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第6章 勇者候補の修行
修行 その3 ボルト
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溜め息混じりに夕食を食べていると、片付けに来たケイトが心配そうにしている。
「あの、料理に問題がお有りでしょうか?」
「え?あ、いいえ。料理は美味しいですよ。すみません、食べるの遅かったですね」
「いいえ!ごゆっくりお食べください」
料理が用意されてから、一時間は既に経過していた。彼女は規定通りに皿を引き上げに来たので、非はタケルにある。一度は夢見た魔法を使える自分の姿が、いくら努力しても成果が出ない事で、気が塞ぎこんできていたのだ。
「ケイトさんは魔法とか使えます?」
「魔法ですか?私の職業には一つだけ生活補助魔法のクリーンという魔法が有ります」
「その魔法を発動する際の事を教えて頂けませんか?」
「すみません、それは出来ません。タケル様には、担当される方々がおらっしゃいますので、素人の変な癖を付けるわけにはいきません」
力になれないと深々と頭を下げるケイトに、タケルも考えが足りなかったと謝る。彼女にも立場がある事を考えていなかった。
「いいえ!こっちこそ、すみません。変な事聞いちゃって。そうですよね、まだ初日だっていうのに。落ち込んでる暇があったら、練習あるのみですね」
タケルは、元気を取り戻したとアピールするように、夕食の残りをペロリと平らげる。
「タケル様、微力でございますが、私は必要物資の調達という形で応援させていただきます」
彼女が食器を片付けて出て行った後、タケルは早速、教わった魔法の基礎の復習をする事にした。
『人体のへその上にある丹田に、魔元素である五元素のいずれかを集中させるイメージを持ち、それを指先、又は道具の一部へと移動する。その先端を発射台として、集中して練った魔力を解放するのよ。魔方陣分かるなら、五元素は分かるから簡単でしょ?』
「五元素、即ち「地」「水」「火」「氣」「空」のいずれか。イメージしやすい闇魔法である呪い魔法は、「氣」と他の元素の混合魔法だから、最初から難しいし…。最初はイメージしやすい「火」が良いと思って練習してるんだけどな」
ラネットの前で練習した時のように、何度も練習する。集中しているのだが、魔力が集まっている感覚が無い。
ひたすら反復練習を続ける。すると、練習中に寝てしまったらしく、気がつくと朝になっていた。
急いでスケジュールを確認すると、6時から資料室前で会う事になっている。時間はギリギリ間に合いそうだ。
身嗜みを整えて資料室へと急いで向かう。資料室は王宮西側の二階にある。その場所は例の見取り図で記憶済みで、特別資料室は資料室の隣にある事も分かっている。
資料室にタケルが到着する前に、既に扉の前で待つボルト大司祭の姿が見えた。
「おはようございます。すみません、遅れました」
「いいえ、時間通りですよ。おはようございます、タケル君。さぁ、入りましょうか」
室内には壁伝いに本棚が並び、本や羊皮紙の巻物といった文献の他に、ガラス張りの箱に魔物の体の一部を固定してある標本もある。
ボルトに案内される様にして、タケルは資料室の中央にある調査用ブースへと入る。ブース内にはテーブルが並べてあり、既に幾つかの文献や魔物の標本が置かれている。
「そこに座るといい」
タケルが着席すると、ボルトも対面に座りニッコリと微笑む。
「修行の調子はどうかね?」
「えっと、魔法が発現出来ずに困っています」
「おや、それは困ったね。私の修行も回復・サポート系の魔法を習得する訓練なのだが、君は既に使用できるとオーランドが言ってたので、ペースを上げようかと思っていたよ」
「す、すみません。魔石を利用した方法なら使えるんですけど、魔力だと全然駄目みたいで…」
ボルトは用意してあった文献等を退かし、タケルの両手を掴む。
