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一枚板の看板とおかしな隣人-6
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こんなにも満ち足りた気持ちで目覚めたのは久しぶりだった。
六畳一間の宿直室。敷きっぱなしのせんべい布団から体を起こす。部屋の片隅には一口のガスコンロと小さなシンクだけの簡素なキッチンがある。そのシンクで正人は顔を洗い、着替えようとしていつもの紺色の作業着がないことに気づいた。昨日、美葉が洗濯してくれたのだ。迷彩柄の大きなリュックサックを探る。この町に来るとき、全ての荷物はこの中に入れてきた。着替えは、下着と靴下が二組ずつ。そして、カーキ色の作業着。祖父からもらい、まだタグがついたままの新品だ。
「なんかもったいない気がする。」
そうつぶやき、タグを鋏で切って袖を通す。
らくだ色のスエットの上下とブリーフを畳む。洗って返すべきだろう。でも、水洗いしか出来ない。洗濯機もなければ、洗濯用の洗剤もない。
そこで、はたと気づく。
昨日世話になった美葉の家は、生活必需品を売る店だと言った。これまで、どこに店があるのか分からず何も手に入れられずに困っていた。なんと目の前にあったとは。もちろん、収入がないので散財するわけにはいかないが、数百円の洗剤を買う位の金は持っている。
正人は財布から五百円玉を取り出し、握りしめて転がるように階段を駆け下り、体育館を飛び出した。
ちょうど、店の入り口から美葉が外に出てきたところだった。
腰まであるまっすぐな黒髪を無造作に一つに束ねている。
「美葉さん!」
正人は自転車に向かって歩き出す美葉の背中に声をかけた。
美葉の存在は目を引く。大輪の芍薬の花が咲いているようだと思う。振り返って小首をかしげる姿は、そよ風に薄紅色の花が揺れているようだ。
「美葉さん!おはようございます!昨日はどうもありがとうございました!」
美葉の前までたどり着くと、正人は深々と頭を下げた。
「どういたしまして。」
ぶっきらぼうな美葉の声が頭の上に聞こえる。美葉の足先が自転車に向かって一歩踏み出のが見えた。
「あの!洗剤ください!」
慌てて正人は声をかけた。
「はぁ?」
美葉は唇を半開きにし、正人の顔を凝視する。
「昨日お借りした洋服、手洗いですが洗ってお返しします。」
美葉ははぁ、と息を吐いた。
「お風呂場の横に洗濯機があったでしょ。そこに入れておいて。もうすぐお父さんが起きてくるから。よかったら朝食も一緒にどうぞ。お弁当も、作ってあるから。」
早口でそう言いながら、美葉は自転車のかごにリュックサックを入れる。
「お弁当まで!?」
正人は驚いて両手を口に当てた。
「二人分も三人分も一緒だから。」
自転車をこぎ出そうとして、ふと動きを止める。
「食器、洗ってくれるのはうれしいけど、伏せておいてくれたらいいので。違うところにしまわれちゃうと、探す時間がもったいないから。」
早口でそう言うと、今度こそ自転車を漕いでいってしまった。
正人が味噌汁を温めていると、寝ぼけ眼の和夫が食卓に顔を出した。正人の姿を見て、うわぁ、と驚きの声を上げる。
「なんで朝から君がここにいるんだ?」
もっともだ、と思いつつ、正人は深々と頭を下げた。
「おはようございます。昨日は大変お世話になり、ありがとうございました。今朝、美葉さんに朝食を食べて良いと許可をいただきまして、今、お父さんの分も一緒にご用意させていただいております。」
はぁ、と力ない返事をし、和夫は食卓に着いた。
炊飯器を開けると、炊きたての米が湯気を上げる。ご飯をよそい、味噌汁とともに和夫の前に並べる。食卓には、卵焼きと浅漬け、常備菜らしいひじきの煮物が並んである。どれも、箸がつけられた形跡がない。
「美葉さんは、朝ご飯食べなかったのですかね?」
正人は小首をかしげる。
