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恋人(偽)と一匹
二人の答え合わせ 4
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「うむむっ」
唸っている。
ナキは露天の前に赤毛の娘がいるなと気がついたのだが声をかけ損ねた。真剣な表情で、悩んでいるのでなにかと思えば、クレープ屋だった。お品書きをじっと見ている。
混むような時間帯ではないため、他に客もいない。
露天の主は少し困ったような顔をしていたが、ナキの姿を認めるとぱっと笑顔になった。随分、長い間悩んでいたらしい。
「なにが食べたいの?」
ナキはようやく声をかける気になった。可愛いから見ていてもいいのだが、ばれたら後ですごく怒られそうな気がする。
「ひゃっ! な、なんでいるのっ!?」
「ギルドの呼び出しの帰り。ミリーは午後もなんか仕事無かったっけ?」
「私もギルドの呼び出し」
「で、なに悩んでるわけ?」
なにを食べたいのかわからない、というわけではなさそうだ。
ミリアはメニューを睨みながら、これと指さした。
「果物入りも食べたいけど、これも気になるの」
「買ってあげなよ兄ちゃん」
「はいはい。半分にしようね。あ、桃がある。桃で」
ここぞとばかりに店主がすすめてくるのに乗じてナキは注文した。クレープの生地は焼いてあるので、具材を巻くだけですぐに出来る。
「え? あ、大丈夫、お金あるからっ」
「ん。後でもらうよ。はい、一個」
ナキは有無を言わさず、一つのクレープを渡す。薄切り肉と野菜にヨーグルト系のソースをかけてある。ミリアなら食べきるのは少し難しいかもしれない。
もう一つは、バターを塗ったクレープに生の桃が挟み込まれている。
「あとでって」
「はい、もう一個」
「うっ」
抗議をスルーしてナキは支払いを済ませる。おやつにはちょっと高いが、この分では夕食もそんなに食べられないだろう。相殺出来る範囲内と言い訳する。
白猫はこういった食べ物にあまり興味が無いので、食べられなかったと色々言われる事もない。
「座れるところ、近くにある?」
「あっちにベンチがあるよ」
「ありがとう」
さっさとその場を離れることにした。
ベンチに座って一息ついた。食事にも休憩にも早かったり遅かったりする時間帯のために近くに人はいない。
こそこそ話をしていても恋人という建前上、おかしくはないだろう。なにをいちゃついてるんだと視線を向けられる事はあるかもしれないが。
近くに座ろうとすると妙に離れたがるミリアに人に聞かれたくない話するからと説得したはいいが、ほんのりと体温を感じるのは心臓に悪い。ナキはいい匂いがするとダメな方面に落ちそうな思考をどうにか立て直す。
桃のクレープをかじりながら、ミリアに様子をうかがわれている気配を感じた。
「おいしくない?」
「おいしい。いつも食べる桃は硬い感じだったけど、これは蕩けるみたい。……じゃなくて。一日に二度も呼び出されるのってよくあるの?」
「ないね。というか巻き込まれた。
皇女様の護衛だって。しばらく、留守にすることになりそう」
「……私は、ご機嫌伺いに宿泊先に手紙と贈り物を持って行けって。今回は非公式の訪問で、商隊を装うってきいたわ。情報に差があるのかしら」
「こっちは詳細を伝える必要がない、ってかんじじゃないかな。ミリアはばれない?」
「ばれるかもね。でも、断る方が不自然よ。こうなると身分証って厄介なのね」
「生活する上では必要なんだけどさ。僕も冒険者やるならお達しには従う必要ある。順調にいけば数日で帰ってくるよ。
それで国境通れるようになればいいけど」
そろそろ別の手段で国外に出ることを考える必要がありそうだ。なにも国境ははここだけではない。
ただし、半月以上の旅は覚悟しなければならない。ナキは構わないが、ミリアの体力が持たないだろう。元々の体力がない上に、監禁生活で完全に弱っている。
しかし、ミリアはそれを気にしている風でもない。自覚がないというより、体調が良くないのが常態でいたように思えた。
それでも隙間なく、仕事を詰めようとするところなどどこの社畜だと言いたい。休みの日を作るように言えば、びっくりしたような顔をしていたとナキは思い出した。
相棒も困ったように言っていた。
常に成果を上げねば、存在が許されないとでも思い込んでいるようだと。