「先ずは原因を確かめてみましょうか。私の右手から、君の体を通じて左手へと魔力を流してみます。いわゆる人体走査だよ。じゃあ流すよ、えい」
本来なら医師という職業が使える技能だ。掴まれた左手が、一瞬暖かく熱を持つ。熱はやがて腕から肩に伝わり、体全体へと広がった。
「んん?おかしいな。魔道配管を阻害する場所があるぞ」
魔道配管とは、体内を魔力が通る配管みたいな管であるが、常人には可視はできない。ボルトは両目を閉じた状態で、脳内でタケルの体内を観察しているようだ。だが、その表情は苦悶している。
「どこだ?心臓でも、肺や肝臓でも無い…」
「あ…ひょっとして、それって下腹部にあるかも…」
「下腹部?お、おお!ありましたね!膀胱に癒着している塊が。これは…」
「たぶん、装飾品の破片だと思います」
「装飾品の破片⁈」
「幼少期に、鑑定の見様見真似をしていたら、その中に呪われた装飾品があって、兄が解除してやると言ったけども失敗して軽く爆発しちゃって、母が破片は全部取り除いてくれたと思ったんだけど…」
たぶん見落としてしまった欠片があったんだろう。それも仕方なかったかもしれない。別室で遊んでいた子供達が、気が付けば客から預かった品物で遊んでいて、良いところを見せようとした兄の呪い解除が失敗して大惨事な状況では、最早母はパニックだったに違いない。
「呪術が残っている可能性がありますね。なら先に解呪をしてから取り除きましょう」
ボルトは一拍置いて集中すると、左手から白魔法の解呪を混ぜた魔力を流して、癒着部分へと送る。
膀胱の上の辺りから、弱い痛みがチクチクと何回かした後、スッと体全体に暖かい感覚が広がった。
「取り除けましたよ。魔力も無事に右手から還って来ています。魔力を阻害していたのはやはり、破片だったようですね。今なら魔法も可能かもしれないですよ?」
終わりましたとボルトは、タケルから手を離して額と頭の汗を拭く。
「…試してみます」
イメージは火。丹田に意識を集中して、それを指先に集める。前回は感じなかった、体を流れる魔力の暖かい感覚。
「おお、出来ましたね!」
タケルの指先からは小さな火が揺らめいていた。その感動に、タケルも思わず泣きそうになる。
「良かった。これでやっと修行を始められます。私の修行は、回復・支援魔法の習得と薬学です。ではタケル君、先ずは貴方が既に使用した経験がある魔方陣、減速の呪いの反対魔法の加速の魔方陣をやってみましょう。魔方陣の図式の意味は理解してますね?加速魔法は『氣』と『空』を混ぜた混合図式です。割合は6:4で形成すると良いですよ」
「あの、詠唱で覚え無くて良いんですか?」
「大丈夫です。これはラネットの受け売りですが、「魔法はイメージが重要であり、詠唱や魔方陣は手段でしか無い。詠唱は、威力や効果を重視した質の手段。魔方陣は、魔力さえ消費出来れば素人でも使用可能な型の手段。一方の手段を覚えていれば良く、詠唱も魔方陣もイメージ出来れば破棄可能よ」らしいです。ですから、貴方は魔方陣の図式を理解しているので、詠唱を覚える必要は無いですね」
「分かりました。ではやってみます。…加速」
タケルは脳内に魔方陣をイメージして、自分とボルトに魔法を掛ける。
「出来た!」
成功して体の動きが倍の速さに加速した。しかし、体には奇妙な倦怠感が残る。これが魔力を消費した感覚らしい。個人によって魔力量は違うらしいから、過使用による魔力枯渇だけは気を付けないといけない。
「では、このまま加速した状態でいろいろと試していきましょう」
次々と支援魔法の発動を練習する。既に魔方陣を理解しているタケルの飲み込みは早かった。
(…ラネットはこうも言っていましたね。偉大な魔術師は、あらゆる魔法図式を知る者だと。魔法図式を知る者は、あらゆる魔法を形成できる。それは新たな魔法も可能であると。ウィルソンの話が真実なら、魔王はおそらくそのタイプの魔術師で間違いない。タケルが力の使い方を間違えないように気を付けないといけませんね)
