イレンシ~壱~

ホージー

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case1 公園の少年

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竹田「あっ・・・それは!」


鹿神「この中に同じ様な噂が幾つかあったんだ。

どれもあの公園に入った時遊びに来ていた人が、

公園の中に入って少し進んだ所で足が突然動かなくなったとなっている。これは竹田君も体験したよね?」


竹田「はい・・・でも、あれはただ遊んで欲しかっただけなんじゃ?」


鹿神「いや、それは翔太君を公園から出す為の口実。」


竹田「口実って・・・、あれ嘘だったんですか!?」


鹿神「実際はあの砂場に入らせないようにしていた・・・かもしれない!」


竹田「いや、かもって・・・。」


更に鹿神は歩きながら話を続けた。


鹿神「僕は翔太君には2つ理由があって成仏出来てなかったと思ってるんだ。」


竹田「・・・2つ?」


鹿神:1つ目は"砂場の中にあったケース"。翔太君はあのケースを掘り出そうとしている最中に殺された。

彼はあの中身がわからないまま死んでしまったから、その事が気になってしまって成仏が出来なかった。

2つ目は"あの砂場に行ったら殺される"。翔太君は砂場で殺されたから、たまに人が入って砂場の近くまで行くと、

その先に進ませないように足にしがみついてた。

もしかしたら砂場に入ると自分みたいに殺されてしまうと考えたんだろう。

それが原因で怖いもの好きの間で話題になっていつの間にか心霊スポットとされていた


だけどそんな噂が出てくれば近くに住んでいる住人にとっては迷惑な話。

誰も公園に立ち入らなくなり・・・現在に至るってね。」


竹田「なるほど・・・、でもどうして宝探しなんかを?」


鹿神「僕も小さい時にあったよ。友達と一緒に砂場で宝探し。ありもしないのに自分達で宝の地図を書いてさ、

砂を掘っても掘っても出てくるのは砂や木の根だった・・・。でもそれが楽しかったんだと思う・・・その頃は。」


竹田「そうなんですか・・・。」


鹿神「ところで竹田君、・・・どうする?」


竹田「何がですか?」


鹿神「仕事だよ。僕は別に構わないんだけど、内容が内容だけにあまりこの仕事は強制出来ないしね。」


竹田「・・・・・・・・・。」


鹿神「やる気があるなら・・・いや、・・・勇気があるなら明日事務所に来て。」


竹田「・・・わかりました。」



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