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5章 鍛冶屋と勇者の武具
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しおりを挟む加治屋は短くそう言い放つと、少年はそれにすぐ反応した。
少年「ふ・・・ふざけんなよ・・・!俺は・・・勇者の・・・勇者の・・・!!」
加治屋「口を開ければ勇者勇者勇者・・・。お前、何故そこまで勇者に拘る?勇者の子孫か何かか?」
少年「違う・・・。・・・勇者は・・・強い奴の証なんだろ?だったら・・・、
俺が勇者になれば・・・強くなれる。そう考えたんだよ・・・文句あるか!!?」
加治屋「・・・それは違うな。あの装備を付けただけで勇者になんてなれるわけがない。
勇者が装備していたから勇者の装備と呼ばれるようになった。」
少年「それって・・・どういう事なんだよ?」
加治屋「確かにあの装備を着けていた奴は勇者と呼ばれていた男だった。
だがな、そいつは勇者だったから強かった訳じゃ無い。強かったから勇者と呼ばれていたんだ。
それも皆に認められて初めて名付けられる物だ。」
少年「強かったから・・・。」
加治屋「それに、勇者だったそいつは魔王を退く事に成功した。それもあっての勇者だ。
だが・・・、完全に魔王軍を壊滅する事には失敗した。」
少年「・・・失敗?何でだよ?魔王を退けたんじゃないのかよ?それだったら魔王軍も壊滅・・・。」
加治屋「してないよな?・・・この世界は現世で死んでいった者達がやって来る。
そしてそれぞれに役割を与えられ活動している。それは勿論魔王軍も、魔王も例外じゃない。」
少年「魔王も・・・人間・・・?」
加治屋「だから勇者は運命を呪った。前世では何十年来の親友だった者と敵同士として対峙した時はな・・・。」
少年「知り合い・・・だったのか?」
加治屋「最初対峙した時は他人の空似だとお互い思っていたそうだ。だが、お互いの仕草・声・雰囲気、
そのどれもが前世の記憶と繋がり、お互いを引き合わせて行ったんだ。」
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