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第二章 真琴の寝室
三
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「ああ。志織様」
二階に上がるや否や、清河は志織と出くわした。彼女は自分の部屋から出てきたところだった。
「あら、清河さんだったのね」
「はっ?」
「それで、どうしたの」長い栗色の髪をかき分け、志織は笑顔で清河に問う。ああ、いやと清河は気を取り直すために、軽く咳払いをした。
「戸締りのチェックをと。本日のお仕事も終わりますので」
「もうそんな時間なのね。ありがとう、最後まで精が出るわね。でも、今日は二階は良いわよ、私が見ておくから」
「そんな、志織様のお手を煩わせるなんて」
「良いのよ。全部おまかせしている分、それくらいはやらせて。じゃないと、何もできない人間になっちゃうもの」
にこやかに笑みを浮かべる志織に、清河も笑顔を作り返した。
「とにかく」志織は開かれた扉、室内側のノブに手をかけた。「一階だけをお願い」
「かしこまりました」
「その後は、帰って結構よ。あ、特に声をかけてもらわなくても構わないわ。お疲れ様」
清河は機械的に頭を下げた。彼の様子に満足したのか、志織は自分の部屋の中に引っ込んだ。扉が、今度はしっかりと閉まる。
清河は一人、誰もいない廊下に取り残された。溜息をつく。
清河は志織のことが、どうも好きになれなかった。今は驚く程、性格は軟化したが、それでも結婚前の横柄な態度の彼女の様子を思い返すと、今でも顔が強張ってしまう。
真琴が彼女と再婚したのは、三年も前になる。
真琴の前妻、藍田冬子。彼女は三年半前に亡くなった。当時の真琴の塞ぎ込み様は、尋常じゃなかった。が、その数ヶ月後には、志織との関係が噂されるようになった。彼の心変わりの様は、ポーカーフェイスの清河でも内心驚いたものである。
——真琴様、政略結婚なさるんですって。
志織の旧姓は芳川。同業他社である芳川薬品の社長令嬢である。四年程前から、藍田製薬は業績悪化の一途を辿っていたが、その際手助けのため、勝治と真琴に業務提携の話を持ちかけたのが、彼女の父芳川薬品代表取締役の芳川貴明である。
業務提携の条件は、真琴と志織の結婚だった。
この結婚は、芳川薬品にとっても都合が良かった。藍田製薬若社長の妻に娘を充てることで、トップシェアの藍田製薬と並ぶことができる。誰がどう見ても、両会社にとって旨みのある話。使用人達が下世話に噂話を交わし合うことも、仕方ないとも思えた。
今では社長夫人として、彼女はその地位を確立するに至っている。容姿も艶美、冬子よりも社交的な性格であることも、俗に言えば周りのウケが良かったのだ。
…しかし清河は、未だに彼女を信用できないでいた。それはもしかすると、自分だけが彼女の本性を知っていたからかもしれない。
それを知ったのは、真琴と志織の結婚式を終えた数日後のこと。日課の職務を終えた、まさに今と同じ時間帯だったか。清河は、二階の廊下でばったりと、瑛子に出くわした。
瑛子は泣いていた。長い清らかな黒髪に、整った白い顔。亡き冬子の姿に面影が似てきたなと思いつつ、己の脚にぶつかってきた彼女を清河は支える。彼の姿を見ると、ハッと涙を腕で擦り拭き、明らかな作り笑顔を向けた。
「お嬢様、どうされました」
「な、なんでも、ないの。おやすみ清河さん」
瑛子は強く首を横に振る。会話はそれだけだった。彼女は清河の脇を抜けると、そのまま自分の部屋に俊敏な動きで入っていった。
数秒の間、清河はその場で放心する。そうしてから、瑛子が向かってきた方向へと顔を向けた。そこで彼は体が硬直した。扉が開いていた。開いた扉の隙間に、志織の姿が見えた。暗い室内、無表情に清河を見ていた。
