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第二章 十二王家の目覚め
31話 広がる世界
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クーが地面に転がり、腹を抱えて笑う。シオンが呆れた様子で、魔空船を見ていた。
「どうしたんだ?」
「あ、アルフィー。これ荷物運搬用っ。貨物船だよ! アハハハ! これで島に攻めようとしてたなんて勇敢過ぎッ。あー、おもしろーい!」
「侵入された時点で笑い事じゃないんだけどね」
シオンは半分笑いながらも、若干危機感を持っていた。彼等の時代から考えると、これは相当面白い様だ。
どうやら魔空船にも色々種類があるみたいだ。その他にも島を浮かす核も複数存在する。王家みたいな守護精霊は居ない、量産型の空島があると言っていた。
魔空船の操縦士を集めて話を聞いたところ、空の島の住人らしい。資源を求め、地上に降り立った時を盗賊に狙われたらしい。
操縦室で島の位置を確認したいそうなので、数人で立ち会った。しかし、距離が遠いらしく場所が分からないようだ。彼等は暫くこの島に滞在することになった。
ヨーゼフが操縦の仕方を教えて欲しいとお願いすると、承諾してくれたので、数人が数日かけて教わる。補助ありきで実際に操縦した。その中にちゃっかりとロマンが紛れていたのが印象的だった。
クライヴが船首に立って何か叫んでいたが、気にしない事にした。テオは操縦室にいて、外の映像を腕を組んで見ながら、満足そうにしていた。エルナが中の設備を凝視した後、考えるのを止めて適当に触ろうとする。女性騎士が慌てて羽交い絞めにして、全力で引き離す。
アルフィーは皆がここでどんな行動をするのかを観察していた。それに船内。ここに飛竜やグリフォンを乗せれば体力を温存できる。積載量と行動範囲が広がる魔空船が欲しいと考えていた。
甲板で風を浴びながら、風景を楽しんでいるとレティシアが隣に来た。適度な長さの髪がなびいていた。
「ここ、気持ちいいね」
「飛竜やグリフォンとはまた違った風だ」
静かにこの風を堪能していた。
「……こことは別の島……どんなところかな?」
「分からない……でもきっと、王様は最高の島にしていると思う」
レティシアは柔らかく笑う。
「それなら、私たちも頑張らないとだね」
「ああ……」
魔空船を大いに堪能した後は醸造所じょうぞうしょに向かう。そこにはヨーゼフもいた。
「おお、アルフィー。やはり来たのだな」
「ええ、他の島と交流があるかもしれないので、この島ならではの物をとは、と考えまして」
ポコが嬉しそうに話し出す。サーマン、ベルソン、ルムノス、イグフォティア。この四つの銘柄を最初のお酒とするようだ。様々な実験をするうちに、ある程度の方向性を決め、それぞれ別けたのだろう。まだ試作品なので、完成後に期待だ。
守護精霊にどんな交流をしてたのか聞いた事もあった。返ってきた答えはよく覚えて無いだった。僅かに覚えていた事は魔素の交換、もとい比べっこをしていたと言っていた。
他の職人も所も訪ねる。皆もそれが分かっているらしく、日頃より気合を入れて技術を磨いていた。
もちろん、必ずしも友好的とは限らない。魔空船の操縦者と話を聞くところでは悪い所は無い。礼儀正しく、人柄も良い。
しかし、常に警戒することは悪い事ではない。個人とのやり取りとは訳が違う。攻められてからでは、それを嘆く事すら出来ない。しっかりと戦闘の訓練も欠かさない。
「どうしたんだ?」
「あ、アルフィー。これ荷物運搬用っ。貨物船だよ! アハハハ! これで島に攻めようとしてたなんて勇敢過ぎッ。あー、おもしろーい!」
「侵入された時点で笑い事じゃないんだけどね」
シオンは半分笑いながらも、若干危機感を持っていた。彼等の時代から考えると、これは相当面白い様だ。
どうやら魔空船にも色々種類があるみたいだ。その他にも島を浮かす核も複数存在する。王家みたいな守護精霊は居ない、量産型の空島があると言っていた。
魔空船の操縦士を集めて話を聞いたところ、空の島の住人らしい。資源を求め、地上に降り立った時を盗賊に狙われたらしい。
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クライヴが船首に立って何か叫んでいたが、気にしない事にした。テオは操縦室にいて、外の映像を腕を組んで見ながら、満足そうにしていた。エルナが中の設備を凝視した後、考えるのを止めて適当に触ろうとする。女性騎士が慌てて羽交い絞めにして、全力で引き離す。
アルフィーは皆がここでどんな行動をするのかを観察していた。それに船内。ここに飛竜やグリフォンを乗せれば体力を温存できる。積載量と行動範囲が広がる魔空船が欲しいと考えていた。
甲板で風を浴びながら、風景を楽しんでいるとレティシアが隣に来た。適度な長さの髪がなびいていた。
「ここ、気持ちいいね」
「飛竜やグリフォンとはまた違った風だ」
静かにこの風を堪能していた。
「……こことは別の島……どんなところかな?」
「分からない……でもきっと、王様は最高の島にしていると思う」
レティシアは柔らかく笑う。
「それなら、私たちも頑張らないとだね」
「ああ……」
魔空船を大いに堪能した後は醸造所じょうぞうしょに向かう。そこにはヨーゼフもいた。
「おお、アルフィー。やはり来たのだな」
「ええ、他の島と交流があるかもしれないので、この島ならではの物をとは、と考えまして」
ポコが嬉しそうに話し出す。サーマン、ベルソン、ルムノス、イグフォティア。この四つの銘柄を最初のお酒とするようだ。様々な実験をするうちに、ある程度の方向性を決め、それぞれ別けたのだろう。まだ試作品なので、完成後に期待だ。
守護精霊にどんな交流をしてたのか聞いた事もあった。返ってきた答えはよく覚えて無いだった。僅かに覚えていた事は魔素の交換、もとい比べっこをしていたと言っていた。
他の職人も所も訪ねる。皆もそれが分かっているらしく、日頃より気合を入れて技術を磨いていた。
もちろん、必ずしも友好的とは限らない。魔空船の操縦者と話を聞くところでは悪い所は無い。礼儀正しく、人柄も良い。
しかし、常に警戒することは悪い事ではない。個人とのやり取りとは訳が違う。攻められてからでは、それを嘆く事すら出来ない。しっかりと戦闘の訓練も欠かさない。
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