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9章 鍛冶屋とバグ(チート)

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金田「そこで利用したのが”裏ダンジョンの主”か?」


門番「・・・ここまで聞けばそう言う所まで行き着く・・・か。」


俺は最終手段として奴を封印する事を決意した。だが俺はこの世界の外から見守る者。

無暗に世界への介入は許されていなかった。その為取れる方法は限られていた。

俺の力の一部・・・それを使って奴をおびき出し誰も介入できない場所へ封印する。


元々は100年経過した世界に一体ずつ配属して行っていた力、

別々の時代の世界に無暗に介入させない目的でやっていた事だったが・・・。

その期限まで猶予はあったが世界の消滅までの猶予が無かった。


そして俺は現在の共和国軍が城を構えているこの場所に力の一部を出現させた。

奴は真っ先にその気配に反応し瞬く間にこの場所に現れ、すぐさま吸収を始め・・・。


金田「そしてその隙にお前がこの部屋の扉を閉じ・・・封印したと?」


門番「あぁ、つまり裏ダンジョンの主とは元々俺の力の一部。だがそのうちその力にも自我が芽生え、

あの鍛冶屋のとこの様に人間と会話もする程になっている。まぁ、俺の体から離れた力、

その後を心配するのは子供を心配する親の様な気分だな。」


金田「それで、この魔王から出て行った力はお前に戻って来たのか?」


門番「まぁな、だが今の状態で戻すのは少々抵抗がある。あの魔王に取り込まれていた力だ、

何かが仕掛けられているかわからんからな。浄化を試みてみるよ。」


金田「そりゃあ、気持ちはわからんでも無いな・・・。俺もそうしていたかもしれねぇ。」


門番「それで・・・どうする?」


金田「何がだ?」


門番「実際の所、ここはまだ裏ダンジョンの中ではない。入り口でも無い。」


金田「・・・その先にあるって事か?本当の裏ダンジョンの扉が?」


門番「しかも裏ダンジョンの主はいない。まぁ言ったらあの魔王がその代わりになっていたのかもな。」


金田「だがその先に行けば・・・。」


門番「・・・あっちの世界ではこっちの世界の常識は通用しない。つまり命を落とせばそこまで。

それもあって各所に主を配置し近付けさせないようにしていた。」


金田「・・・お前はどこか俺に行って来て欲しそうにも見えるんだが?」


門番「・・・この先の世界、そこはこの魔王が支配していた世界・・・、それが何を意味していると思う?」


金田「・・・廃れているのか・・・その先の世界?」


門番「それだけじゃない、魔王亡き後、従えていた配下の魔物の指揮系統が崩れ混沌に陥った。

死ぬ事は無い人民は幾度とも手にかけられ、今や恐怖すら感じなくなってしまっている・・・。」


金田「・・・何故俺なんだ?」


門番「・・・お前しかいない。あの世界を救える救世主・・・他においていないんだ・・・。」


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