「こんばんは、清河さん」
「え。あ。は、はい。こんばんは」
思わず返事に少し戸惑った覚えがある。志織はその場所から動かない。異質な雰囲気に気圧されつつも、気を取り直し、清河は彼女に尋ねる。
「志織様。お嬢様は…」
「さっきまでここに居たわよ。もう寝る時間だって、飛び出して行っちゃったわ」
「…泣かれていたような」
「あれね。新しくお母さんができて、思わず感極まっちゃったみたいなの。泣く程嬉しかったのかしら」
「嬉し涙、ですか」あれが嬉し涙ではないことは、清河も容易に推測できた。しかしその場で反論はしなかった。というよりも、清河はできなかった。目の前の志織の声色、所作の不穏さから、それをすることが憚られたのである。
「前の母親のことは忘れなさい。私、あの子にそう言ったの」
「えっ…」
唖然とする清河。暗闇の隙間で、志織は手を口に当てて妖しく笑う。「ほら。冬子さんって、なんか暗くて人見知り気質だったじゃない。私、ここ数日で分かったわ。やっぱり人は明るく、社交的に生きないと駄目よ、駄目。とにかく私、そんな…しかも死んだ人と、比べられたくないの。私は彼女と違うもの」
当然至極の如くそう述べる志織に、清河は何も言えなかった。
「とにかく、ね。藍田志織として、これからもっと頑張らないといけないから。清河さんも私のこと、応援してね」
あの、不気味な志織の微笑み。思い出すだけで、清河は未だに鳥肌が立つのだった。
あの日、あの時、志織の部屋で。継母に「昔の母親のことは忘れろ」と言われた瑛子の心境は、どういったものだったのか。当の本人に聞くことは流石に憚られた。
しかしそれから、彼女達の関係には明らかな変化があった。瑛子は志織だけではなく、家族とも、使用人達とも会話をしなくなり、余計に部屋で引き篭るようになった。食事の時間も一人で、使用人の塩原芳美に持って来させる始末。雛子は立腹していたが、志織は反抗期よと笑い、良しとしていた。まるで、互いに顔を合わせたくないかのようにも思えた。
それまでの瑛子は、よく喋る子だった。また、良い意味で庶民らしいところがあった。出生地は藍田家を離れた遠方の地、当時の真琴と冬子の社会的立ち位置は、清河と何ら変わらないが故に、だろうか。学校の授業で何を教わったとか、友人達とのこんな会話をしたとか、清河ら使用人に対して、楽しげに話していたものだ。
ただ、彼女はよく自分の身を憂う発言をした。
「ふと思うんだ。私、この家にとって、要らない存在なんだって」
「何を、仰いますか」
真琴と冬子が共に藍田家にやってきて、半年が経とうとした頃のこと。思えば、瑛子が消極的な言い方をし始めたのも、その頃からだった。
瑛子は教育係の祖母の雛子から厳しい教育をされていた。ダンスにピアノ、家庭教師に料理。学校以外の彼女の日常は、それらに全てが消えた。
しかし彼女はまだ、幼い。少しくらいのわがままは言いたい年頃である。大人の言いぶりを、全てを受け入れるだけの余裕が、彼女にある訳では無いのだ。
「あなたは藍田家の長女よ。いつかあなたを娶る方のために、教養は絶対に必要なの。他の子と同じような生活を求めるのはやめなさい」
辛い、苦しいと訴える瑛子の頬を引っ叩いた雛子は、ぴしゃりとそう告げた。雛子の甘えを許さない性格に、瑛子は対抗するだけのすべを持ち得ていなかった。
「女は清楚でおしとやか、教養があって、男の子を喜ばせられる。そんなものにあたしはなれないし、これっぽっちもなりたくない」
清河が口を挟む間もなく、瑛子は「私、普通になりたい」と呟いた。
「普通、とは?」
「えっと。こんな、家もこんなおっきなものじゃなくて、一戸建てでよくって。あ、小さくてもいいから庭も欲しいかも。犬小屋で芝犬なんて飼ってさ。マメ、なんて名付けちゃったりして。毎朝、学校に行く前の散歩が私の日課なの!」
