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7章 鍛冶屋と武具を狙いしモノ

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加治屋「それはどうも。」


徳井「褒めては無いだろ?」


騎士団長「だが、私も手ぶらで戦地に戻る訳にはいかない。

ここの結果で戦局が大きく傾く事になるかもしれないんだからな。」


加治屋「どうやら随分と苦戦してるようだな?」


騎士団長「民間人にはわからんだろうさ。力の弱い魔物しかいない場所でのんびり生きているお前達にはな。」


加治屋「・・・どっちがだ?」


騎士団長「・・・何?」


加治屋「騎士団長ともなれば待遇も随分違うだろ?富・名声・力。この世の全てを手に入れた気分だろ?」


徳井「どこの海賊王だよ?」


騎士団長「何か勘違いしている様だな。私はその様な贅沢をした事はない。

それは仕事も何もしない上流階級みたいな奴等の事だ。肩書だけで偉そうにふんぞり返って命令をする、

そんな奴になるつもりは無い。」


加治屋「それは否定はしないがな。だが武具を渡すことは出来ない。」


騎士団長「・・・何故そこまで拒む?その子供の為だけとはどうも思えないんだけどな?」


加治屋「・・・まぁ、このまま勢力が拮抗していけば良いと思っているだけだ。」


騎士団長「拮抗?共和国軍と魔王軍の事か?何故そう思う?

悪の軍勢を消した方が世界が平和になるとは思わないのか?」


加治屋「・・・悪の軍勢ねぇ・・・。確かにどちらかが滅べば一時の平和は得られるのかもしれない。

だがな、それはいずれ勝者へ傲慢をもたらす事になる。」


騎士団長「・・・傲慢。つまり勝った者が己の正当性を主張し、身勝手に正義を押し付ける。そう言う事か?」


 
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