妹のために愛の無い結婚をすることになりました

バンブー竹田

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第6話

通されたのは、大きな机が2つのソファに挟まれた応接室だった。

(まあ!なんて・・なんて美しいの!!)

私は思わず感嘆の声をあげそうになった・・・机の上に置かれた、たくさんの宝飾品の素晴らしさに。

ルビーにサファイア、ダイヤモンドにエメラルド。

それらを惜しみなく使った首飾り、腕輪に指輪、そして髪飾り。

世の貴族の女性たちが喉から手が出るほどに欲しがるだろう逸品がいくつも並べられている。

私自身は贅沢品にはあまり興味がない性格だけど、思わず目が釘付けになってしまうほどだ。

「おいおい、僕のことは無視かな?ヴェルファイア家のお嬢さん」

その声でようやく我に返る。

ソファに座っていたのは、私より5歳くらい年上に見える男性だった。

柔和な印象のサラリとした金髪に緑の瞳。

シックな礼服をまとい、優雅に腰掛ける様子は本物の貴族さながらだ。

「す、すみません!」

「いいよ。商人としては自分の商品に見入ってもらえるというのは嬉しいものだ。でも本題は別にあるだろう?そこに座りなよ」

「は、はい・・・」

促されて男性と向かいのソファに座る。

彼は机の上の品物をかたすと、数枚の書類を差し出した。

「初めまして。エミリー・ヴェルファイア嬢。僕がアレンだ。これから夫婦として末永くよろしく」

「こちらこそ・・よろしくお願いしますアレン様」

穏やかな視線。

優しいけど、何だか見透かされるような感覚があって私は身構えてしまう。

「もうわかってると思うけど、この結婚は愛も恋も無い100%純粋な政略結婚だ。」

「ええ、聞いております」

「君も今見た通り、僕の扱う宝飾品の出来は我ながら素晴らしくてね。貴族の婦女子の皆様から引っ張りだこさ。ただ残念なことに作ったのが平民であるというだけで下に見る輩も多い。だから、それなりに由緒ある家柄と結びつくことで僕はフローラ商会に箔をつける」

「・・・代わりにヴェルファイア家は経済的な問題が全て解決する、そういうことで間違いないでしょうかアレン様?」

「その通り。話が早くて助かるよ。さて早速だけど、これらの書類にサインしてもらいたい」

「わかりました。一応、内容を確認させてください」

書かれた内容に目を通す。

(アレン様がヴェルファイア家の一員として名を連ねる・・・シエルの治療費の援助・・その他もろもろの経済的支援・・・事前に聞いていた話と違うことは無いわね)

「確かに拝見しました。それではサインをさせていただきます」

私とアレン様は署名欄に互いの名前を羽ペンで記していく。

手続きは5分もかからなかった。

「よし!これで僕と君との結婚は成立だ。今日は長旅で疲れたろう?ルークに部屋を案内させるから休みなよ」

「・・・ありがとうございます」

「じゃあお部屋に案内しますエミリーさま。どうぞこちらへ」



ーーーーーーーーーーーーーー

あてがわれた部屋は2階の部屋だった。

寝間着に着替えてベッドに入る。

大きな窓からは月光が青白く室内を照らしている。

「むなしいわね・・・」

虚無感。

結婚というのは胸踊るイベントだと思って生きてきた。

けど現実に起こったのは事務的で打算的な契約でしか無かった。

きっと、これから一生、私はお飾りの妻として暮らしていくのだろう。

実際に話した感じからしてアレン様が私を虐げてくるようなことはないだろう。

でも、愛してくれることもまた無いと分かってしまった。

気がつくと、涙が頬を伝い落ちていた。



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