暖かい目で見守るボルトの思いに気付く事無く、タケルはやっと出来た魔法の楽しさに夢中になっていた。
「あの、料理に問題がお有りでしょうか?」
「え?あ、いいえ。料理は美味しいですよ。すみません、食べるの遅かったですね」
「いいえ!ごゆっくりお食べください」
料理が用意されてから、一時間は既に経過していた。彼女は規定通りに皿を引き上げに来たので、非はタケルにある。一度は夢見た魔法を使える自分の姿が、いくら努力しても成果が出ない事で、気が塞ぎこんできていたのだ。
「ケイトさんは魔法とか使えます?」
「魔法ですか?私の職業には一つだけ生活補助魔法のクリーンという魔法が有ります」
「その魔法を発動する際の事を教えて頂けませんか?」
「すみません、それは出来ません。タケル様には、担当される方々がおらっしゃいますので、素人の変な癖を付けるわけにはいきません」
力になれないと深々と頭を下げるケイトに、タケルも考えが足りなかったと謝る。彼女にも立場がある事を考えていなかった。
「いいえ!こっちこそ、すみません。変な事聞いちゃって。そうですよね、まだ初日だっていうのに。落ち込んでる暇があったら、練習あるのみですね」
タケルは、元気を取り戻したとアピールするように、夕食の残りをペロリと平らげる。
「タケル様、微力でございますが、私は必要物資の調達という形で応援させていただきます」
彼女が食器を片付けて出て行った後、タケルは早速、教わった魔法の基礎の復習をする事にした。
『人体のへその上にある丹田に、魔元素である五元素のいずれかを集中させるイメージを持ち、それを指先、又は道具の一部へと移動する。その先端を発射台として、集中して練った魔力を解放するのよ。魔方陣分かるなら、五元素は分かるから簡単でしょ?』
「五元素、即ち「地」「水」「火」「氣」「空」のいずれか。イメージしやすい闇魔法である呪い魔法は、「氣」と他の元素の混合魔法だから、最初から難しいし…。最初はイメージしやすい「火」が良いと思って練習してるんだけどな」
ラネットの前で練習した時のように、何度も練習する。集中しているのだが、魔力が集まっている感覚が無い。
ひたすら反復練習を続ける。すると、練習中に寝てしまったらしく、気がつくと朝になっていた。
急いでスケジュールを確認すると、6時から資料室前で会う事になっている。時間はギリギリ間に合いそうだ。
身嗜みを整えて資料室へと急いで向かう。資料室は王宮西側の二階にある。その場所は例の見取り図で記憶済みで、特別資料室は資料室の隣にある事も分かっている。
資料室にタケルが到着する前に、既に扉の前で待つボルト大司祭の姿が見えた。
「おはようございます。すみません、遅れました」
「いいえ、時間通りですよ。おはようございます、タケル君。さぁ、入りましょうか」
室内には壁伝いに本棚が並び、本や羊皮紙の巻物といった文献の他に、ガラス張りの箱に魔物の体の一部を固定してある標本もある。
ボルトに案内される様にして、タケルは資料室の中央にある調査用ブースへと入る。ブース内にはテーブルが並べてあり、既に幾つかの文献や魔物の標本が置かれている。
「そこに座るといい」
タケルが着席すると、ボルトも対面に座りニッコリと微笑む。
「修行の調子はどうかね?」
「えっと、魔法が発現出来ずに困っています」
「おや、それは困ったね。私の修行も回復・サポート系の魔法を習得する訓練なのだが、君は既に使用できるとオーランドが言ってたので、ペースを上げようかと思っていたよ」
「す、すみません。魔石を利用した方法なら使えるんですけど、魔力だと全然駄目みたいで…」
ボルトは用意してあった文献等を退かし、タケルの両手を掴む。
「先ずは原因を確かめてみましょうか。私の右手から、君の体を通じて左手へと魔力を流してみます。いわゆる人体走査だよ。じゃあ流すよ、えい」