まだ暗い時間から、店の前で掃き掃除をしたり、入り口のガラス戸を拭いたりしている姿を何度も見た。まさか高校生だとは思っていなかった。
「いただきます。」
正人が両手を合わせる。和夫はすでに味噌汁をすすっている。
「美葉さん、とても働き者ですね。」
正人は卵焼きを頬張った。卵の甘さとだしの香りが口いっぱいに広がる。
「料理上手で、美人で、素敵な娘さんですね。」
和夫は返事をせず、浅漬けを口に放り込んだ。ぽりぽりと胡瓜をかみしめる音がする。正人は味噌汁をすすった。豆腐とわかめと白ネギの味噌汁。鰹のだしが効いている。
「料理が、母さんの味に似てくる。」
胡瓜を飲み込んだ後、和夫が呟いた。
「卵焼きの味も、味噌汁の味も、母さんの作るのと大差ない。」
深いため息をつく。
「美葉は母さんがいた時と同じ日常を作ろうとする。店の事も、家の事も。料理の味も、献立も。まるで最初からいなかったみたいに、以前と同じ日常が毎日毎日やってくる。母親が死んで悲しむ様子もない。冷たくて、気ばっかり強い娘に育ってしまった。」
和夫はぽつり、ぽつりと呟いてから、味噌汁をすすった。
正人は何と応えて良いか分からず、視線をうろうろさせた。そして、八畳ほどの居間の片隅にある小さな仏壇を見つけた。正人は立ち上がり、引き寄せられるように仏壇のそばへ行き、正座をした。
仏壇の中で、美しい女性がこちらに微笑みかけている。三十代後半だろうか。美葉が大人になったら、このような女性になるのだろう。
「初めまして、美葉さんのお母さん。昨日はお嬢様に大変お世話になりました。ありがとうございました。」
正人は手を合わせ、小さく呟いて頭を下げた。
顔を上げ、両手を膝の上に置いてから、遺影の中の女性を改めて見つめる。何故か以前から知っている人のような親しみを感じる。今にも声をかけてくれそうな、優しい笑顔が、そこにある。
「奥さん、美人ですね。」
思わず正人は呟いた。少し間を置いて、ああ、と和夫の返事が聞こえた。
「ここらでは評判の美人で、優しくて、みんなの憧れだった。小学校六年の時、札幌から転校してきた。こんな片田舎に、都会から、こんなきれいな女の子がやってきたもんだから、大人も子供もみんな驚いたもんだ。学校中の男子が母さんを意識していた。俺は高嶺の花だと思って声一つかけることが出来なかった。まさか家に嫁に来ることになるとは、思ってもみなかった。」
和夫は、大きな息を吐き、呻くように言う。
「家に、嫁に来なければ。苦労をかけたから、こんなに早く…。」
和夫の言葉から、痛いような悲しみと苦しみが伝わってくる。この悲しみや苦しみを、自分も知っていると正人は思った。そして、少しは距離を置けるようになったと思っていたが、あまりにもリアルに蘇ってくる感覚にうろたえた。
膝の上の両手を、強く握る。拳に爪が食い込む。その拳に、ぽつり、ぽつりとしずくが落ちた。喉の奥が引きつるように苦しくなり、嗚咽が漏れる。涙が涙を呼ぶように、止まらなくなり、いつの間にか声を上げて泣いていた。
「な、なんであんたが泣く…?」
和夫の声に振り返ると、目を白黒させていた。
「だ、だって…。お父さん、奥さんをすごくすごく、愛しているのが…、分かって…。」
正人は拳で涙を拭う。
「大切が人が、いなくなると…、痛くて、苦しいじゃないですか…。」
拭っても、拭っても、涙と鼻水が止まらない。和夫はオロオロと立ち上がり、ティッシュペーパーの箱を正人の前に置いた。
正人を見下ろしながら、深い息を吐く。
「みんな、いい加減もう悲しむなと言う。でも、忘れたくないんだよ。少しでも忘れないようにしようとすると、悲しくなる。」
正人はティッシュペーパーを一枚取り出した。
「悲しい気持ちをそんな起用に出したり引っ込めたり、出来ないですよ。悲しいなら、悲しんでいて良いのではないでしょうか、お父さん。」
垂れてきた鼻水を拭い、思い切り鼻をかんだ。
頭の上で、和夫が小さく頷く気配がした。
「ありがとうよ…。」
呟きながら、ゴミ箱をティッシュペーパーの横に置く。
