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第2話
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『それならば、もてるようにしてほしいとか、別に願うべきことがあるのではないか』
モモンガはその小さな首をかしげた。
「あなたはかみさまではないのですか? かみさまでないとかみははやせないですよね」
うん?
まあ、暇な神でもなければわざわざモモンガの頭に毛をはやそうとはしないだろうよ。
モモンガはまた頭のてっぺんをぺちぺち叩きながら、はあー、と白いため息をついた。
なんだかすこし、ばかにされているような、おかしな気分になった。
『神といえば、神である』
「それなら、かみのけをはやしてもらえないでしょうか」
ごそごそとほおぶくろから小さななにかの実を出す。
モモンガは今度はひげをひっぱりながら、上を向いたりきょろきょろと見回しながらつぶやく。
「おれいです。とてもおいしいです」
なにかものすごく得意そうな表情だが、べとついた実を持つ手はぷるぷるしていて、またきょろきょろと辺りを回し、スンスンと実のにおいを嗅いで、残念そうに顔から離す。
ずいぶん未練がありそうだ。
正直、いらぬ。
だがわしのところにねがいごとをするものなど久しいな。たわむれに、目の前のモモンガの運命を少し変えてみる。
『実はいらぬが、そなたの願いは叶えよう。3日もすれば毛は生えてくるはずだ』
「ほんとうですか、ありがとうございます」
礼を言う前に実は口の中に収められたものだから、その礼はもごもごと曇って聞こえた。
モモンガはその小さな首をかしげた。
「あなたはかみさまではないのですか? かみさまでないとかみははやせないですよね」
うん?
まあ、暇な神でもなければわざわざモモンガの頭に毛をはやそうとはしないだろうよ。
モモンガはまた頭のてっぺんをぺちぺち叩きながら、はあー、と白いため息をついた。
なんだかすこし、ばかにされているような、おかしな気分になった。
『神といえば、神である』
「それなら、かみのけをはやしてもらえないでしょうか」
ごそごそとほおぶくろから小さななにかの実を出す。
モモンガは今度はひげをひっぱりながら、上を向いたりきょろきょろと見回しながらつぶやく。
「おれいです。とてもおいしいです」
なにかものすごく得意そうな表情だが、べとついた実を持つ手はぷるぷるしていて、またきょろきょろと辺りを回し、スンスンと実のにおいを嗅いで、残念そうに顔から離す。
ずいぶん未練がありそうだ。
正直、いらぬ。
だがわしのところにねがいごとをするものなど久しいな。たわむれに、目の前のモモンガの運命を少し変えてみる。
『実はいらぬが、そなたの願いは叶えよう。3日もすれば毛は生えてくるはずだ』
「ほんとうですか、ありがとうございます」
礼を言う前に実は口の中に収められたものだから、その礼はもごもごと曇って聞こえた。
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