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第28話
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「なぜ母さんが書いたものを君が持っているんだい?」
目を丸くしたまま問いかけてくるアレン様。
予想外の反応に私も目を丸くする。
「えっと・・・以前に蔵書室で見つけまして・・・先ほど宝飾品に関する記述を見つけたのでアレン様の役に立つのではないかと思って・・・それで・・・」
我ながら酷くしどろもどろの回答だった。
「蔵書室? そういえば・・・そうか、そういうことか・・・」
アレン様は頭を抱えて何事かをブツブツと呟きだした。
「エミリーさま、ちょっと出ましょう。アレンさまが落ち着くまで1人にしておいたほうがいい」
ルークさんに促されて執務室を出る。
「あの、ルークさん。どういうことなんです? フローラさんの備忘録はアレン様とどう関係してるんですか?」
ルークさんは少し考え込むようにうつむくと、再び顔を上げた。
「もうエミリーさまに言わないままでいるのは無理そうですね。わかりました、お話しします。向こうで座って話しましょう」
ルークさんとともに食堂で腰をおろす。
「さて、どこから話しましょうか――そうですね、まずフローラさまについてなんですが・・・フローラさまはアレンさまの母親です」
「ということはフローラ商会というのは――」
「ええ、アレンさまが奪われたものを取り戻すという決意を込めて母親の名前をつけたんです」
「取り戻すって、何をですか?」
「本来アレン様が受け継ぐはずだった財産です――幼いころに奪われたものを取り戻し、母親の無念を晴らすためにアレン様はこれまで商売に励んできたんです」
それからルークさんが語りだしたのはアレンさまを突き動かす過去の話だった。
目を丸くしたまま問いかけてくるアレン様。
予想外の反応に私も目を丸くする。
「えっと・・・以前に蔵書室で見つけまして・・・先ほど宝飾品に関する記述を見つけたのでアレン様の役に立つのではないかと思って・・・それで・・・」
我ながら酷くしどろもどろの回答だった。
「蔵書室? そういえば・・・そうか、そういうことか・・・」
アレン様は頭を抱えて何事かをブツブツと呟きだした。
「エミリーさま、ちょっと出ましょう。アレンさまが落ち着くまで1人にしておいたほうがいい」
ルークさんに促されて執務室を出る。
「あの、ルークさん。どういうことなんです? フローラさんの備忘録はアレン様とどう関係してるんですか?」
ルークさんは少し考え込むようにうつむくと、再び顔を上げた。
「もうエミリーさまに言わないままでいるのは無理そうですね。わかりました、お話しします。向こうで座って話しましょう」
ルークさんとともに食堂で腰をおろす。
「さて、どこから話しましょうか――そうですね、まずフローラさまについてなんですが・・・フローラさまはアレンさまの母親です」
「ということはフローラ商会というのは――」
「ええ、アレンさまが奪われたものを取り戻すという決意を込めて母親の名前をつけたんです」
「取り戻すって、何をですか?」
「本来アレン様が受け継ぐはずだった財産です――幼いころに奪われたものを取り戻し、母親の無念を晴らすためにアレン様はこれまで商売に励んできたんです」
それからルークさんが語りだしたのはアレンさまを突き動かす過去の話だった。
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