25 / 418
第2章 魅惑の生活が怖いって思わなかったよ⁈
021話 初デート
しおりを挟む
翌朝、今日の二人は機嫌が良い。アヤコさんは、魔法が使えるようになって喜んでいるのだろうけど、サナエさんは明日の俺とのデートが嬉しい事になるのだろうか?
そもそも、村の外に出るデートって誰情報なんだろう。
「さてと…今日の午前中は雑貨店の手伝いだったな」
雑貨店の手伝いは、主に日用雑貨品の補充である。補充と言っても、他店の品を取り揃えているわけではない。他店で取り扱っていない品物を取り揃えているのだ。
例えば、乾燥広葉樹の葉(トイレットペーパー・ちり紙) 羊皮紙、ランプ用油、植物性石鹸、絵の具(磨り潰した木の実と油を混ぜた物。色は赤・青・黄・黒・白のみ)、ボアの革靴等がある。
「おはようございます、モドコ店長」
雑貨店の店長モドコさんは、自分とさほど変わらない身長の大人の男性だ。ただし、横幅は俄然広いんだけど。
「おはよう、アラヤ」
「来たね、アラヤ君」
「あれ?村長も居たんですか?」
モドコ店長だけでなく、村長もカウンターから顔を出した。二人共、片手には微かに湯気の立つコップを持っている。香りからしてどうやら紅茶を楽しんでいたらしい。
「君がちゃんと働いているかを見に来たんだよ」
「俺の事より、ライナスさん達を見に行って下さいよ。最近、気が緩み過ぎですよ」
「まぁね。後でビシッと注意してやるさ。それはともかく、ちょっとアラヤに用があって伺ったんだ」
村長はちょいちょいと、耳を貸すように手招きをする。言われるがままに耳を貸すと、店長にも聞かれたくないらしく小声で囁く。
「アラヤあんたさ、鑑定の技能持ってるだろ?」
「な、何の事ですか?」
アラヤは驚いて距離を取ってしまった。村長はしたり顔で続けて言う。
「隠しても無駄だよ。昨日、あれだけの質の良い陶石を持ち帰ってるんだ。分かるに決まってるだろう?見本を見せたとは言え、陶石は素人が見分けるには難しい石だからね」
「ははっ、たまたま多く見つけただけですよ」
「別に脅してるわけじゃないよ。誰かに教えもしない。言いふらして得になるものじゃないからね」
どうやら完全にバレてるみたいだ。それもそうか。不純物ゼロの陶石ばかりを集めてしまったし。
「ただね、同じ技能を持つ者として、頼みがあるんだよ」
「頼み?」
「明後日、私とある山の調査に同行してもらいたい」
「何故、山の調査ですか?」
「その山はまだドワーフ達にも手付かずでね。先に行って、私達で宝の山を発掘しようって事だよ。あんたと二人での鑑定なら調査も早いだろ?護衛もあんたが一人で充分そうだからね」
「はぁ、まぁそういう事でしたら、別に構いませんけど」
「良し決まりだ。出発は明後日の早朝ね!それじゃ私は仕事に戻るから。あ、モドコ、紅茶ありがとうね~」
自分の用件が済んだと分かると、村長は瞬く間に帰っていった。
「どうやら話は終わったようだね」
「ええ。朝から何かすみません」
俺が謝るのもおかしな話だけどね。
「それじゃあ、今日も乾燥葉を集めてくれるかな?君が加工した乾燥葉は人気が高くて、在庫が直ぐに無くなるからね」
「分かりました。早速、採取に行ってきます」
店を出たアラヤは、いつもの場所に向かう。そこには落葉樹のホオノキが多くあり、拭き取り用として最適な葉の大きさをしている。
大体、葉は40センチ程の長さなのだが、長さは三分割に、横は切り揃えて整える。それを、パリパリにならないようにホットブローでゆっくりと乾燥させる。たまに湿度を与えてやると、肌触りの良い仕上がりになるのだ。
アラヤ以外の人が集める場合は、落ち葉を自然乾燥させるだけなので、この数と仕上がりにはならないのだ。
「よし、これくらいで良いかな?」
今回も大量の乾燥葉(トイレットペーパー、ちり紙)ができたので、早速雑貨店に届ける。
モドコさんは、「うんうん、この肌触り」と、頬を乾燥葉でスリスリとしている。うん。毎日使う物だから触感は大事だもんね?