「でも、お父さんと呼ばれるのは…。抵抗がある。」
そう言って、自分も一枚ティッシュペーパーを取り、ちん、と鼻をかんだ。
六畳一間の宿直室。敷きっぱなしのせんべい布団から体を起こす。部屋の片隅には一口のガスコンロと小さなシンクだけの簡素なキッチンがある。そのシンクで正人は顔を洗い、着替えようとしていつもの紺色の作業着がないことに気づいた。昨日、美葉が洗濯してくれたのだ。迷彩柄の大きなリュックサックを探る。この町に来るとき、全ての荷物はこの中に入れてきた。着替えは、下着と靴下が二組ずつ。そして、カーキ色の作業着。祖父からもらい、まだタグがついたままの新品だ。
「なんかもったいない気がする。」
そうつぶやき、タグを鋏で切って袖を通す。
らくだ色のスエットの上下とブリーフを畳む。洗って返すべきだろう。でも、水洗いしか出来ない。洗濯機もなければ、洗濯用の洗剤もない。
そこで、はたと気づく。
昨日世話になった美葉の家は、生活必需品を売る店だと言った。これまで、どこに店があるのか分からず何も手に入れられずに困っていた。なんと目の前にあったとは。もちろん、収入がないので散財するわけにはいかないが、数百円の洗剤を買う位の金は持っている。
正人は財布から五百円玉を取り出し、握りしめて転がるように階段を駆け下り、体育館を飛び出した。
ちょうど、店の入り口から美葉が外に出てきたところだった。
腰まであるまっすぐな黒髪を無造作に一つに束ねている。
「美葉さん!」
正人は自転車に向かって歩き出す美葉の背中に声をかけた。
美葉の存在は目を引く。大輪の芍薬の花が咲いているようだと思う。振り返って小首をかしげる姿は、そよ風に薄紅色の花が揺れているようだ。
「美葉さん!おはようございます!昨日はどうもありがとうございました!」
美葉の前までたどり着くと、正人は深々と頭を下げた。
「どういたしまして。」
ぶっきらぼうな美葉の声が頭の上に聞こえる。美葉の足先が自転車に向かって一歩踏み出のが見えた。
「あの!洗剤ください!」
慌てて正人は声をかけた。
「はぁ?」
美葉は唇を半開きにし、正人の顔を凝視する。
「昨日お借りした洋服、手洗いですが洗ってお返しします。」
美葉ははぁ、と息を吐いた。
「お風呂場の横に洗濯機があったでしょ。そこに入れておいて。もうすぐお父さんが起きてくるから。よかったら朝食も一緒にどうぞ。お弁当も、作ってあるから。」
早口でそう言いながら、美葉は自転車のかごにリュックサックを入れる。
「お弁当まで!?」
正人は驚いて両手を口に当てた。
「二人分も三人分も一緒だから。」
自転車をこぎ出そうとして、ふと動きを止める。
「食器、洗ってくれるのはうれしいけど、伏せておいてくれたらいいので。違うところにしまわれちゃうと、探す時間がもったいないから。」
早口でそう言うと、今度こそ自転車を漕いでいってしまった。
正人が味噌汁を温めていると、寝ぼけ眼の和夫が食卓に顔を出した。正人の姿を見て、うわぁ、と驚きの声を上げる。
「なんで朝から君がここにいるんだ?」
もっともだ、と思いつつ、正人は深々と頭を下げた。
「おはようございます。昨日は大変お世話になり、ありがとうございました。今朝、美葉さんに朝食を食べて良いと許可をいただきまして、今、お父さんの分も一緒にご用意させていただいております。」
はぁ、と力ない返事をし、和夫は食卓に着いた。
炊飯器を開けると、炊きたての米が湯気を上げる。ご飯をよそい、味噌汁とともに和夫の前に並べる。食卓には、卵焼きと浅漬け、常備菜らしいひじきの煮物が並んである。どれも、箸がつけられた形跡がない。
「美葉さんは、朝ご飯食べなかったのですかね?」
正人は小首をかしげる。
まだ暗い時間から、店の前で掃き掃除をしたり、入り口のガラス戸を拭いたりしている姿を何度も見た。まさか高校生だとは思っていなかった。
「いただきます。」
正人が両手を合わせる。和夫はすでに味噌汁をすすっている。
