27 / 38
第二章 十二王家の目覚め
23話 空の戦い
しおりを挟む
南に飛んでいると飛竜が五体確認出来た。テオは直ぐに気が付いた。一体の飛竜を見るや否や「あれなら余の力に堪えられそうだ。あれを貰う」と言って、加速し、一人で前に飛び出した。
飛竜は口から炎のブレスを吐いていたので、テオも火を放出して対抗する。飛竜もそれに驚き、対抗意識を燃やしたのか、次々と攻撃を繰り出す。まるで炎で絵を描く様に宙を舞う。そんな不思議な光景になっていた。
「うおぉぉぉぉお! 肉弾戦が出来るのはアルフィーだけじゃねぇんだよッ!」
クライヴも不思議な光景を作り出していた。グリフォンで加速し、飛び降りると殴る。飛竜もわざわざ体当たりで対抗する。クライヴが落ちるとグリフォンが拾い、再び接近していた。それを延々と繰り返す。
(まさか怪鳥の戦いを参考にしてるんじゃ……でも空中でそれをやるのは恐れ入った)
ロイクと戦っている飛竜は素早かった。凄まじい速度で空を駆け抜ける。彼のグリフォンもとても速かった。
(風精霊の恩恵があるグリフォンよりも速いのが居る何て……)
ロイクは雷の魔法を放出する形を取っていた。魔素の消費はともかくとして、恐らくはそれが一番最速な方法なのだろう。
時折、短剣を飛ばし、それに自分を引き寄せるといった戦法で飛竜をかく乱する。
エルナとディアナは共闘で、飛竜と戦っていた。見事なコンビネーションである。
ロイクが意外にもアクロバットな戦いをしているのに対して、エルナたちは狩りに近い堅実的な動きであった。現に飛竜の方が焦っている様に見える。
(エルナが一人だと今のロイクさんよりの動きになるけど、二人の時は違うのか……)
一番苦戦しているのは意外にもユイであった。原因は恐らく足場が無い。グリフォンでは彼女の凄まじい脚力に堪えれないのである。それゆえ、かなり加減して攻撃している。
体の回転や落下、クライヴの様にグリフォンの加速を利用して無理やり威力を底上げしているようだが、やはり何時もの彼女を見ていると見劣りする。
(ここはユイさんを補助する)
接近に気が付いたユイは不満そうな顔を見せる。
「私頼りないカ?」
(……むしろ緊急時に毎回連れて来るぐらいに信頼している)
「ユイさんと共闘するのが一番面白そうだったので。こっちに来ました。勉強させてください」
「オオ! 血が騒ぐてやつネ」
エルナたちの戦いを見るに、鱗の様な皮膚はかなり硬いらしい。剣や槍でもほぼ傷を付けれていない。剣を使っても大丈夫なのを確認する。アルフィーとユイは接近戦を仕掛ける。
ユイは少し高い位置から回転し、足を叩きつけるように振り下ろす。まだまだ飛竜はピンピンしている。間入れず、すれ違うざまに腹部を目掛けて剣での一撃を入れる。
少しバランスを崩したが一瞬で、すぐに立て直した。大きなダメージは与えていないように感じる。飛竜は態勢を整えているユイを狙う。
(ユイさんの方がダメージが大きいのか。攻撃の際、グリフォンと分離している隙を付いているのか)
騎乗した状態だとかなり接触しなければならない。グリフォンが戦闘不能になればなす術がないので、ユイはその辺も考えている。
どちらにせよ自分を見て無いのならと。アルフィーは竜の後頭部に剣を振り下ろし、思いっ切り強打する。気絶は無理だったが、結構効いたのか怒って向かって来た。
アルフィーが逃げ回っていると、真正面から態勢を立て直したユイが向かって来た。すれ違いざまにグリフォンから下りると、両手でそれぞれ拳を二つ作り、飛竜の鼻を目掛けてそれを振り下ろした。大きな唸り声が響いた。
同時に、激痛に耐えながらもその爪を振り下ろす。ユイの腹部に爪が創が刻まれる。
「ユイさん!」
グリフォンに拾われる。服は破れていた。そこから腹部の深い傷が露になった。
傷から血が滴り落ちる。
「だ、大丈夫ネ……」
その表情からは余裕が無い。すぐにでも治療に行きたいが、現状では無理だ。そんな事をしていると殺されてしまう。
ユイの動きが鈍った事で、徐々に防戦に追い込まれる。飛竜は弱ったユイを執拗に狙う。背後から攻撃を仕掛けるが、鋭い尻尾でグリフォンごと攻撃を貰ってしまう。
(くっ……焦りすぎた)
致命傷は避けているものの、ダメージが蓄積して言っている。風精霊の恩恵があるとはいえ、グリフォンの体力も限界が近い。周りを見ているが、同じく苦戦を強いられている。
(……撤退か……それとも……)
アルフィーに決断が迫られる。
飛竜は口から炎のブレスを吐いていたので、テオも火を放出して対抗する。飛竜もそれに驚き、対抗意識を燃やしたのか、次々と攻撃を繰り出す。まるで炎で絵を描く様に宙を舞う。そんな不思議な光景になっていた。
「うおぉぉぉぉお! 肉弾戦が出来るのはアルフィーだけじゃねぇんだよッ!」
クライヴも不思議な光景を作り出していた。グリフォンで加速し、飛び降りると殴る。飛竜もわざわざ体当たりで対抗する。クライヴが落ちるとグリフォンが拾い、再び接近していた。それを延々と繰り返す。
(まさか怪鳥の戦いを参考にしてるんじゃ……でも空中でそれをやるのは恐れ入った)
ロイクと戦っている飛竜は素早かった。凄まじい速度で空を駆け抜ける。彼のグリフォンもとても速かった。
(風精霊の恩恵があるグリフォンよりも速いのが居る何て……)
ロイクは雷の魔法を放出する形を取っていた。魔素の消費はともかくとして、恐らくはそれが一番最速な方法なのだろう。
時折、短剣を飛ばし、それに自分を引き寄せるといった戦法で飛竜をかく乱する。
エルナとディアナは共闘で、飛竜と戦っていた。見事なコンビネーションである。
