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8章 鍛冶屋と共和国
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しおりを挟むその頃、共和国軍領地にある城内部では・・・。
兵士「報告します!今現在この共和国領地へ向かって来ている人民の数・・・約10万人!」
国王「じゅ・・・10万人!?お・・・おい!各地の検問は何をしている!?何故その様な数を通している!?」
兵士「そ・・・それが・・・、勇者の武具捜索に国王様が人員を動員した際、
検問の人数をも割いてしまった為に・・・。」
国王「それはまるで私が悪いみたいではないか?貴様兵士の分際でその様な口を利けるとは、
良い度胸をしているな?」
国王は兵士に向ってどうにか威厳を見せようと凄んだが・・・。
兵士「・・・あなたがそんなだから・・・、この様な事態を招いたのですよ・・・。」
国王「・・・なに?」
兵士「国王・・・、あなたは前世では官僚にまで登りつめた人物だと聞いています。
ですが俺にとってはそれが共和国軍へ入隊する理由にはならなかった。」
国王「・・・何が言いたい?」
兵士「俺が共和国軍へ入隊した理由・・・、それは騎士団長の様な強い兵士になる、それだけでした。
決してあなたの部下になった訳では無い!」
国王「だから何が言いたいのかと聞いておるのだ!」
兵士「この際だからハッキリ言っておきます。この事態を招いたのは、あなたの底すらない強欲さと、
他者の言う事を聞かない傲慢さから来ている!あなたは裏ダンジョンの恐ろしさを何も知らない。
いや、あなたはあなたに反対意見を述べていた人達を次々に失墜させ、聞こうとしなかった!」
国王「き・・・貴様・・・。言いたい事はそれだけか・・・?」
国王は今にも爆発しそうなほど顔を真っ赤にして兵士に問いかけた。
兵士「・・・えぇ、そうですね。・・・『私』からは以上です国王。」
国王「・・・私・・・だと?」
国王も兵士の変化に気付き、次の言葉が出て来なかった。
兵士「・・・おっと、私とした事が・・・。国王をかなり安く見積もっていました・・・。
まさかそこに気付かれるとは、案外冷静な所もあるのですね?」
国王「お前何者だ・・・?それよりお前は本当にここの兵士か?」
兵士「冗談は止してください。私はこの様な濁り切った、前世を思い出させるような所、死んでも入りませんよ。
ただ、私は忠告をしにここまで来ただけですよ?」
国王「・・・魔王軍の差し金か・・・。ここの守備は潜り抜けて来た?それに先程言った情報は本当なのか?」
兵士「質問が多いですね。まぁ、簡単に言わせてもらうと、全て本当の事ですよ?魔王軍から来た事も、
10万の人民がここへ押しかけている事も。」
国王「私に何をさせようと言うのだ?」
兵士「特に・・・何も?私はあなたにこの現実を受け止めろと言いに来ただけですから。
もしあなたが説得を試みようとしても、人民の心が変わる事は無い。もう、あなたは国王ではない。
自らその職を退く事をおすすめします。ずっと1人の人間が居座る所ではないんですよそこは。」
国王「・・・誰か、誰かおらぬか!?魔王軍の手の者がおるのだぞ!ひっ捕らえぬか!!」
兵士「・・・無駄ですよ?先程も言ったではありませんか?あなたが自分勝手に兵を動かしたせいで、
今この城にいるのは見張り数人を除いて私1人。まぁ、後数時間もすれば10万人程になるでしょうか?」
国王「・・・くっ、何故私の邪魔をする・・・?私はただ人民の住む領地を増やそうと・・・。
これからもこの先数十年、この世界には人間がやって来る。その為の領地を求めて何が悪い!?」
兵士「領地ならまだ沢山ありますよ。それにあなたは裏ダンジョンの恐ろしさを全く分かっていない。
その様な者が善意でやっていると言っても、誰ももう信用しませんよ?」
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