午後は製材所の仕事で、将棋の作り方と遊び方を教えろと大工職人達に頼まれて、そのまま将棋大会になってしまった。結果、素人相手なので優勝したけど、以前ガルムさんには完敗したからなぁ。再戦あるかもだし、もうちょっと腕を磨く必要があるね。
今日の訓練は、明日がデートという事もあり軽めにこなす事にした。アヤコさんは、グラビティの訓練に没頭していたので、俺達の様子には気付いていないようだ。
そして迎えた翌朝…。
いつものように仕事に出かける振りをして、村の入り口で待ち合わせをする。先に待っていたアラヤは、変わり映えしない服装だけではデートらしくないので、貰ったショートソードを帯刀してきた。
しばらくして、サナエさんがやって来た。
「ま、待たせたね」
「ううん、大丈夫だよ」
その格好は、朝自宅を出た衣装ではない。食堂で着替えて来たのだろう。可愛らしい麦わら帽子に、麻のフレアブラウスと長めのスカート。普段、動きやすい姿を好む彼女からは想像出来ない可愛いらしい姿だ。
「どう、かな?」
「うん、似合ってるよ!なんか新鮮でドキッとした」
「そ、そう?なら良かった」
「それじゃ、そろそろ行こうか。行き先は決まってるんだよね?」
「うん、任せて」
彼女は自然な流れでアラヤの手を握ってきた。ヤバイ、ドキドキが止まらないよ⁈
二人が先ず向かったのは、村から西に南下すると川に橋がかかった場所があり、そこを渡って更に西へと進む。
この一帯は草原地帯が広がり、魔物もスライムが出てくるぐらいだ。反応があれば近付く前にエアカッターで倒しておく。
「ねぇ、アラヤ。私達、この世界に来てからもうすぐで二カ月になるんだよね?」
「う、うん。そうだね」
「私、ダンスもそうだけど、体を動かすことが大好きでさ。今を生きてるって実感がするんだよね」
「うん、分かるよ。とても活き活きしていたからね」
「こっちの世界に来てから、アラヤのおかげでまた踊れてるし、生活も楽しくなってきた。本当にアラヤには感謝してるよ」
フフッと屈託無く笑う彼女に、アラヤは見惚れてしまう。こんな魅力的な女性と、生活できてるこっちが感謝だよって思う。
「この先に、光ヶ丘って場所があるんだって。確か、近くに目印になる大きな木があるって言ってたんだけど…あっ、あったよ!」
草原にぽつんと一本の巨木があり、その根元がちょっとした丘になっている。
二人は丘に近付くにつれて、その巨木の大きさに驚いた。樹齢2000年はあるのかもしれない。太い幹は力強く伸びており、四方に伸びる枝には青々とした葉が横に広がっている。
丘を登ると、上部には色々な花が咲いていた。どうやら人工的に並べて植えられているようだ。
「この花畑、よく魔物に荒らされていないね」
「この花畑を囲む黄色い花、パラライ草と呼ぶらしいよ。汁には強度の麻痺効果があるんだって」
思わず触ろうとしていた手を、サナエさんはすんでのところで引っ込めた。幾つか採って帰ろうかな。アヤコさんの吹き矢の痺れ薬として使えそうだ。
「ん?あれって…ひょっとしてブランコ⁈」
視界の隅で揺れていた物を見ると、巨木の枝から吊るされたロープでできたブランコだった。凄い高い枝からロープを吊るしてるけど、あの巨木に登った奴は命知らずだな。
「一体誰がこのブランコを?」
「フフフ、誰だと思う?」
「え?知ってるの?」
「私はね、この場所はベスさんに聞いたんだ」
サナエさんはブランコにゆっくりと腰掛ける。そして、当ててみ?という表情で見上げる。
「…ベスさんに聞いたという事は、まさかライナス?」
「ハズレ~!正解は、ゲーンさんらしいよ?奥さんとのデート時に作ったんだって」
「まさかのゲーンさんか!意外だなぁ」
「だよねー。それからは、村人達のデートスポットになってるんだって」
彼女のブランコを軽く揺らしている姿を見て、アラヤはニヤッと笑った。
「えっ?何、ちょっと!」
彼女の後ろに立ち、勢いよくブランコを押して自分も飛び乗った。そのまま立ち漕ぎの要領で勢いを伸ばす。
「ちょっと!怖いって!」
そのブランコが描く弧は、高い山々や何処までも続く森の海、その先に僅かな地平線まで見せてくれた。
「よく見てよ!俺達の来た世界は、こんなにも綺麗で、不便で広大で未知だ!だけど俺達は汚くて、ちっぽけで、夢ばかり見て、輝いてる!今を生きてるよ!」
「フフッ、何それ?ちょっと意味わからないよ?ちっぽけなのはアラヤだけでしょ?でも…そうだね、確かにそう思えるね」
その光景を、二人は深く心に刻んだ。うん、ここは確かに良い景色が見える場所だったね。
