たしてはならない。
夕方ごろ、馬車はドゥ・ファルギエール邸に到着した。
到着したリュシアンは、まず父の執務室に呼ばれた。父が何か伝えたいことがあるのだそうだ。
「父上、ただいま戻りました」
「おお、リュシアンよ。よく戻った」
執務室に姿を現したリュシアンに、父は笑顔を見せた。よかった、歓迎してくれている。父は完全に温厚な人柄に変わってしまったようだ。
「そこに座りなさい。喉が渇いているだろう。茶を持ってこさせよう」
父は長椅子を指し示すと、鐘を鳴らし召使いを呼んだ。召使いはすぐにお茶を持ってきて、父とリュシアンとに給仕した。
「いただきます」
リュシアンは顔を綻ばせ、紅茶のカップを傾けた。紅茶の味に、リュシアンはわずかに眉をひそめた。ほんの少し苦味を感じたのだ。気のせいだろうか。ベリーの香りの紅茶に慣れたから、そうではない紅茶に苦味を感じるようになってしまったのかもしれない。
「ところで知っているか、リュシアンよ。今日の帝国の発展には目覚ましいものがある。何でも『蒸気機関』と呼ばれるものが発明されたそうだ。帝国はこれからもっとも発展した国になると、ベルンハルト殿は豪語していた」
「そうなんですか」
ベルンハルト殿の名前が出てきた途端、どきりとした。求婚を断った手前、彼のことを考えると気まずいのだが。
だが父は世間話をしているだけだ。気にしている自分の方が、おかしいのだろう。
「これからは、王国の大公であることなど、何の自慢にもならないだろうなあ」
父は顎髭を撫でながら呟いた。
「まさか、そんな」
「勝ち馬に乗るためには、帝国に乗り換えんとな。大丈夫、国籍よりも貴き血筋の方が大事なものよ。婚姻関係さえ結べば、ドゥ・ファルギエール家が帝国に移り住むことは可能だ」
「何の話です……?」
話の雲行きに怪しさを感じて、リュシアンは困惑した顔を見せた。
「今回、リュシアンがベルンハルト殿に嫁ぐことになって、本当によかった」
父はにっこりと満面の笑みを見せた。
ベルンハルト殿に嫁ぐことになったなんて、何を言い出すのか。手紙でのやり取りを急に忘れてしまったのか。
「一体、何を言って……ぐっ⁉」
急に身体の熱さを感じて、紅茶のカップを取り落としてしまった。けたたましい音を立てて、カップが割れた。
どくどくと心臓の鼓動が不自然に速まっている。全身が熱い。そして下腹の奥に感じる、この疼き……。
――まさか発情期? きちんと抑制剤を取っていたのに、一体どうして。
「やれやれ、発情したオメガは臭くてかなわん」
気がつけば、父が革製のマスクを装着していた。マスクを用意していたのを見て、これは父の策略なのだと悟った。紅茶にでも誘発剤が盛られていたのだろう。
「だが、アルファの御仁にはこれが堪らんのだろう? ベルンハルト殿」
「ええ、それはもう」
声に振り返ると、執務室の入り口にベルンハルトがいた。グルだったのか。リュシアンは悔しさに歯噛みした。
今すぐここから逃げ出さねば。リュシアンは長椅子から立ち上がったが、ガクリと力が抜けて絨毯の上に倒れ伏した。ヒートのせいで、身体に力が入らない。
「あはは、ヒートになったオメガが動けるわけないじゃないか。今、ボクの部屋に運んであげるからね」
「や、やめ」
ベルンハルトから逃れようと身体を捩じるが、努力も空しくリュシアンの身体は、彼に軽々と抱え上げられてしまった。
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