本来なら医師という職業が使える技能だ。掴まれた左手が、一瞬暖かく熱を持つ。熱はやがて腕から肩に伝わり、体全体へと広がった。
「んん?おかしいな。魔道配管を阻害する場所があるぞ」
魔道配管とは、体内を魔力が通る配管みたいな管であるが、常人には可視はできない。ボルトは両目を閉じた状態で、脳内でタケルの体内を観察しているようだ。だが、その表情は苦悶している。
「どこだ?心臓でも、肺や肝臓でも無い…」
「あ…ひょっとして、それって下腹部にあるかも…」
「下腹部?お、おお!ありましたね!膀胱に癒着している塊が。これは…」
「たぶん、装飾品の破片だと思います」
「装飾品の破片⁈」
「幼少期に、鑑定の見様見真似をしていたら、その中に呪われた装飾品があって、兄が解除してやると言ったけども失敗して軽く爆発しちゃって、母が破片は全部取り除いてくれたと思ったんだけど…」
たぶん見落としてしまった欠片があったんだろう。それも仕方なかったかもしれない。別室で遊んでいた子供達が、気が付けば客から預かった品物で遊んでいて、良いところを見せようとした兄の呪い解除が失敗して大惨事な状況では、最早母はパニックだったに違いない。
「呪術が残っている可能性がありますね。なら先に解呪をしてから取り除きましょう」
ボルトは一拍置いて集中すると、左手から白魔法の解呪を混ぜた魔力を流して、癒着部分へと送る。
膀胱の上の辺りから、弱い痛みがチクチクと何回かした後、スッと体全体に暖かい感覚が広がった。
「取り除けましたよ。魔力も無事に右手から還って来ています。魔力を阻害していたのはやはり、破片だったようですね。今なら魔法も可能かもしれないですよ?」
終わりましたとボルトは、タケルから手を離して額と頭の汗を拭く。
「…試してみます」
イメージは火。丹田に意識を集中して、それを指先に集める。前回は感じなかった、体を流れる魔力の暖かい感覚。
「おお、出来ましたね!」
タケルの指先からは小さな火が揺らめいていた。その感動に、タケルも思わず泣きそうになる。
「良かった。これでやっと修行を始められます。私の修行は、回復・支援魔法の習得と薬学です。ではタケル君、先ずは貴方が既に使用した経験がある魔方陣、減速の呪いの反対魔法の加速の魔方陣をやってみましょう。魔方陣の図式の意味は理解してますね?加速魔法は『氣』と『空』を混ぜた混合図式です。割合は6:4で形成すると良いですよ」
「あの、詠唱で覚え無くて良いんですか?」
「大丈夫です。これはラネットの受け売りですが、「魔法はイメージが重要であり、詠唱や魔方陣は手段でしか無い。詠唱は、威力や効果を重視した質の手段。魔方陣は、魔力さえ消費出来れば素人でも使用可能な型の手段。一方の手段を覚えていれば良く、詠唱も魔方陣もイメージ出来れば破棄可能よ」らしいです。ですから、貴方は魔方陣の図式を理解しているので、詠唱を覚える必要は無いですね」
「分かりました。ではやってみます。…加速」
タケルは脳内に魔方陣をイメージして、自分とボルトに魔法を掛ける。
「出来た!」
成功して体の動きが倍の速さに加速した。しかし、体には奇妙な倦怠感が残る。これが魔力を消費した感覚らしい。個人によって魔力量は違うらしいから、過使用による魔力枯渇だけは気を付けないといけない。
「では、このまま加速した状態でいろいろと試していきましょう」
次々と支援魔法の発動を練習する。既に魔方陣を理解しているタケルの飲み込みは早かった。
(…ラネットはこうも言っていましたね。偉大な魔術師は、あらゆる魔法図式を知る者だと。魔法図式を知る者は、あらゆる魔法を形成できる。それは新たな魔法も可能であると。ウィルソンの話が真実なら、魔王はおそらくそのタイプの魔術師で間違いない。タケルが力の使い方を間違えないように気を付けないといけませんね)
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