異世界オオカミさん~クラスメイトと地球へ帰ろう~

刀根光太郎

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 適当な大きさの石や朽ちた丸太に座ると、佐久間の周辺に集まる。六人が俺の視界に入っているという偏った位置関係になっていた。

(よく見ると俺と佐久間以外は皆女子だな)

 流石というべきか、佐久間は器用に皆との会話をこなしていた。俺はふと思いにふける。要たち今頃どうしてるかな。そんな事を考えながら目線を反らすと、断層があり、その露出している部分に茶色の土を発見した。

「もしかして……粘土か……」

 俺は一目散に近づいてしゃがむと手に取った。

(うん、分かんね。こういうのだと思うんだけどな……)

「城詰……それが粘土で間違いないのか?」

「ん~、多分としか。試しに持って帰って愛丘に渡そう。これで土器を作れるなら後でまた取りに来ようか」

「分かった。無理しない程度に集めてくれ。それが終わったら一旦戻ろうか」

「賛成ー!」

 女子たちは嬉しそうに返事をした。


【帰還】

 狩猟の方は成功したようだ。獣が数体並んでいた。探索は得には進展なし。拠点は木の骨組みを並べるまでで終了した。

 骨組みの形状から旧拠点より少し大きくなりそうだ。だが、壁や扉はまだ無ようだ。先に仮の住居を素早く作って、後からしっかりした物にする予定だそうだ。


【就寝の時間帯】

 俺たちは何時も通り、要たちと焚火周辺に集まる。みーちゃんに聞いて見た。

「探索はどうだった?」

「ん~、獣に遭遇したけど追い払うのは大丈夫そう。不死原君かなり強いし」

 要は心配そうな表情で聞いた。

「どんな能力だった?」

「《ブラッド》だって。血を操る能力みたい。飛ばしたり、刀っぽくしたり色々してたよ」

「そうか……」

 俺は歯切れの悪い言葉と表情を見て察した。日頃のお返しだ。多分俺はニヤついていただろう。

「はーん。分かったぞ要ー。みーちゃんが心配なんだろ」

 そこで名前を出された本人は頬を僅かに染めてソワソワとしていた。

「当たり前だろ。まだ近場とは言え、二人だけで周辺を探索してるんだ……」

 和も意地の悪い表情をしていた。

「そうじゃなくて……要はみーちゃんが取れないか心配なんじゃない~?」

 要が珍しく動揺していた。

「あ~それは大丈夫だ。もう俺と未来とは付き合ってるから」

 そこで俺と和は唖然としていた。


「え?」「へ?」

「ちょっと要! 私から話すって言ったのに……もうっ……」

「あ、不味かったか?」

「えーっ! みーちゃん何時から? 私知らないんだけどぉ!」

「えっと……こ、ここに来て二日目の夕方……要から……その……付き合おうって……」


「はぁ~、道理でたまに見かけないと思った。イチャついてたのかよ」

「わりぃわりぃ。言おうとは思ったんだが、タイミングが無くてな」

 そこまで言うと、今度は要が牙を向いた。悪い笑みだった。

「ていうかさ。俺の心配より自分の心配をしろよ。誰かに取られちまうぞ。清水に看病されると安らぐって、男女問わず、人気になってるからなー」

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