3 / 13
第三話
※「国王陛下は婚約破棄された令嬢に愛をささやく」の「後日談:もうひとつの結婚 中編2」と同じ内容です。
*****************
そんなある日、砦の入口が騒がしくなる。なにがあったのかと隊長とライオネルが駆けつけると、そこには半年ぶりに見るリリアがいるのだった。
「ライオネル様!!」
リリアがすがり付こうとするとライオネルは思わず後ろに下がってしまった。
「……リリア?」
「ライオネル様、会いたかったです~」
リリアがさらにライオネルに近寄ろうとするとその間に割り込んでくる者がいた。北の砦の隊長だった。
「レオ、こちらは?」
「隊長、婚約者のリリア・バインズ男爵令嬢です」
「レオ??」
ライオネルを愛称で呼ぶ隊長をリリアは睨み付ける。
「私だってライオネル様を愛称で呼べていないのに、あなた、どう言うこと?」
「リリア、隊長に失礼だろう。それより君は何故ここにいる?ミラルデル修道院にいるのじゃあなかったのか?」
「あんな大変なところ無理よ。ライオネル様、助けて」
ライオネルが呆れた表情を見せた。
「リリアよ、メルヴィン王に命じられた修行なのにそれもできないのか? 私たちが結婚するために必要なことだとわかっていないのか?」
「だって~」
「そんなことで公爵夫人が勤まると思うのか?」
「そこはライオネル様が何とかしてくれるでしょ?」
リリアが縋り付こうとするが、ライオネルは隊長の後ろにいて近づけない。
「何ともできないから、ここにいるんだろう? そろそろ気付いてくれ」
「ライオネル様、ひど~い」
隊長もあまりのリリアの痛さに呆れている。
「リリアとやら、ライオネルはそもそも誰のせいでここにいる?」
「リリア悪くないもん。ライオネル様が王妃にしてくれるって言ったのに……」
頬を膨らませて言うリリアにライオネルは困ったような顔をした。
「リリア、そんなこと言わないでくれ。私達は陛下に許可された結婚をするしか道はないんだから、修道院での修行を無事勤め上げてくれ」
「無理~」
「リリア殿、レオを困らせるのは止めてやってくれ」
「困らせてない~」
「いや、明らかにレオを困らせているだろう」
「ライオネル様、リリア、ライオネル様の事、困らせてる?」
「言いにくいが、困ってるよ。以前は結婚したいと思ったが、成さねばならないこともできないようでは、公爵家に入れることにためらいを感じるよ」
「え? ライオネル様、リリアのこと嫌いになったの?」
「好きも嫌いもなく、リリアがこのままなら、結婚は許されないだろう」
「許されないの?……リリア、修道院で頑張る! そしてライオネル様のお嫁さんになる!」
「リリア、どのみちそうするより他はないんだから、頑張っておくれ」
「うん! 頑張る! じゃあ修道院に戻るね」
「リリア殿、誰かに修道院まで送らせよう」
「ライオネル様、リリアを修道院まで送って~」
隊長は更にライオネルをリリアから隠すように体を動かした。
「リリア殿、申し訳ないが、レオはわたしが用事を頼んでいて手が離せん。悪いが他のものに送らせる。」
「リリア、ごめんね。半年後、楽しみにしてるよ」
「ライオネル様、私も楽しみです。ライオネル様、大好き~」
リリアがライオネルに抱きつこうとするが、隊長に阻止される。
「リリア殿、申し訳ないが、ここは男ばかりなので刺激の強いことは勘弁してくれ」
「え~せっかくライオネル様に会えたのに~」
ライオネルは隊長の体を盾にするようにしてリリアを見る。
「リリア、ゴメンね。体には気をつけて」
「ライオネル様も気をつけてね」
しぶしぶリリアは隊長に連れられて出て行ったのだった。
ライオネルはふうっとため息をつく。
暫くすると隊長が戻ってきて、謝るのだった。
「レオすまん。お前の婚約者が抱きつこうとするのを思わず止めてしまった」
ライオネルは許すと言わんばかりに首を振った。
「いいえ、良かったのです。半年前何故あれほど結婚したいと思ったのか今は不思議です」
「レオ、好きだったんじゃあないのか?」
ライオネルは遠い目をする。
「あの時は確かにそうでした。今は好きとは言えなくなってます」
「そうか、安心した」
「隊長、安心ですか?」
予想しない答えにびっくりしたライオネルだった。
隊長は先程のリリアを思い出してむかついているような顔をするのだった。
「ああそうだ。あの婚約者が、レオに抱きつこうとするのを何もせず見逃すなんてことができなかった」
ライオネルは不思議そうに首を傾げた。
「なぜ?」
「なぜって? 最初に、レオに会った時は公爵家の嫡男が何かやらかしてやって来たのをからかってここから逃げ出させようとしたが、お前はそれを乗り越えてここに馴染もうとした。そんな頑張り屋なレオを好きにならないわけないだろう?」
「頑張り屋? 隊長が僕のこと好き?」
