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第7話

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目が覚めるとまず知らない天井が視界に入った。

(ああ、そうだったわ。私、嫁いだんだったわ・・・)

窓の外を見るとすでに太陽は高く昇っている。

普段の私の生活からしたら寝坊といっていい時間だ。

昨日の夜は色々と思うことがあって寝付けなかったせいだろう。

「いけない、いけない。すっかり寝過ごしてしまったわ、急いで・・・」


・・・急いで何をすればいいのかしら?



私がこのお屋敷で何をすればいいのかを訊くのを忘れてしまっていた。

(お飾りの妻とは言え、きっと家事くらいはやらないとダメよね)

まずは着替えようとした、その時。

コンコンコンッ

「エミリーさま、起きてますかあ?」

ノックの音とルークさんの呼ぶ声がした。

「は、はい!起きてます!」

「じゃあ、1階の食堂に来てもらっていいです?アレン様から屋敷での生活について説明するよう言われてんですよ」

「わかりました、着替えたらすぐに行きます!」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





「端的に言うとですね、エミリーさま。あなたがやることは特にありません」

「へっ?」

ルークさんの言葉に思わず拍子抜けしてしまった。

「それは、どういう・・・」

「文字通りの意味です。昨日でわかったと思いますけどアレン様としてはヴェルファイア家の家名が手に入れば、あとはどうでもいいんです」

「なるほど・・・」

「1階のカギがかかってる部屋以外は好きに使ってください。浮気とか不倫とか結婚を破綻させるようなことをしない限りは好きにしてもらって結構です。俺もアレン様も仕事であんまり屋敷にはいないし召使とかメイドとかもいないんで、死なない程度に適当に生活してください」

「は、はあ・・・」

「それから金貨30枚。それがアレンさまからエミリーさまへの1ヶ月あたりの生活費です」

金貨30枚・・・確か平民の年収と同じくらいの金額だったろうか?

私1人の生活費としては十分すぎるほどの額だ。

「このあたりは民家も商店もないんで、必要なものとか欲しいものがあったら言ってください。小遣いの範囲内なら何でも買ってきますんで」

昨夜の時点で何となく察してはいたけど、この屋敷の徒歩圏内に人家の類は無いらしい。

「んじゃ、そういうことで。おれは商談があるんで行きます」

そう言うとルークさんは足早に去っていき、私は1人残された。

「何もしなくていいって・・じゃあ私はどうやって過ごせばいいのかしら?」

結婚したばかりの新居で私は途方に暮れてしまった。
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