32 / 43
第27話
しおりを挟む
最後に開いたフローラさんの備忘録。
そこに書かれていたのは宝飾品のアイデアだった。
どうやらフローラさんはアレン様と同じように宝石の加工や販売を生業としていたらしい。
そして仕事に関する内容を備忘録のうちの1冊に書き詰めていた。
他の備忘録が趣味の活動の記録や個人的な感想を思いつくままに書き連ねていたのとは打って変わって必要なことを淡々と述べた実務的な内容となっていた。
宝石の加工に関する専門用語や技法は私には分からない。
ただ、フローラさんが素朴な野花や素材を生かした料理を好んでいたのと同じように、宝石に対してもゴテゴテと飾り立てることを良しとせず、その持ち味を引き出す方法を模索していたことが文面から伝わってきた。
「これはきっとアレン様とルークさんの助けになるわ・・・!」
そう確信した私は備忘録を持って階段を下って、執務室へと向かった。
「アレン様、失礼します」
机の上と床に宝飾品の図面や会計の書類が何枚も散乱している。
アレン様とルークさんの悪戦苦闘が見て取れた。
「おやエミリー、どうしたんだい?」
「あのアレン様、ここに書かれてることは参考になりませんか?」
「これは何かな?」
「蔵書室にあった本です。アレン様の役に立つんじゃないかと思って・・・よければ目を通していただけませんか?」
備忘録をアレン様に差し出した。
「ふーん・・・?」
アレン様は備忘録を受け取るとページをパラパラとめくり始めた。
すぐにアレン様の目つきが変わる。
しばらくすると備忘録を閉じて私を凝視してきた。
「なぜ母さんが書いたものを君が持っているんだ?」
アレン様は目を丸くして私に問いかけてきた。
そこに書かれていたのは宝飾品のアイデアだった。
どうやらフローラさんはアレン様と同じように宝石の加工や販売を生業としていたらしい。
そして仕事に関する内容を備忘録のうちの1冊に書き詰めていた。
他の備忘録が趣味の活動の記録や個人的な感想を思いつくままに書き連ねていたのとは打って変わって必要なことを淡々と述べた実務的な内容となっていた。
宝石の加工に関する専門用語や技法は私には分からない。
ただ、フローラさんが素朴な野花や素材を生かした料理を好んでいたのと同じように、宝石に対してもゴテゴテと飾り立てることを良しとせず、その持ち味を引き出す方法を模索していたことが文面から伝わってきた。
「これはきっとアレン様とルークさんの助けになるわ・・・!」
そう確信した私は備忘録を持って階段を下って、執務室へと向かった。
「アレン様、失礼します」
机の上と床に宝飾品の図面や会計の書類が何枚も散乱している。
アレン様とルークさんの悪戦苦闘が見て取れた。
「おやエミリー、どうしたんだい?」
「あのアレン様、ここに書かれてることは参考になりませんか?」
「これは何かな?」
「蔵書室にあった本です。アレン様の役に立つんじゃないかと思って・・・よければ目を通していただけませんか?」
備忘録をアレン様に差し出した。
「ふーん・・・?」
アレン様は備忘録を受け取るとページをパラパラとめくり始めた。
すぐにアレン様の目つきが変わる。
しばらくすると備忘録を閉じて私を凝視してきた。
「なぜ母さんが書いたものを君が持っているんだ?」
アレン様は目を丸くして私に問いかけてきた。
27
あなたにおすすめの小説
◆平民出身令嬢、断罪で自由になります◆~ミッカン畑で待つ幼馴染のもとへ~
ささい
恋愛
「え、帰ってくんの?」
「え、帰れないの?」
前世の記憶が蘇ったニーナは気づいた。
ここは乙女ゲームの世界で、自分はピンク髪のヒロインなのだと。
男爵家に拾われ学園に通うことになったけれど、貴族社会は息苦しくて、
幼馴染のクローにも会えない。
乙女ゲームの世界を舞台に悪役令嬢が活躍して
ヒロインをざまあする世界じゃない!?
