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第2章 新たなナニゲ村
第29話 スキルの譲渡
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アルテはいつものように村に着くと、みんなに念話ができるように、アンナ・メグ・イザベルにシェアルームの枠を与える。与えられた三人は許可されたシェアルームで更に他のメンバーを枠に入れる。
『いいかい?今日は、イザベル・ミカはナタリーの罠の準備と設置に三人で専念してくれ。アンナは馬達を気付かれない様に王都へと移動を頼む。メグ達は奴等を監視しつつ、建設の手伝いを引き続き行う。因みに、今日のうちに奴等のスキルを幾つかリライトするつもりだから、急にMPが減っても驚かないように頼むね』
全員が頷き理解した事を確認すると、アルテ達は馬車を降りてゴッズ達の元に向かった。
「おはようございます。あれ?またゴッズさんが居ませんね?」
この前同様、ゴッズの姿が見え無い。直ぐ様サエルとジョージを枠に入れて記憶を探る。どうやら今回は二人共、彼の行き先を理解していたようだ。
「また見回りと称して散歩に出ちゃたようで…すんません」
サエルが代わりに謝罪をしているが、記憶では確かにゴッズの計画を聞いている姿が浮かぶ。
『タナトス様との定時連絡の結果、後援部隊の到着は明日の正午過ぎとなるそうだ。俺は今から奴等が隠れる場所を用意する。お前達は勇者達に悟られないように通常通りに仕事しろ』
そう告げた後、ゴッズは村の北西に去って行った。確か、北西側には広くは無いが森がある。対獣用の罠は森の入り口付近までしか設置していなかった筈だ。今から設置するにも、ゴッズに見られては意味を成さない。
『イザベル、罠は北西側の村の防壁付近を重点的に設置してくれ。森付近にはゴッズが潜んでいる可能性があるから近付き過ぎないようにね』
『分かった、気を付けるわ。もし、彼を見掛けたら直ぐに念話をする』
「それではサエルさんは、昨日に引き続き壁板貼りの作業を。ジョージさんも引き続き瓦の生産と昨日終わった地葺き面の棟積みをお願いします。皆んなは自分達の作業をお願いね」
「「は~い」了解っす」
各自持ち場へと移動を始めると、アルテはサエルとジョージの技能を再確認する。使える技能は今日の内に手に入れておこう。先ずは全員にオートチャクラを掛けるように伝える。極端なMP切れでマインドダウンを防ぐ為だ。
始めはサエルの技能から【物体重力操作】を【物体重力支配】に自分自身でマジックリライトする。指定した(触れた)物体に掛かる重力を支配する魔法に変えたのだ。かなりのMPが消費されたが、負担を全員で分散していたので問題無い。
続いては【空間間尺】を【空間把握】に変える。従来の距離感を瞬時に把握する能力から、一定の範囲の空間内は、物体の大きさ・他の物体との間隔・質量・数等が瞬時に把握できるようになった。これにより、技術の【瞬間空間認識】と【自動水平感知】は不必要となる。
調子に乗って次へと行きたいが、流石にMPの消費がマズイ状態になりそうなので、しばらくは作業に集中してチャクラによる回復を待つ。
小一時間程壁の板貼りの作業をした後、メグをサエルの監視に残し、ジョージの手伝いをするフロウとファーの元へと移動する。次はジョージの技能を頂くとしよう。
ジョージの【自動時短攪拌】は料理を作るメグには便利な技能だろう。なので、メグにシェアした後に【熱伝自動時短攪拌】と変える。これにより、ただの時短攪拌ではなく加熱も可能となる。料理のレパートリーも増えそうだな。念話でメグから感謝の言葉が伝わってくる。喜んでくれたようだ。
続いては、【無機物加速変化】を【有機物加速変化】に変えてみよう。ジョージがセメント等無機物による加工物のインターバルを短縮する技能だが、有機物に変える事で生物自体を促進できるのかもしれない。もちろん、与える相手はファーである。彼女には農産に力を入れてもらいたい。ところが念話での反応は余り嬉しくなさそうだった。使い方がいまいち分からないようだ。今度皆んなで技能の検証を行うべきだな。
残る技能は【削岩する手】と【液体形状記憶】の二つだが…何に変えるか悩むな。
悩んだ結果、イザベルに【削岩する手】を【削岩する矢】に変えて与える。通常の矢が、技能発動時には岩をも簡単に破壊できるようになった。
【液体形状記憶】は便利そうなんだけど、いわゆる液体を固定・維持させる技能なので、何に利用するかを悩む。
現在、技能を与えていないのは、アンナ・フロウ・ナタリー・ミカの四人である。
技能は【液体形成変化】と変えた。四文字も変えたので、今日で一番のMP消費が高かった。負担割合はアルテが一番多く、思わず膝をつきそうになる。思えばアネットに技能を与えた時は、三つの技能をディオソニスが全負担だったが、神で無ければ一つでマインドダウンだったかもしれない。