「そろそろ帰ろっか?昼食には戻らないと、アヤが怒るだろうからね?」
「そうだね」
二人は今しばらく景色を堪能した後に、村へと帰った。門の入り口まで来ると、彼女は繋いでいた手を離して向き直った。
「今日は楽しかったよ。ありがとうね!」
そして、少し屈んでのおデコにキスをした。アラヤはトマト並みに顔を赤くする。
「お、俺も…」
「そ、それじゃ、私は仕事あるから!」
彼女も顔を赤らめているのが分かったけど、俺の言葉を待たずに走り去ってしまった。入り口にポツンと取り残されたアラヤに、ライナスがやって来てポンと肩に手を置く。
「青春してるな?」
いや、そのドヤ顔は、めっちゃ殴りたくなりましたよ?ザックスの代わりにやっちゃう?折角のデートの余韻を、イライラとしながら終える事になりました。
そもそも、村の外に出るデートって誰情報なんだろう。
「さてと…今日の午前中は雑貨店の手伝いだったな」
雑貨店の手伝いは、主に日用雑貨品の補充である。補充と言っても、他店の品を取り揃えているわけではない。他店で取り扱っていない品物を取り揃えているのだ。
例えば、乾燥広葉樹の葉(トイレットペーパー・ちり紙) 羊皮紙、ランプ用油、植物性石鹸、絵の具(磨り潰した木の実と油を混ぜた物。色は赤・青・黄・黒・白のみ)、ボアの革靴等がある。
「おはようございます、モドコ店長」
雑貨店の店長モドコさんは、自分とさほど変わらない身長の大人の男性だ。ただし、横幅は俄然広いんだけど。
「おはよう、アラヤ」
「来たね、アラヤ君」
「あれ?村長も居たんですか?」
モドコ店長だけでなく、村長もカウンターから顔を出した。二人共、片手には微かに湯気の立つコップを持っている。香りからしてどうやら紅茶を楽しんでいたらしい。
「君がちゃんと働いているかを見に来たんだよ」
「俺の事より、ライナスさん達を見に行って下さいよ。最近、気が緩み過ぎですよ」
「まぁね。後でビシッと注意してやるさ。それはともかく、ちょっとアラヤに用があって伺ったんだ」
村長はちょいちょいと、耳を貸すように手招きをする。言われるがままに耳を貸すと、店長にも聞かれたくないらしく小声で囁く。
「アラヤあんたさ、鑑定の技能持ってるだろ?」
「な、何の事ですか?」
アラヤは驚いて距離を取ってしまった。村長はしたり顔で続けて言う。
「隠しても無駄だよ。昨日、あれだけの質の良い陶石を持ち帰ってるんだ。分かるに決まってるだろう?見本を見せたとは言え、陶石は素人が見分けるには難しい石だからね」
「ははっ、たまたま多く見つけただけですよ」
「別に脅してるわけじゃないよ。誰かに教えもしない。言いふらして得になるものじゃないからね」
どうやら完全にバレてるみたいだ。それもそうか。不純物ゼロの陶石ばかりを集めてしまったし。
「ただね、同じ技能を持つ者として、頼みがあるんだよ」
「頼み?」
「明後日、私とある山の調査に同行してもらいたい」
「何故、山の調査ですか?」
「その山はまだドワーフ達にも手付かずでね。先に行って、私達で宝の山を発掘しようって事だよ。あんたと二人での鑑定なら調査も早いだろ?護衛もあんたが一人で充分そうだからね」
「はぁ、まぁそういう事でしたら、別に構いませんけど」
「良し決まりだ。出発は明後日の早朝ね!それじゃ私は仕事に戻るから。あ、モドコ、紅茶ありがとうね~」
自分の用件が済んだと分かると、村長は瞬く間に帰っていった。
「どうやら話は終わったようだね」
「ええ。朝から何かすみません」
俺が謝るのもおかしな話だけどね。
「それじゃあ、今日も乾燥葉を集めてくれるかな?君が加工した乾燥葉は人気が高くて、在庫が直ぐに無くなるからね」
「分かりました。早速、採取に行ってきます」
店を出たアラヤは、いつもの場所に向かう。そこには落葉樹のホオノキが多くあり、拭き取り用として最適な葉の大きさをしている。
大体、葉は40センチ程の長さなのだが、長さは三分割に、横は切り揃えて整える。それを、パリパリにならないようにホットブローでゆっくりと乾燥させる。たまに湿度を与えてやると、肌触りの良い仕上がりになるのだ。
アラヤ以外の人が集める場合は、落ち葉を自然乾燥させるだけなので、この数と仕上がりにはならないのだ。
「よし、これくらいで良いかな?」
今回も大量の乾燥葉(トイレットペーパー、ちり紙)ができたので、早速雑貨店に届ける。
モドコさんは、「うんうん、この肌触り」と、頬を乾燥葉でスリスリとしている。うん。毎日使う物だから触感は大事だもんね?