なら、いっそ追放されて自由になろう——。
追放上等!私が帰りたいのはミッカン畑です。
オネェ系公爵子息はたからものを見つけた
有川カナデ
恋愛
レオンツィオ・アルバーニは可愛いものと美しいものを愛する公爵子息である。ある日仲の良い令嬢たちから、第三王子とその婚約者の話を聞く。瓶底眼鏡にぎちぎちに固く結ばれた三編み、めいっぱい地味な公爵令嬢ニナ・ミネルヴィーノ。分厚い眼鏡の奥を見たレオンツィオは、全力のお節介を開始する。
いつも通りのご都合主義。ゆるゆる楽しんでいただければと思います。
婚約破棄をしておけば
あんど もあ
ファンタジー
王太子アントワーヌの婚約者のレアリゼは、アントワーヌに嫌われていた。男を立てぬ女らしくないレアリゼが悪い、と皆に思われて孤立無援なレアリゼ。彼女は報われぬままひたすら国のために働いた……と思われていたが実は……。
図書室で公爵弟に恋をしました。今だけ好きでいさせてください。
四折 柊
恋愛
エリーゼは元子爵令嬢だったが今は平民として住み込みで貴族令嬢の家庭教師をしている。ある日雇い主からデザートブッフェ代わりに公爵家のガーデンパーティーに行ってくるようにと招待状を渡され半ば強制的に出席することになる。婚活の場となっている会場で自分には関係ないと、一人でケーキを食べつつ好みの花瓶を眺めていたら後ろから人にぶつかられ花瓶を落とし割ってしまった。公爵様に高そうな花瓶を弁償するお金がないので体(労働)で返すと申し出たら公爵邸の図書室の整理を頼まれることになる。それがきっかけで公爵弟クラウスと話をするうちに意気投合して二人の距離が縮まりエリーゼは恋をする。だが越えられない二人の身分差に悩み諦めようとするがそのときクラウスは……
婚約破棄されたのでファンシーショップ始めました。 ― 元婚約者が、お人形さんを側室にしようとして大恥をかきました ―
鷹 綾
恋愛
隣国の王子から「政略的にも個人的にも魅力を感じない」と婚約破棄された、ファンタジア王国第三女王タナー。
泣きも怒りもせず、彼女が考えたのは――「いつか王宮の庇護がなくなっても困らない生き方」だった。
まだ八歳。
それでも先を見据え、タナーは王都の片隅で小さなファンシーショップを開くことを決意する。
並ぶのは、かわいい雑貨。
そして、かわいい魔法の雑貨。
お茶を淹れてくれるクマのぬいぐるみ店員《テイデイ・バトラー》、
冷めないティーカップ、
時間になると小鳥が飛び出すアンティーク時計――。
静かに広がる評判の裏で、
かつての元婚約者は「お人形さんを側室にしようとして」赤っ恥をかくことに。
ざまぁは控えめ、日常はやさしく。
かわいいものに囲まれながら、女王は今日も穏やかにお店を開けています。
---
この文面は
✔ アルファポリス向け文字数
✔ 女子読者に刺さるワード配置
✔ ネタバレしすぎない
✔ ほのぼの感キープ
を全部満たしています。
次は
👉 タグ案
👉 ランキング用超短縮あらすじ(100字)
どちらにしますか?
大嫌いな従兄と結婚するぐらいなら…
みみぢあん
恋愛
子供の頃、両親を亡くしたベレニスは伯父のロンヴィル侯爵に引き取られた。 隣国の宣戦布告で戦争が始まり、伯父の頼みでベレニスは病弱な従妹のかわりに、側妃候補とは名ばかりの人質として、後宮へ入ることになった。 戦争が終わりベレニスが人質生活から解放されたら、伯父は後継者の従兄ジャコブと結婚させると約束する。 だがベレニスはジャコブが大嫌いなうえ、密かに思いを寄せる騎士フェルナンがいた。
婚約破棄された令嬢は“図書館勤務”を満喫中
かしおり
恋愛
「君は退屈だ」と婚約を破棄された令嬢クラリス。社交界にも、実家にも居場所を失った彼女がたどり着いたのは、静かな田舎町アシュベリーの図書館でした。
本の声が聞こえるような不思議な感覚と、真面目で控えめな彼女の魅力は、少しずつ周囲の人々の心を癒していきます。
そんな中、図書館に通う謎めいた青年・リュカとの出会いが、クラリスの世界を大きく変えていく――
身分も立場も異なるふたりの静かで知的な恋は、やがて王都をも巻き込む運命へ。
癒しと知性が紡ぐ、身分差ロマンス。図書館の窓辺から始まる、幸せな未来の物語。
殿下に寵愛されてませんが別にかまいません!!!!!
さら
恋愛
王太子アルベルト殿下の婚約者であった令嬢リリアナ。けれど、ある日突然「裏切り者」の汚名を着せられ、殿下の寵愛を失い、婚約を破棄されてしまう。
――でも、リリアナは泣き崩れなかった。
「殿下に愛されなくても、私には花と薬草がある。健気? 別に演じてないですけど?」
庶民の村で暮らし始めた彼女は、花畑を育て、子どもたちに薬草茶を振る舞い、村人から慕われていく。だが、そんな彼女を放っておけないのが、執着心に囚われた殿下。噂を流し、畑を焼き払い、ついには刺客を放ち……。
「どこまで私を追い詰めたいのですか、殿下」
絶望の淵に立たされたリリアナを守ろうとするのは、騎士団長セドリック。冷徹で寡黙な男は、彼女の誠実さに心を動かされ、やがて命を懸けて庇う。
「俺は、君を守るために剣を振るう」
寵愛などなくても構わない。けれど、守ってくれる人がいる――。
灰の大地に芽吹く新しい絆が、彼女を強く、美しく咲かせていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる