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第2章「初動」
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TVでは、しきりに池袋でのニュースが流れている。
一人の男が駅の中で暴れ出し、警官が発砲。しかし暴れていた男はその警官を攻撃。
しかし、その警官もなぜか市民を襲い始めたため、しかたなく仲間の警官が射殺した。
最初に暴れていた男は、その間に消えてしまい、いまだ発見されていない為、池袋駅周辺の方々は警戒して下さい。
どのチャンネルに変えても、その緊急放送が流れていた。
その頃の人々はまだ「ああ、稀に起きるおかしな奴の猟奇的な事件か。」
そのようにしか捉えられていなかった。
池袋駅東口から東に進むと、東池袋になる。
昔ながらの1車両しかない、都電荒川線と、地下鉄有楽町線の走る東池袋。その2つの東池袋駅が交差している場所の、すぐ近くの安いアパートに25歳になる青年が一人住んでいた。185センチの大きな体を、ベッドの上に横たえながら、その放送を見ている。
名前は葛城護一(ごいち)。
彼は地方から上京してきた青年だ。なんとなく入った高校で柔道をやりながら、あまり熱心に勉強もせずになんとなく卒業したが、
地方ではなかなか就職先が見つからず、やっと入れた就職先の条件が、東京の池袋支店への配属であった。東京には特に憧れも興味もなかったが、これ以上就職活動もするのも嫌で、
まぁ、東京も悪くないかな?
といった軽い考えで上京し、今の安いアパートで暮らし始めた。それから6年たっていた。
「物騒だなぁ東京は。」
一人ごとを呟きながら、彼女や友人、家族からきた安否確認のLINEの返事を打っている。
護一はLINEを打ちながらとある人物の心配をしていた。
池袋にはサンシャイン60というビルがあり、その近くのマンション一階で古武術を教えている道場がある。
東京に来てから1年がたった頃、中学、高校で柔道をやっていたし、まだ若かった護一は興味本意で入門した。
そこで出会った武術師範である、進藤文太が彼の人生を変えた。江戸か明治に生まれたのではないか?と思われるような古風な人物で、己に厳しい人であった。空手、ボクシング、柔道、合気道、古武術、居合道を学び、合気道と古武術を基本に独自の武術として道場を開いた人物だ。一番熱心に取りくんだ合気道では、アメリカ、インド、オーストラリア、ロシア等にも指導してきた実績があった。
元々正義感が強く古風な一面もある護一は、その師の生き様や考えに触発されて、師の後を継ぐかのように仕事帰りに毎日のように通いつめた。
その武術に役立てる為に、キックボクシングも習うほど没頭していた。今では師のいない時は指導者として任される程の腕になっている。ここまで何かを真剣に続けたのははじめてであった。
「進藤先生は大丈夫だろうか?」
70歳になる進藤が心配になり護一は彼の携帯に電話をしたが、つながらなかった。道場の上の階に住む進藤のマンションは徒歩5分で近くである。護一は進藤のマンションに行き、様子を伺いがてら、コンビニで何か買いに行こうと、軽い気持ちで身支度した。
外に出ると、いつの間にか騒然としていた。パトカーや救急車が何台も池袋駅に向かって走っている。護一は嫌な予感をおぼえた。何かこれからとんでもない事が起きてくるのではないか?とっさに部屋に戻りある程度の食量や練習で使う短い木刀、軽い着替えなどをリュックに詰めて、埼玉の川口に住むとにかく何かおかしいから警戒するように伝えると、再び外に出て自転車で師である進藤のもとへ急いだ。
一人の男が駅の中で暴れ出し、警官が発砲。しかし暴れていた男はその警官を攻撃。
しかし、その警官もなぜか市民を襲い始めたため、しかたなく仲間の警官が射殺した。
最初に暴れていた男は、その間に消えてしまい、いまだ発見されていない為、池袋駅周辺の方々は警戒して下さい。
どのチャンネルに変えても、その緊急放送が流れていた。
その頃の人々はまだ「ああ、稀に起きるおかしな奴の猟奇的な事件か。」
そのようにしか捉えられていなかった。
池袋駅東口から東に進むと、東池袋になる。
昔ながらの1車両しかない、都電荒川線と、地下鉄有楽町線の走る東池袋。その2つの東池袋駅が交差している場所の、すぐ近くの安いアパートに25歳になる青年が一人住んでいた。185センチの大きな体を、ベッドの上に横たえながら、その放送を見ている。
名前は葛城護一(ごいち)。
彼は地方から上京してきた青年だ。なんとなく入った高校で柔道をやりながら、あまり熱心に勉強もせずになんとなく卒業したが、
地方ではなかなか就職先が見つからず、やっと入れた就職先の条件が、東京の池袋支店への配属であった。東京には特に憧れも興味もなかったが、これ以上就職活動もするのも嫌で、
まぁ、東京も悪くないかな?
といった軽い考えで上京し、今の安いアパートで暮らし始めた。それから6年たっていた。
「物騒だなぁ東京は。」
一人ごとを呟きながら、彼女や友人、家族からきた安否確認のLINEの返事を打っている。
護一はLINEを打ちながらとある人物の心配をしていた。
池袋にはサンシャイン60というビルがあり、その近くのマンション一階で古武術を教えている道場がある。
東京に来てから1年がたった頃、中学、高校で柔道をやっていたし、まだ若かった護一は興味本意で入門した。
そこで出会った武術師範である、進藤文太が彼の人生を変えた。江戸か明治に生まれたのではないか?と思われるような古風な人物で、己に厳しい人であった。空手、ボクシング、柔道、合気道、古武術、居合道を学び、合気道と古武術を基本に独自の武術として道場を開いた人物だ。一番熱心に取りくんだ合気道では、アメリカ、インド、オーストラリア、ロシア等にも指導してきた実績があった。
元々正義感が強く古風な一面もある護一は、その師の生き様や考えに触発されて、師の後を継ぐかのように仕事帰りに毎日のように通いつめた。
その武術に役立てる為に、キックボクシングも習うほど没頭していた。今では師のいない時は指導者として任される程の腕になっている。ここまで何かを真剣に続けたのははじめてであった。
「進藤先生は大丈夫だろうか?」
70歳になる進藤が心配になり護一は彼の携帯に電話をしたが、つながらなかった。道場の上の階に住む進藤のマンションは徒歩5分で近くである。護一は進藤のマンションに行き、様子を伺いがてら、コンビニで何か買いに行こうと、軽い気持ちで身支度した。
外に出ると、いつの間にか騒然としていた。パトカーや救急車が何台も池袋駅に向かって走っている。護一は嫌な予感をおぼえた。何かこれからとんでもない事が起きてくるのではないか?とっさに部屋に戻りある程度の食量や練習で使う短い木刀、軽い着替えなどをリュックに詰めて、埼玉の川口に住むとにかく何かおかしいから警戒するように伝えると、再び外に出て自転車で師である進藤のもとへ急いだ。
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