午後は製材所の仕事で、将棋の作り方と遊び方を教えろと大工職人達に頼まれて、そのまま将棋大会になってしまった。結果、素人相手なので優勝したけど、以前ガルムさんには完敗したからなぁ。再戦あるかもだし、もうちょっと腕を磨く必要があるね。
今日の訓練は、明日がデートという事もあり軽めにこなす事にした。アヤコさんは、グラビティの訓練に没頭していたので、俺達の様子には気付いていないようだ。
そして迎えた翌朝…。
いつものように仕事に出かける振りをして、村の入り口で待ち合わせをする。先に待っていたアラヤは、変わり映えしない服装だけではデートらしくないので、貰ったショートソードを帯刀してきた。
しばらくして、サナエさんがやって来た。
「ま、待たせたね」
「ううん、大丈夫だよ」
その格好は、朝自宅を出た衣装ではない。食堂で着替えて来たのだろう。可愛らしい麦わら帽子に、麻のフレアブラウスと長めのスカート。普段、動きやすい姿を好む彼女からは想像出来ない可愛いらしい姿だ。
「どう、かな?」
「うん、似合ってるよ!なんか新鮮でドキッとした」
「そ、そう?なら良かった」
「それじゃ、そろそろ行こうか。行き先は決まってるんだよね?」
「うん、任せて」
彼女は自然な流れでアラヤの手を握ってきた。ヤバイ、ドキドキが止まらないよ⁈
二人が先ず向かったのは、村から西に南下すると川に橋がかかった場所があり、そこを渡って更に西へと進む。
この一帯は草原地帯が広がり、魔物もスライムが出てくるぐらいだ。反応があれば近付く前にエアカッターで倒しておく。
「ねぇ、アラヤ。私達、この世界に来てからもうすぐで二カ月になるんだよね?」
「う、うん。そうだね」
「私、ダンスもそうだけど、体を動かすことが大好きでさ。今を生きてるって実感がするんだよね」
「うん、分かるよ。とても活き活きしていたからね」
「こっちの世界に来てから、アラヤのおかげでまた踊れてるし、生活も楽しくなってきた。本当にアラヤには感謝してるよ」
フフッと屈託無く笑う彼女に、アラヤは見惚れてしまう。こんな魅力的な女性と、生活できてるこっちが感謝だよって思う。
「この先に、光ヶ丘って場所があるんだって。確か、近くに目印になる大きな木があるって言ってたんだけど…あっ、あったよ!」
草原にぽつんと一本の巨木があり、その根元がちょっとした丘になっている。
二人は丘に近付くにつれて、その巨木の大きさに驚いた。樹齢2000年はあるのかもしれない。太い幹は力強く伸びており、四方に伸びる枝には青々とした葉が横に広がっている。
丘を登ると、上部には色々な花が咲いていた。どうやら人工的に並べて植えられているようだ。
「この花畑、よく魔物に荒らされていないね」
「この花畑を囲む黄色い花、パラライ草と呼ぶらしいよ。汁には強度の麻痺効果があるんだって」
思わず触ろうとしていた手を、サナエさんはすんでのところで引っ込めた。幾つか採って帰ろうかな。アヤコさんの吹き矢の痺れ薬として使えそうだ。
「ん?あれって…ひょっとしてブランコ⁈」
視界の隅で揺れていた物を見ると、巨木の枝から吊るされたロープでできたブランコだった。凄い高い枝からロープを吊るしてるけど、あの巨木に登った奴は命知らずだな。
「一体誰がこのブランコを?」
「フフフ、誰だと思う?」
「え?知ってるの?」
「私はね、この場所はベスさんに聞いたんだ」
サナエさんはブランコにゆっくりと腰掛ける。そして、当ててみ?という表情で見上げる。
「…ベスさんに聞いたという事は、まさかライナス?」
「ハズレ~!正解は、ゲーンさんらしいよ?奥さんとのデート時に作ったんだって」
「まさかのゲーンさんか!意外だなぁ」
「だよねー。それからは、村人達のデートスポットになってるんだって」
彼女のブランコを軽く揺らしている姿を見て、アラヤはニヤッと笑った。
「えっ?何、ちょっと!」
彼女の後ろに立ち、勢いよくブランコを押して自分も飛び乗った。そのまま立ち漕ぎの要領で勢いを伸ばす。
「ちょっと!怖いって!」
そのブランコが描く弧は、高い山々や何処までも続く森の海、その先に僅かな地平線まで見せてくれた。
「よく見てよ!俺達の来た世界は、こんなにも綺麗で、不便で広大で未知だ!だけど俺達は汚くて、ちっぽけで、夢ばかり見て、輝いてる!今を生きてるよ!」
「フフッ、何それ?ちょっと意味わからないよ?ちっぽけなのはアラヤだけでしょ?でも…そうだね、確かにそう思えるね」
その光景を、二人は深く心に刻んだ。うん、ここは確かに良い景色が見える場所だったね。
「そろそろ帰ろっか?昼食には戻らないと、アヤが怒るだろうからね?」
「そうだね」
二人は今しばらく景色を堪能した後に、村へと帰った。門の入り口まで来ると、彼女は繋いでいた手を離して向き直った。
「今日は楽しかったよ。ありがとうね!」
そして、少し屈んでのおデコにキスをした。アラヤはトマト並みに顔を赤くする。
「お、俺も…」
「そ、それじゃ、私は仕事あるから!」
彼女も顔を赤らめているのが分かったけど、俺の言葉を待たずに走り去ってしまった。入り口にポツンと取り残されたアラヤに、ライナスがやって来てポンと肩に手を置く。
「青春してるな?」
いや、そのドヤ顔は、めっちゃ殴りたくなりましたよ?ザックスの代わりにやっちゃう?折角のデートの余韻を、イライラとしながら終える事になりました。
18
あなたにおすすめの小説
神々の間では異世界転移がブームらしいです。
はぐれメタボ
ファンタジー
第1部《漆黒の少女》
楠木 優香は神様によって異世界に送られる事になった。
理由は『最近流行ってるから』
数々のチートを手にした優香は、ユウと名を変えて、薬師兼冒険者として異世界で生きる事を決める。
優しくて単純な少女の異世界冒険譚。
第2部 《精霊の紋章》
ユウの冒険の裏で、田舎の少年エリオは多くの仲間と共に、世界の命運を掛けた戦いに身を投じて行く事になる。
それは、英雄に憧れた少年の英雄譚。
第3部 《交錯する戦場》
各国が手を結び結成された人類連合と邪神を奉じる魔王に率いられた魔族軍による戦争が始まった。
人間と魔族、様々な意思と策謀が交錯する群像劇。
第4部 《新たなる神話》
戦争が終結し、邪神の討伐を残すのみとなった。
連合からの依頼を受けたユウは、援軍を率いて勇者の後を追い邪神の神殿を目指す。
それは、この世界で最も新しい神話。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜
サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。
〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。
だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。
〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。
危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。
『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』
いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。
すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。
これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。
間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。
多分不具合だとおもう。
召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!
【完結】おじいちゃんは元勇者
三園 七詩
ファンタジー
元勇者のおじいさんに拾われた子供の話…
親に捨てられ、周りからも見放され生きる事をあきらめた子供の前に国から追放された元勇者のおじいさんが現れる。
エイトを息子のように可愛がり…いつしか子供は強くなり過ぎてしまっていた…
異世界で穴掘ってます!
KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる