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警備員と子供

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はい、警備室!

え?迷子になったお子さまをお探しの親御さまが?

では、そのお子さまのお名前から・・・


ふう。なんか今日はやたらと迷子探しの依頼が来るな。

これだけ広いデパートなんだから、親だって見失ったら大変とか思うだろうに。


そういえば、娘が小さい頃に遊園地で迷子になった時は、30分以上探したっけな。

娘の姿を見た瞬間、すごくホッとしたんだけど、奴はそのまま母親の方にまっしぐらに進みやがった。

おいおい、必死に探していたお父さんは無視ですかー?

と、今でもガン無視されている父親の愚痴はこれくらいにして、今回は警備員と子供について話そう。


俺らのようにデパートなんかのいわゆる「商業施設」ってところに勤めている警備員は、

割と子供に接する機会があるんじゃないかな?

店内を巡回したり、持ち去り防止のために立っている時に、声をかけられることもしばしば。

でも、子供たちって、だいたい俺らのことを「おまわりさん」、

つまり警察官と思っているようなんだよな。

まあ、ほぼ同じような服装だし、小さな子どもじゃわかんないかもな。


逆に言えば、俺らはお子様たちから警察官的な見られ方をされてるってことだ。

格好よくみられているのだとすれば、結構誇らしいもんだ。


でもな、嫌なことに、警察官と警備員との区別がついている親が

「○○ちゃん、あの人は違うのよぉ」とか言って否定してくるんだよ、速攻で。

間違いを正すのはいいことだとは思うよ、俺だって。

法律のせいとはいえ、紛らわしい格好が多いことも事実だしな。

ただ、間違いを正す親の目が、

「こいつらは警察官みたいな正義の味方なんかじゃないんだよ」的な感じな時が

たまーにあるんだよなー。


警備員という仕事を下賤なものとしてとらえている、みたいな。

そういうやつらの態度は、お世辞にも褒められたもんじゃない。


子供が迷子になった時にも、警備員を下に見ている奴らは態度が横柄だ。

自分が目を離したせいで子供が迷子になったというのに、

「見つからなかったら、どう責任をとってくれるんですか?」って、詰め寄られたこともあったな。


お店で子供が迷子になった時に、捜索を手伝うことになってはいるが、

あくまでもそれは店側の好意で協力しているだけあって、マストではない。


実際に出くわした人には気の毒だが、手荷物を持ち去られてしまうのと同様、自己責任。

探すんだったら、手前でやれよって感じ。

にもかかわらず、子供やものが見当たらなくなったのは店の中なんだから、

探すのが当然だって思ってる奴らがとんでもなく多い。


でも、考えてみてくれ。

あんたがものを無くしたり、子供がいなくなったのが、たまたま店の中だったから手伝ってもらえるんだぜ。

これが、街中だったら、あんたのことを手伝ってくれるのは、

本当に心がきれいな人か、警察くらいなもんだから。

それだけ世知辛い世の中で、

自分の不始末を助けてくれる人に感謝こそしても、責任転嫁をするなんて、

どれだけ自分本位なんだかね。


おっと、子供の話をしていたのに、親への愚痴になってしまった。

さてと、未来あるガキ・・・いや、お子様たちが警備員を嫌いにならないよう、

今日もお子様たちを大事に仕事しようかね。

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