「頑張り屋だろう。正直、ここは上位貴族のおぼっちゃまにはキツイところだ。来ても大抵すぐに逃げ帰る。だが、レオは耐えて馴染もうとした。並大抵の努力ではないはずだ。俺の恋愛対象は本来女なんだが、お前は別だ。そんな頑張り屋なお前をいつのまにか好きになっていたんだ」
ライオネルはびっくりして瞬きができない。じわじわ喜びが体を駆け抜けていく。
「隊長、嬉しいです。僕、子供の頃から公爵家のものはこうであれ、出来て当然、頑張るのは当たり前と厳しくされてきたので、そのように頑張っているって言ってもらうの初めてです。まぁ今思うと元婚約者との差があったせいからだと思いますが…」
「よく頑張ったな、レオ」
と言ったかと思うと、隊長はライオネルの背中に腕を回して抱きしめた。20センチほど身長の低いライオネルは隊長に包み込まれる。
「隊長、嬉しい」
ライオネルは隊長を見上げ、ニッコリと微笑み抱きしめ返した。
二人はそのまましばし抱き合っていたのだった。
*****************
そんなある日、砦の入口が騒がしくなる。なにがあったのかと隊長とライオネルが駆けつけると、そこには半年ぶりに見るリリアがいるのだった。
「ライオネル様!!」
リリアがすがり付こうとするとライオネルは思わず後ろに下がってしまった。
「……リリア?」
「ライオネル様、会いたかったです~」
リリアがさらにライオネルに近寄ろうとするとその間に割り込んでくる者がいた。北の砦の隊長だった。
「レオ、こちらは?」
「隊長、婚約者のリリア・バインズ男爵令嬢です」
「レオ??」
ライオネルを愛称で呼ぶ隊長をリリアは睨み付ける。
「私だってライオネル様を愛称で呼べていないのに、あなた、どう言うこと?」
「リリア、隊長に失礼だろう。それより君は何故ここにいる?ミラルデル修道院にいるのじゃあなかったのか?」
「あんな大変なところ無理よ。ライオネル様、助けて」
ライオネルが呆れた表情を見せた。
「リリアよ、メルヴィン王に命じられた修行なのにそれもできないのか? 私たちが結婚するために必要なことだとわかっていないのか?」
「だって~」
「そんなことで公爵夫人が勤まると思うのか?」
「そこはライオネル様が何とかしてくれるでしょ?」
リリアが縋り付こうとするが、ライオネルは隊長の後ろにいて近づけない。
「何ともできないから、ここにいるんだろう? そろそろ気付いてくれ」
「ライオネル様、ひど~い」
隊長もあまりのリリアの痛さに呆れている。
「リリアとやら、ライオネルはそもそも誰のせいでここにいる?」
「リリア悪くないもん。ライオネル様が王妃にしてくれるって言ったのに……」
頬を膨らませて言うリリアにライオネルは困ったような顔をした。
「リリア、そんなこと言わないでくれ。私達は陛下に許可された結婚をするしか道はないんだから、修道院での修行を無事勤め上げてくれ」
「無理~」
「リリア殿、レオを困らせるのは止めてやってくれ」
「困らせてない~」
「いや、明らかにレオを困らせているだろう」
「ライオネル様、リリア、ライオネル様の事、困らせてる?」
「言いにくいが、困ってるよ。以前は結婚したいと思ったが、成さねばならないこともできないようでは、公爵家に入れることにためらいを感じるよ」
「え? ライオネル様、リリアのこと嫌いになったの?」
「好きも嫌いもなく、リリアがこのままなら、結婚は許されないだろう」
「許されないの?……リリア、修道院で頑張る! そしてライオネル様のお嫁さんになる!」
「リリア、どのみちそうするより他はないんだから、頑張っておくれ」
「うん! 頑張る! じゃあ修道院に戻るね」
「リリア殿、誰かに修道院まで送らせよう」
「ライオネル様、リリアを修道院まで送って~」
隊長は更にライオネルをリリアから隠すように体を動かした。
「リリア殿、申し訳ないが、レオはわたしが用事を頼んでいて手が離せん。悪いが他のものに送らせる。」
「リリア、ごめんね。半年後、楽しみにしてるよ」
「ライオネル様、私も楽しみです。ライオネル様、大好き~」
リリアがライオネルに抱きつこうとするが、隊長に阻止される。
「リリア殿、申し訳ないが、ここは男ばかりなので刺激の強いことは勘弁してくれ」
「え~せっかくライオネル様に会えたのに~」
ライオネルは隊長の体を盾にするようにしてリリアを見る。
「リリア、ゴメンね。体には気をつけて」
「ライオネル様も気をつけてね」
しぶしぶリリアは隊長に連れられて出て行ったのだった。
ライオネルはふうっとため息をつく。
暫くすると隊長が戻ってきて、謝るのだった。
「レオすまん。お前の婚約者が抱きつこうとするのを思わず止めてしまった」
ライオネルは許すと言わんばかりに首を振った。
「いいえ、良かったのです。半年前何故あれほど結婚したいと思ったのか今は不思議です」
「レオ、好きだったんじゃあないのか?」
ライオネルは遠い目をする。
「あの時は確かにそうでした。今は好きとは言えなくなってます」
「そうか、安心した」
「隊長、安心ですか?」
予想しない答えにびっくりしたライオネルだった。
隊長は先程のリリアを思い出してむかついているような顔をするのだった。
「ああそうだ。あの婚約者が、レオに抱きつこうとするのを何もせず見逃すなんてことができなかった」
ライオネルは不思議そうに首を傾げた。
「なぜ?」
「なぜって? 最初に、レオに会った時は公爵家の嫡男が何かやらかしてやって来たのをからかってここから逃げ出させようとしたが、お前はそれを乗り越えてここに馴染もうとした。そんな頑張り屋なレオを好きにならないわけないだろう?」
「頑張り屋? 隊長が僕のこと好き?」
「頑張り屋だろう。正直、ここは上位貴族のおぼっちゃまにはキツイところだ。来ても大抵すぐに逃げ帰る。だが、レオは耐えて馴染もうとした。並大抵の努力ではないはずだ。俺の恋愛対象は本来女なんだが、お前は別だ。そんな頑張り屋なお前をいつのまにか好きになっていたんだ」
ライオネルはびっくりして瞬きができない。じわじわ喜びが体を駆け抜けていく。
「隊長、嬉しいです。僕、子供の頃から公爵家のものはこうであれ、出来て当然、頑張るのは当たり前と厳しくされてきたので、そのように頑張っているって言ってもらうの初めてです。まぁ今思うと元婚約者との差があったせいからだと思いますが…」
「よく頑張ったな、レオ」
と言ったかと思うと、隊長はライオネルの背中に腕を回して抱きしめた。20センチほど身長の低いライオネルは隊長に包み込まれる。
「隊長、嬉しい」
ライオネルは隊長を見上げ、ニッコリと微笑み抱きしめ返した。
二人はそのまましばし抱き合っていたのだった。
あなたにおすすめの小説
王命で第二王子と婚姻だそうです(王子目線追加)
かのこkanoko
BL
第二王子と婚姻せよ。
はい?
自分、末端貴族の冴えない魔法使いですが?
しかも、男なんですが?
BL初挑戦!
ヌルイです。
王子目線追加しました。
沢山の方に読んでいただき、感謝します!!
6月3日、BL部門日間1位になりました。
ありがとうございます!!!
幽閉王子は最強皇子に包まれる
皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。
表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。
家を追い出されたのでツバメをやろうとしたら強面の乳兄弟に反対されて困っている
香歌奈
BL
ある日、突然、セレンは生まれ育った伯爵家を追い出された。
異母兄の婚約者に乱暴を働こうとした罪らしいが、全く身に覚えがない。なのに伯爵家当主となっている異母兄は家から締め出したばかりか、ヴァーレン伯爵家の籍まで抹消したと言う。
途方に暮れたセレンは、年の離れた乳兄弟ギーズを頼ることにした。ギーズは顔に大きな傷跡が残る強面の騎士。悪人からは恐れられ、女子供からは怯えられているという。でもセレンにとっては子守をしてくれた優しいお兄さん。ギーズの家に置いてもらう日々は昔のようで居心地がいい。とはいえ、いつまでも養ってもらうわけにはいかない。しかしお坊ちゃん育ちで手に職があるわけでもなく……。
「僕は女性ウケがいい。この顔を生かしてツバメをしようかな」「おい、待て。ツバメの意味がわかっているのか!」美貌の天然青年に振り回される強面騎士は、ついに実力行使に出る?!
本当に悪役なんですか?
メカラウロ子
BL
気づいたら乙女ゲームのモブに転生していた主人公は悪役の取り巻きとしてモブらしからぬ行動を取ってしまう。
状況が掴めないまま戸惑う主人公に、悪役令息のアルフレッドが意外な行動を取ってきて…
ムーンライトノベルズ にも掲載中です。
「お前を愛する事はない」を信じたので
あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することは無い。お前も私を愛するな。私からの愛を求めるな」
お互いの利益のために三年間の契約結婚をしたアヴェリンとロデリック。楽しく三年を過ごしたアヴェリンは屋敷を出ていこうとするのだが……。
happy dead end
瑞原唯子
BL
「それでも俺に一生を捧げる覚悟はあるか?」
シルヴィオは幼いころに第一王子の遊び相手として抜擢され、初めて会ったときから彼の美しさに心を奪われた。そして彼もシルヴィオだけに心を開いていた。しかし中等部に上がると、彼はとある女子生徒に興味を示すようになり——。
侯爵令息セドリックの憂鬱な日
めちゅう
BL
第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける———
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。