ロイクが意外にもアクロバットな戦いをしているのに対して、エルナたちは狩りに近い堅実的な動きであった。現に飛竜の方が焦っている様に見える。
(エルナが一人だと今のロイクさんよりの動きになるけど、二人の時は違うのか……)
一番苦戦しているのは意外にもユイであった。原因は恐らく足場が無い。グリフォンでは彼女の凄まじい脚力に堪えれないのである。それゆえ、かなり加減して攻撃している。
体の回転や落下、クライヴの様にグリフォンの加速を利用して無理やり威力を底上げしているようだが、やはり何時もの彼女を見ていると見劣りする。
(ここはユイさんを補助する)
接近に気が付いたユイは不満そうな顔を見せる。
「私頼りないカ?」
(……むしろ緊急時に毎回連れて来るぐらいに信頼している)
「ユイさんと共闘するのが一番面白そうだったので。こっちに来ました。勉強させてください」
「オオ! 血が騒ぐてやつネ」
エルナたちの戦いを見るに、鱗の様な皮膚はかなり硬いらしい。剣や槍でもほぼ傷を付けれていない。剣を使っても大丈夫なのを確認する。アルフィーとユイは接近戦を仕掛ける。
ユイは少し高い位置から回転し、足を叩きつけるように振り下ろす。まだまだ飛竜はピンピンしている。間入れず、すれ違うざまに腹部を目掛けて剣での一撃を入れる。
少しバランスを崩したが一瞬で、すぐに立て直した。大きなダメージは与えていないように感じる。飛竜は態勢を整えているユイを狙う。
(ユイさんの方がダメージが大きいのか。攻撃の際、グリフォンと分離している隙を付いているのか)
騎乗した状態だとかなり接触しなければならない。グリフォンが戦闘不能になればなす術がないので、ユイはその辺も考えている。
どちらにせよ自分を見て無いのならと。アルフィーは竜の後頭部に剣を振り下ろし、思いっ切り強打する。気絶は無理だったが、結構効いたのか怒って向かって来た。
アルフィーが逃げ回っていると、真正面から態勢を立て直したユイが向かって来た。すれ違いざまにグリフォンから下りると、両手でそれぞれ拳を二つ作り、飛竜の鼻を目掛けてそれを振り下ろした。大きな唸り声が響いた。
同時に、激痛に耐えながらもその爪を振り下ろす。ユイの腹部に爪が創が刻まれる。
「ユイさん!」
グリフォンに拾われる。服は破れていた。そこから腹部の深い傷が露になった。
傷から血が滴り落ちる。
「だ、大丈夫ネ……」
その表情からは余裕が無い。すぐにでも治療に行きたいが、現状では無理だ。そんな事をしていると殺されてしまう。
ユイの動きが鈍った事で、徐々に防戦に追い込まれる。飛竜は弱ったユイを執拗に狙う。背後から攻撃を仕掛けるが、鋭い尻尾でグリフォンごと攻撃を貰ってしまう。
(くっ……焦りすぎた)
致命傷は避けているものの、ダメージが蓄積して言っている。風精霊の恩恵があるとはいえ、グリフォンの体力も限界が近い。周りを見ているが、同じく苦戦を強いられている。
(……撤退か……それとも……)
アルフィーに決断が迫られる。
0
あなたにおすすめの小説
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?
猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」
「え?なんて?」
私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。
彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。
私が聖女であることが、どれほど重要なことか。
聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。
―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。
前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
チート魔力はお金のために使うもの~守銭奴転移を果たした俺にはチートな仲間が集まるらしい~
桜桃-サクランボ-
ファンタジー
金さえあれば人生はどうにでもなる――そう信じている二十八歳の守銭奴、鏡谷知里。
交通事故で意識が朦朧とする中、目を覚ますと見知らぬ異世界で、目の前には見たことがないドラゴン。
そして、なぜか“チート魔力持ち”になっていた。
その莫大な魔力は、もともと自分が持っていた付与魔力に、封印されていた冒険者の魔力が重なってしまった結果らしい。
だが、それが不幸の始まりだった。
世界を恐怖で支配する集団――「世界を束ねる管理者」。
彼らに目をつけられてしまった知里は、巻き込まれたくないのに狙われる羽目になってしまう。
さらに、人を疑うことを知らない純粋すぎる二人と行動を共にすることになり、望んでもいないのに“冒険者”として動くことになってしまった。
金を稼ごうとすれば邪魔が入り、巻き込まれたくないのに事件に引きずられる。
面倒ごとから逃げたい守銭奴と、世界の頂点に立つ管理者。
本来交わらないはずの二つが、過去の冒険者の残した魔力によってぶつかり合う、異世界ファンタジー。
※小説家になろう・カクヨムでも更新中
※表紙:あニキさん
※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ
※月、水、金、更新予定!
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる