上 下
55 / 170
5章 鍛冶屋と勇者の武具

6

しおりを挟む


少年「・・・老い?それって成長と何か関係があるのか?」


少年は要領を得ていない様子で加治屋に聞き返していた。


加治屋「・・・成長も老いも結局の所同じ様な物だ。まぁ、お前にはまだ縁遠い物かもしれないな。

兎に角、勇者と言われた男は通常の人間の倍の速さで老いて行ってしまった。」


少年「その勇者って今は・・・どうしてるんだ?」


加治屋「・・・引退した今はどこかで夢だった農業をして、自給自足の生活をしているよ。

それと・・・、自由が欲しかったんだろうな。たまに俺の所にも収穫した野菜を持って来てくれるし・・・。」


少年「でも・・・、何で魔王は勇者の引退を条件を呑んで・・・魔王を退いたんだ?」


加治屋「・・・敵同士となったこの世界でも、2人は友人だったんだ。出来れば戦いたくなかった、お互いにな。

それに、魔王軍の方も突然指揮官を失って、この機に乗じて進軍と言う手段も使えない。

再編成が急務となったからな。つまり、しばらくは平行線を辿ると言う選択を選んだという訳だ。」


少年「・・・魔王軍に敵対する方からすれば、勇者を引退に追い込む程の勢力だと勘違いすると考えて・・・。」


加治屋「ほぅ・・・少しは頭が使える様だな?まぁ、その魔王軍の方は直ぐに世代交代がなされて、

戦力の再編成が完了しつつあるみたいだがな・・・?」


しおりを挟む

処理中です...