『あ、あの、アルテさん?この技能って何ですか⁈』
念話の主はフロウである。この【液体形成変化】の技能はフロウへと与える事にしたのだ。彼女を選んだのは、他の三人に比べて料理の手伝い等で水系に良く携わっているからだ。しかし、この技能をどう使っていくかはやはり検証するしかない。
『技能の検証は帰ってから皆んなでするから、今はまだ試さないでね?』
問題は残りの三人だが、ゴッズとジョージの残りの技術や技能から思い付く技能が浮かばない。
「だからって私に頼るわけ~?」
こっそりとナミーを呼び出して、何か案を考えてくれと頼む。彼女はアルテの肩に座ると、悩むポーズをとっている。
「…別に彼奴等の技能にこだわる必要は無いんじゃない?彼女達が元々持っている技能を変えるか、主人の技能を変えてあげるとか?」
「なるほど…って言っても、あの三人が自分で取得した技能は余り変えたく無いかな。となると、やはり私の技能か…何が良いかな…」
ナミーの提案に頷きつつも、直ぐには思い当たらない。現在のアルテの所持している技能は【陽気に挨拶】【瞬歩】【発勁】【白刃取り】【オートチャクラ】【以心伝心】【シェアルーム】【マジックリライト】【アイテムクリエイト】【サポートナビゲーター改(自立思考型)】【物体重力支配】【空間把握】の12個である。
アンナには動物と更に親しくなれるように【以心伝心改(動物)】。ナタリーには罠の生産・設置が即座にできる【トラップクリエイト】。おっとりとした性格のミカが得意な事は、手芸・裁縫といった工芸系らしい。なので技術の方の【武術の素養】を【芸術の素養】に変えて与える事にした。
但し、これ等はMP回復を待ってからゆっくりと行うとしよう。三人には、考えてある技能は後で渡す、今は明日の作戦の為の準備に頑張ってくれと念話で伝える。
『必ずだからね?』
アンナ達は念を押してきたが、そこから少しの安堵感も伝わってきた。自分達は貰えないかもという不安があったのかもしれない。
「一段落したら、そろそろ作業に戻りなさいよ?サエルがソワソワしだしているみたいだから」
ナミーが、落ち着かなくなってきたサエルに気付いて報せる。シェアルームの枠に入れてあるので、ある程度の索敵効果もあるのだが、やはり地図的に周りを把握できるアレックスが居ないのが痛いな。
「アレックス…無事かな…」
リリムと共に離れた少年は、今大丈夫だろうか?リリムの手紙にはアレックスの事は書かれていない。帰らないのは何か理由があるのだろうか?索敵を持つ彼ならきっと大丈夫だろうと思うが、少しの不安を感じながらアルテは自分の持ち場へと戻るのだった。
『いいかい?今日は、イザベル・ミカはナタリーの罠の準備と設置に三人で専念してくれ。アンナは馬達を気付かれない様に王都へと移動を頼む。メグ達は奴等を監視しつつ、建設の手伝いを引き続き行う。因みに、今日のうちに奴等のスキルを幾つかリライトするつもりだから、急にMPが減っても驚かないように頼むね』
全員が頷き理解した事を確認すると、アルテ達は馬車を降りてゴッズ達の元に向かった。
「おはようございます。あれ?またゴッズさんが居ませんね?」
この前同様、ゴッズの姿が見え無い。直ぐ様サエルとジョージを枠に入れて記憶を探る。どうやら今回は二人共、彼の行き先を理解していたようだ。
「また見回りと称して散歩に出ちゃたようで…すんません」
サエルが代わりに謝罪をしているが、記憶では確かにゴッズの計画を聞いている姿が浮かぶ。
『タナトス様との定時連絡の結果、後援部隊の到着は明日の正午過ぎとなるそうだ。俺は今から奴等が隠れる場所を用意する。お前達は勇者達に悟られないように通常通りに仕事しろ』
そう告げた後、ゴッズは村の北西に去って行った。確か、北西側には広くは無いが森がある。対獣用の罠は森の入り口付近までしか設置していなかった筈だ。今から設置するにも、ゴッズに見られては意味を成さない。
『イザベル、罠は北西側の村の防壁付近を重点的に設置してくれ。森付近にはゴッズが潜んでいる可能性があるから近付き過ぎないようにね』
『分かった、気を付けるわ。もし、彼を見掛けたら直ぐに念話をする』
「それではサエルさんは、昨日に引き続き壁板貼りの作業を。ジョージさんも引き続き瓦の生産と昨日終わった地葺き面の棟積みをお願いします。皆んなは自分達の作業をお願いね」
「「は~い」了解っす」
各自持ち場へと移動を始めると、アルテはサエルとジョージの技能を再確認する。使える技能は今日の内に手に入れておこう。先ずは全員にオートチャクラを掛けるように伝える。極端なMP切れでマインドダウンを防ぐ為だ。
始めはサエルの技能から【物体重力操作】を【物体重力支配】に自分自身でマジックリライトする。指定した(触れた)物体に掛かる重力を支配する魔法に変えたのだ。かなりのMPが消費されたが、負担を全員で分散していたので問題無い。