「美葉さん、とても働き者ですね。」
正人は卵焼きを頬張った。卵の甘さとだしの香りが口いっぱいに広がる。
「料理上手で、美人で、素敵な娘さんですね。」
和夫は返事をせず、浅漬けを口に放り込んだ。ぽりぽりと胡瓜をかみしめる音がする。正人は味噌汁をすすった。豆腐とわかめと白ネギの味噌汁。鰹のだしが効いている。
「料理が、母さんの味に似てくる。」
胡瓜を飲み込んだ後、和夫が呟いた。
「卵焼きの味も、味噌汁の味も、母さんの作るのと大差ない。」
深いため息をつく。
「美葉は母さんがいた時と同じ日常を作ろうとする。店の事も、家の事も。料理の味も、献立も。まるで最初からいなかったみたいに、以前と同じ日常が毎日毎日やってくる。母親が死んで悲しむ様子もない。冷たくて、気ばっかり強い娘に育ってしまった。」
和夫はぽつり、ぽつりと呟いてから、味噌汁をすすった。
正人は何と応えて良いか分からず、視線をうろうろさせた。そして、八畳ほどの居間の片隅にある小さな仏壇を見つけた。正人は立ち上がり、引き寄せられるように仏壇のそばへ行き、正座をした。
仏壇の中で、美しい女性がこちらに微笑みかけている。三十代後半だろうか。美葉が大人になったら、このような女性になるのだろう。
「初めまして、美葉さんのお母さん。昨日はお嬢様に大変お世話になりました。ありがとうございました。」
正人は手を合わせ、小さく呟いて頭を下げた。
顔を上げ、両手を膝の上に置いてから、遺影の中の女性を改めて見つめる。何故か以前から知っている人のような親しみを感じる。今にも声をかけてくれそうな、優しい笑顔が、そこにある。
「奥さん、美人ですね。」
思わず正人は呟いた。少し間を置いて、ああ、と和夫の返事が聞こえた。
「ここらでは評判の美人で、優しくて、みんなの憧れだった。小学校六年の時、札幌から転校してきた。こんな片田舎に、都会から、こんなきれいな女の子がやってきたもんだから、大人も子供もみんな驚いたもんだ。学校中の男子が母さんを意識していた。俺は高嶺の花だと思って声一つかけることが出来なかった。まさか家に嫁に来ることになるとは、思ってもみなかった。」
和夫は、大きな息を吐き、呻くように言う。
「家に、嫁に来なければ。苦労をかけたから、こんなに早く…。」
和夫の言葉から、痛いような悲しみと苦しみが伝わってくる。この悲しみや苦しみを、自分も知っていると正人は思った。そして、少しは距離を置けるようになったと思っていたが、あまりにもリアルに蘇ってくる感覚にうろたえた。
膝の上の両手を、強く握る。拳に爪が食い込む。その拳に、ぽつり、ぽつりとしずくが落ちた。喉の奥が引きつるように苦しくなり、嗚咽が漏れる。涙が涙を呼ぶように、止まらなくなり、いつの間にか声を上げて泣いていた。
「な、なんであんたが泣く…?」
和夫の声に振り返ると、目を白黒させていた。
「だ、だって…。お父さん、奥さんをすごくすごく、愛しているのが…、分かって…。」
正人は拳で涙を拭う。
「大切が人が、いなくなると…、痛くて、苦しいじゃないですか…。」
拭っても、拭っても、涙と鼻水が止まらない。和夫はオロオロと立ち上がり、ティッシュペーパーの箱を正人の前に置いた。
正人を見下ろしながら、深い息を吐く。
「みんな、いい加減もう悲しむなと言う。でも、忘れたくないんだよ。少しでも忘れないようにしようとすると、悲しくなる。」
正人はティッシュペーパーを一枚取り出した。
「悲しい気持ちをそんな起用に出したり引っ込めたり、出来ないですよ。悲しいなら、悲しんでいて良いのではないでしょうか、お父さん。」
垂れてきた鼻水を拭い、思い切り鼻をかんだ。
頭の上で、和夫が小さく頷く気配がした。
「ありがとうよ…。」
呟きながら、ゴミ箱をティッシュペーパーの横に置く。
「でも、お父さんと呼ばれるのは…。抵抗がある。」
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