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8章 鍛冶屋と共和国
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しおりを挟む加治屋「体は動くか?流石に全快とはいかないんだけどな。」
その言葉を他所に、騎士団長は自分の身体を軽く動かし、突然の変化に対応しようとしていた。
騎士団長「・・・不思議な実だ・・・。さっきまで震えていた体が嘘の様だ・・・。」
金田「だが、ここからだと相当距離はあるぞ?」
騎士団長「案ずるな、そんな時の為に転移魔法を用意してある。ただ、準備がかなり面倒でな、
そう頻繁に使えない。だからここに来るにも馬を使うしかなかった。」
金田「・・・それなら俺も一緒に行こう。向こうで何が起きるかわからないからな。戦力は多い方が良いだろ?」
騎士団長「・・・すまない。・・・では、転移魔法の準備に移る、この場所を借りるが問題は無いか?」
加治屋「それは問題無いが、ここに何か影響が残ったりしないのか?」
騎士団長「大丈夫だ、一瞬だけ時空が歪むだけだ。」
加治屋「・・・それが大丈夫なのかどうか俺にはわからんが・・・。」
そうこうしている内に、騎士団長は地面に魔法陣を書き出し、その魔方陣の上に、
騎士団長と金田が入ろうとした瞬間・・・。
???「ちょっと待った!それを使うのは今じゃねぇ!!」
突如どこからか野太い男の声が響き渡り、裏庭にいた人達を硬直させた。
加治屋「・・・何だ急に?・・・って言うか誰の声だ?」
金田「・・・聞き覚えがあるぞこの声・・・。いやまさか・・・何故こんな所に・・・?」
騎士団長「いやそれより、お前は一体どこの誰だ!?転移魔法を使うのは今じゃないと言うのはどういう事だ!?」
???「今共和国領に移ればお前等は確実にやられる。そして永遠に戻って来れない・・・。」
加治屋「・・・何を言っている?」
金田「・・・本当に何を言っているんだろうな?・・・言いたい事があるならさっさと出て来いよ、
・・・異世界の門番!」
加治屋「異世界の・・・門番?」
門番「・・・やれやれ、この世界には出来るだけ干渉したくないんだがな・・・。」
その声はどこか気だるげに答え、次の瞬間、店に続く扉から何者かが現れた。
門番「よぉお前等・・・久しぶりだな?”入り口”で会った以来だろ?」
その男はこの世界に転生して来た者ならば必ず顔を合わす事になる人物、異世界の門番その人であった。
加治屋「お前・・・・・・何でここに?」
門番「今思い出して無かっただろ?って言うか覚えてねぇだろ!?」
金田「それより門番、あんたがこの世界に介入するって事は・・・、一体何が起こるんだ。」
門番「・・・国王が裏ダンジョンへ身を隠した。お前もわかってんだろ?第1ダンジョンの主!」
主「あぁ・・・、今しがた・・・な。」
金田「あのクソジジイ・・・、おい門番、解放せずに裏ダンジョンへ侵入した場合、一体どうなる?
それも俺達を止めた理由なんだろ?」
門番「・・・侵入した人物は・・・人間では無くなる。
いや人智を超えた力を手にすると言った方が良いだろうな。」
騎士団長「人智を超えた力・・・。」
門番「あぁ・・・、それは、俺が忌み嫌っていたっ物でもある・・・。覚えているか?」
金田「・・・チートか・・・。この世界にもとうとう・・・。」
門番「チート。最近ではよく使われ、それが悪い事だと言う認識さえも薄れてきている。
そうだな・・・チートをこの世界で言い換えるなら・・・、バグ・・・だな。」
加治屋「バグ・・・。バグとなった国王はどうなる?」
門番「それは国王・・・いや、バグだけが知る事だ・・・。」
突如として起こった世界の危機、バグ(チート)となった国王、共和国領へ進み続ける人民達、
否応にも加治屋達に選択を迫られる事態となった。
そしてその選択が、この世界の命運を握る事になってしまう・・・。
8章 鍛冶屋と共和国 終
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