続いては【空間間尺】を【空間把握】に変える。従来の距離感を瞬時に把握する能力から、一定の範囲の空間内は、物体の大きさ・他の物体との間隔・質量・数等が瞬時に把握できるようになった。これにより、技術の【瞬間空間認識】と【自動水平感知】は不必要となる。
調子に乗って次へと行きたいが、流石にMPの消費がマズイ状態になりそうなので、しばらくは作業に集中してチャクラによる回復を待つ。
小一時間程壁の板貼りの作業をした後、メグをサエルの監視に残し、ジョージの手伝いをするフロウとファーの元へと移動する。次はジョージの技能を頂くとしよう。
ジョージの【自動時短攪拌】は料理を作るメグには便利な技能だろう。なので、メグにシェアした後に【熱伝自動時短攪拌】と変える。これにより、ただの時短攪拌ではなく加熱も可能となる。料理のレパートリーも増えそうだな。念話でメグから感謝の言葉が伝わってくる。喜んでくれたようだ。
続いては、【無機物加速変化】を【有機物加速変化】に変えてみよう。ジョージがセメント等無機物による加工物のインターバルを短縮する技能だが、有機物に変える事で生物自体を促進できるのかもしれない。もちろん、与える相手はファーである。彼女には農産に力を入れてもらいたい。ところが念話での反応は余り嬉しくなさそうだった。使い方がいまいち分からないようだ。今度皆んなで技能の検証を行うべきだな。
残る技能は【削岩する手】と【液体形状記憶】の二つだが…何に変えるか悩むな。
悩んだ結果、イザベルに【削岩する手】を【削岩する矢】に変えて与える。通常の矢が、技能発動時には岩をも簡単に破壊できるようになった。
【液体形状記憶】は便利そうなんだけど、いわゆる液体を固定・維持させる技能なので、何に利用するかを悩む。
現在、技能を与えていないのは、アンナ・フロウ・ナタリー・ミカの四人である。
技能は【液体形成変化】と変えた。四文字も変えたので、今日で一番のMP消費が高かった。負担割合はアルテが一番多く、思わず膝をつきそうになる。思えばアネットに技能を与えた時は、三つの技能をディオソニスが全負担だったが、神で無ければ一つでマインドダウンだったかもしれない。
『あ、あの、アルテさん?この技能って何ですか⁈』
念話の主はフロウである。この【液体形成変化】の技能はフロウへと与える事にしたのだ。彼女を選んだのは、他の三人に比べて料理の手伝い等で水系に良く携わっているからだ。しかし、この技能をどう使っていくかはやはり検証するしかない。
『技能の検証は帰ってから皆んなでするから、今はまだ試さないでね?』
問題は残りの三人だが、ゴッズとジョージの残りの技術や技能から思い付く技能が浮かばない。
「だからって私に頼るわけ~?」
こっそりとナミーを呼び出して、何か案を考えてくれと頼む。彼女はアルテの肩に座ると、悩むポーズをとっている。
「…別に彼奴等の技能にこだわる必要は無いんじゃない?彼女達が元々持っている技能を変えるか、主人の技能を変えてあげるとか?」
「なるほど…って言っても、あの三人が自分で取得した技能は余り変えたく無いかな。となると、やはり私の技能か…何が良いかな…」
ナミーの提案に頷きつつも、直ぐには思い当たらない。現在のアルテの所持している技能は【陽気に挨拶】【瞬歩】【発勁】【白刃取り】【オートチャクラ】【以心伝心】【シェアルーム】【マジックリライト】【アイテムクリエイト】【サポートナビゲーター改(自立思考型)】【物体重力支配】【空間把握】の12個である。
アンナには動物と更に親しくなれるように【以心伝心改(動物)】。ナタリーには罠の生産・設置が即座にできる【トラップクリエイト】。おっとりとした性格のミカが得意な事は、手芸・裁縫といった工芸系らしい。なので技術の方の【武術の素養】を【芸術の素養】に変えて与える事にした。
但し、これ等はMP回復を待ってからゆっくりと行うとしよう。三人には、考えてある技能は後で渡す、今は明日の作戦の為の準備に頑張ってくれと念話で伝える。
『必ずだからね?』
アンナ達は念を押してきたが、そこから少しの安堵感も伝わってきた。自分達は貰えないかもという不安があったのかもしれない。
「一段落したら、そろそろ作業に戻りなさいよ?サエルがソワソワしだしているみたいだから」
ナミーが、落ち着かなくなってきたサエルに気付いて報せる。シェアルームの枠に入れてあるので、ある程度の索敵効果もあるのだが、やはり地図的に周りを把握できるアレックスが居ないのが痛いな。
「アレックス…無事かな…」
リリムと共に離れた少年は、今大丈夫だろうか?リリムの手紙にはアレックスの事は書かれていない。帰らないのは何か理由があるのだろうか?索敵を持つ彼ならきっと大丈夫だろうと思うが、少しの不安を感じながらアルテは自分の持ち場へと戻るのだった。
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