過去の話を聞けばそれも納得がいく気はした。望んだわけでもなく次期王妃とされ、国政を任される。その栄光は夫たる王の元へといくのがわかっていながら、研鑽を求められるのは虚しいように思えた。
もちろんそう思わぬようにも、教育されていたのだろう。
国への愛着を強化して、身を捧げるように仕向けるやり方はナキには少しばかりやり過ぎだと感じる。ただ、政治の世界などわからない身の上で批判は控えようとも思う。
王太子に適正がないが、他に誰もいないなら仕方なかったのかもしれない。
それに。
ちらりとミリアへ視線を向ける。クレープにかぶりついているのは小動物みたいで愛らしい。
彼女がすべて、語った、というわけでもないだろう。都合の悪いところは、黙ったか隠されたかしていると疑った方がいい。実はとんでもない悪女かもしれない。
まあ、それでも、可愛いから手助けするし、味方することになるのだろうが。
「たべる?」
視線を向けた意味を勘違いされたのだろうミリアにクレープを差し出された。ナキは受け取らず、そのままぱくりと口にする。
少し塩味のある生地に挟まれた桃はとろりと蕩けて甘い。熟れきって崩れ落ちる前の芳醇な味。
それをミリアに凝視されていたので、なんだろうと思いながらもナキは視線を合わせて笑った。
「おいしいね。こっちも食べる?」
もう一つのクレープを差し出してもそれを見つめるだけでミリアは口にしようとはしなかった。
なぜ、そこで顔を赤くしているのかナキには全くわからない。どこか、照れるようなところはあっただろうか?
ナキが首をかしげて、問おうと思う前にクレープが交換された。
「……ねぇ、あなた、女誑しとか言われてない?」
ミリアにぽつりと問われて意味がやはりわからない。
「え? ないなぁ。そもそもモテない」
「……これが、鈍感系ってヤツなのね。わかった」
「へ?」
「どうぞ、そのままでいて。無駄に警戒する必要がないってわかったから」
「ど、どー言う意味!?」
「答えません。拒否します」
きっぱり宣言された。
ナキには振り返っても悪かったことがわからない。気まずいが、これは謝罪しても逆に詰られそうな予感がする。
クリス様助けて、と心で助けを呼んでも白猫は夢の中でおもちゃと遊んでいた。もし、側にいてもナキの自業自得と放置されるに違いない。
唸っている。
ナキは露天の前に赤毛の娘がいるなと気がついたのだが声をかけ損ねた。真剣な表情で、悩んでいるのでなにかと思えば、クレープ屋だった。お品書きをじっと見ている。
混むような時間帯ではないため、他に客もいない。
露天の主は少し困ったような顔をしていたが、ナキの姿を認めるとぱっと笑顔になった。随分、長い間悩んでいたらしい。
「なにが食べたいの?」
ナキはようやく声をかける気になった。可愛いから見ていてもいいのだが、ばれたら後ですごく怒られそうな気がする。
「ひゃっ! な、なんでいるのっ!?」
「ギルドの呼び出しの帰り。ミリーは午後もなんか仕事無かったっけ?」
「私もギルドの呼び出し」
「で、なに悩んでるわけ?」
なにを食べたいのかわからない、というわけではなさそうだ。
ミリアはメニューを睨みながら、これと指さした。
「果物入りも食べたいけど、これも気になるの」
「買ってあげなよ兄ちゃん」
「はいはい。半分にしようね。あ、桃がある。桃で」
ここぞとばかりに店主がすすめてくるのに乗じてナキは注文した。クレープの生地は焼いてあるので、具材を巻くだけですぐに出来る。
「え? あ、大丈夫、お金あるからっ」
「ん。後でもらうよ。はい、一個」
ナキは有無を言わさず、一つのクレープを渡す。薄切り肉と野菜にヨーグルト系のソースをかけてある。ミリアなら食べきるのは少し難しいかもしれない。
もう一つは、バターを塗ったクレープに生の桃が挟み込まれている。
「あとでって」
「はい、もう一個」
「うっ」
抗議をスルーしてナキは支払いを済ませる。おやつにはちょっと高いが、この分では夕食もそんなに食べられないだろう。相殺出来る範囲内と言い訳する。
白猫はこういった食べ物にあまり興味が無いので、食べられなかったと色々言われる事もない。
「座れるところ、近くにある?」
「あっちにベンチがあるよ」
「ありがとう」
さっさとその場を離れることにした。
