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5章 鍛冶屋と勇者の武具

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少年「・・・だけど、勇者は魔王を倒した・・・、それは間違いない!だから勇者と呼ばれたんだろ?」


加治屋「あぁ・・・、そうだ。厳密にはだが倒したとは違うな・・・。」


少年「・・・倒してないのか?退けたと言うのは・・・?」


加治屋「・・・勇者は魔王に交換条件を出した。それは自分自身の冒険家としての引退。

そしてその者の魔王の退位。つまりお互いに一線を退く、勇者と呼ばれる前の男はそれで魔王を退けた。」


少年「何で・・・?この世界では敵同士だったんだろ?何でそんな事を・・・?」


加治屋「確かにこの世界では敵同士だった。そしてそれはどちらかが倒れるまで戦いが続くだろうと思われていた。

だがな、勇者にはそれが出来なかった。そこまで時間をかける事が・・・出来なかったんだ。」


少年「???」


加治屋「それが、お前に勇者の装備を譲らない最も大きな理由だ。」


少年「・・・呪われてんのか?勇者の装備ってのは・・・?」


加治屋「・・・その武具は特殊でな、特定の装備を揃える事でその効果は発生し飛躍的に強くなる。

そしてそれは・・・成長の加速。つまり成長速度が格段に上がるんだ。」


少年「成長の・・・加速?」


加治屋「簡単に言えば人の成長速度を2倍にする効果だ。だから修行期間が大幅に短縮される。」


少年「それって・・・それのどこがいけないんだ?2倍になるんだろ?」


加治屋「・・・・・・・・・。」


その言葉に少し加治屋は考え、少年にもわかる様に話し始めた。


加治屋「・・・お前の年齢だと成長は嬉しい物なんだろうな。だけどな、

俺達の様な年齢の奴からしたらこれは・・・老いだ。」


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