ベンチに座って一息ついた。食事にも休憩にも早かったり遅かったりする時間帯のために近くに人はいない。
こそこそ話をしていても恋人という建前上、おかしくはないだろう。なにをいちゃついてるんだと視線を向けられる事はあるかもしれないが。
近くに座ろうとすると妙に離れたがるミリアに人に聞かれたくない話するからと説得したはいいが、ほんのりと体温を感じるのは心臓に悪い。ナキはいい匂いがするとダメな方面に落ちそうな思考をどうにか立て直す。
桃のクレープをかじりながら、ミリアに様子をうかがわれている気配を感じた。
「おいしくない?」
「おいしい。いつも食べる桃は硬い感じだったけど、これは蕩けるみたい。……じゃなくて。一日に二度も呼び出されるのってよくあるの?」
「ないね。というか巻き込まれた。
皇女様の護衛だって。しばらく、留守にすることになりそう」
「……私は、ご機嫌伺いに宿泊先に手紙と贈り物を持って行けって。今回は非公式の訪問で、商隊を装うってきいたわ。情報に差があるのかしら」
「こっちは詳細を伝える必要がない、ってかんじじゃないかな。ミリアはばれない?」
「ばれるかもね。でも、断る方が不自然よ。こうなると身分証って厄介なのね」
「生活する上では必要なんだけどさ。僕も冒険者やるならお達しには従う必要ある。順調にいけば数日で帰ってくるよ。
それで国境通れるようになればいいけど」
そろそろ別の手段で国外に出ることを考える必要がありそうだ。なにも国境ははここだけではない。
ただし、半月以上の旅は覚悟しなければならない。ナキは構わないが、ミリアの体力が持たないだろう。元々の体力がない上に、監禁生活で完全に弱っている。
しかし、ミリアはそれを気にしている風でもない。自覚がないというより、体調が良くないのが常態でいたように思えた。
それでも隙間なく、仕事を詰めようとするところなどどこの社畜だと言いたい。休みの日を作るように言えば、びっくりしたような顔をしていたとナキは思い出した。
相棒も困ったように言っていた。
常に成果を上げねば、存在が許されないとでも思い込んでいるようだと。
過去の話を聞けばそれも納得がいく気はした。望んだわけでもなく次期王妃とされ、国政を任される。その栄光は夫たる王の元へといくのがわかっていながら、研鑽を求められるのは虚しいように思えた。
もちろんそう思わぬようにも、教育されていたのだろう。
国への愛着を強化して、身を捧げるように仕向けるやり方はナキには少しばかりやり過ぎだと感じる。ただ、政治の世界などわからない身の上で批判は控えようとも思う。
王太子に適正がないが、他に誰もいないなら仕方なかったのかもしれない。
それに。
ちらりとミリアへ視線を向ける。クレープにかぶりついているのは小動物みたいで愛らしい。
彼女がすべて、語った、というわけでもないだろう。都合の悪いところは、黙ったか隠されたかしていると疑った方がいい。実はとんでもない悪女かもしれない。
まあ、それでも、可愛いから手助けするし、味方することになるのだろうが。
「たべる?」
視線を向けた意味を勘違いされたのだろうミリアにクレープを差し出された。ナキは受け取らず、そのままぱくりと口にする。
少し塩味のある生地に挟まれた桃はとろりと蕩けて甘い。熟れきって崩れ落ちる前の芳醇な味。
それをミリアに凝視されていたので、なんだろうと思いながらもナキは視線を合わせて笑った。
「おいしいね。こっちも食べる?」
もう一つのクレープを差し出してもそれを見つめるだけでミリアは口にしようとはしなかった。
なぜ、そこで顔を赤くしているのかナキには全くわからない。どこか、照れるようなところはあっただろうか?
ナキが首をかしげて、問おうと思う前にクレープが交換された。
「……ねぇ、あなた、女誑しとか言われてない?」
ミリアにぽつりと問われて意味がやはりわからない。
「え? ないなぁ。そもそもモテない」
「……これが、鈍感系ってヤツなのね。わかった」
「へ?」
「どうぞ、そのままでいて。無駄に警戒する必要がないってわかったから」
「ど、どー言う意味!?」
「答えません。拒否します」
きっぱり宣言された。
ナキには振り返っても悪かったことがわからない。気まずいが、これは謝罪しても逆に詰られそうな予感がする。
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