「それはまた、楽しい日常でございますな」
「でしょ?清河さんもそう思うよね!」
目をキラキラさせ、子どもながらに嫌味無く自らの夢を語る瑛子。それが叶わないと知る清河からみると、彼女の表情がどことなく物悲しげにも見えた。
「いつか、叶うと思うの。ほら、『にんたいはびとく』って、ことわざがあるんでしょ。この前学校の授業で先生が言ってたんだけど」
今は我慢の時で、耐えて耐えて、耐え忍ぶ必要がある。彼女はそう言って笑顔を見せた。
事実その言葉のとおりで、瑛子は気丈な性格をしていた。祖母から厳しくされようとも、三年と半年前に実母の死と直面しても、彼女が涙を見せることは無かった。
しかし清河は見た。瑛子が自分の部屋で一人、泣いていたことを。藍田家の長女として、決して他人の前で涙を見せない。藍田家の長女として、情けない姿は見せられない。そういうことなのだろうか。小学生の身であっても、彼女は大人顔負けの気丈さがあった。
使用人として、この館の主人は勝治であり、息子の真琴である。したがって、清河はその妻である雛子や志織にも従わなければならない。しかし仕事は仕事、己の感情とは別の話である。清河個人としては、この健気な少女に、幸せになってもらいたいものだった。
(…さて)
ふっ、と息を吐くと、清河は体を反転させた。一応、雇い主からの命令である。ひとまずは志織の言うとおり、一階に戻ろう。清河は二階廊下の電気だけを消し、そのまま今登ってきたばかりの階段を降りはじめた。
二階に上がるや否や、清河は志織と出くわした。彼女は自分の部屋から出てきたところだった。
「あら、清河さんだったのね」
「はっ?」
「それで、どうしたの」長い栗色の髪をかき分け、志織は笑顔で清河に問う。ああ、いやと清河は気を取り直すために、軽く咳払いをした。
「戸締りのチェックをと。本日のお仕事も終わりますので」
「もうそんな時間なのね。ありがとう、最後まで精が出るわね。でも、今日は二階は良いわよ、私が見ておくから」
「そんな、志織様のお手を煩わせるなんて」
「良いのよ。全部おまかせしている分、それくらいはやらせて。じゃないと、何もできない人間になっちゃうもの」
にこやかに笑みを浮かべる志織に、清河も笑顔を作り返した。
「とにかく」志織は開かれた扉、室内側のノブに手をかけた。「一階だけをお願い」
「かしこまりました」
「その後は、帰って結構よ。あ、特に声をかけてもらわなくても構わないわ。お疲れ様」
清河は機械的に頭を下げた。彼の様子に満足したのか、志織は自分の部屋の中に引っ込んだ。扉が、今度はしっかりと閉まる。
清河は一人、誰もいない廊下に取り残された。溜息をつく。
清河は志織のことが、どうも好きになれなかった。今は驚く程、性格は軟化したが、それでも結婚前の横柄な態度の彼女の様子を思い返すと、今でも顔が強張ってしまう。
真琴が彼女と再婚したのは、三年も前になる。
真琴の前妻、藍田冬子。彼女は三年半前に亡くなった。当時の真琴の塞ぎ込み様は、尋常じゃなかった。が、その数ヶ月後には、志織との関係が噂されるようになった。彼の心変わりの様は、ポーカーフェイスの清河でも内心驚いたものである。
——真琴様、政略結婚なさるんですって。
志織の旧姓は芳川。同業他社である芳川薬品の社長令嬢である。四年程前から、藍田製薬は業績悪化の一途を辿っていたが、その際手助けのため、勝治と真琴に業務提携の話を持ちかけたのが、彼女の父芳川薬品代表取締役の芳川貴明である。
業務提携の条件は、真琴と志織の結婚だった。
この結婚は、芳川薬品にとっても都合が良かった。藍田製薬若社長の妻に娘を充てることで、トップシェアの藍田製薬と並ぶことができる。誰がどう見ても、両会社にとって旨みのある話。使用人達が下世話に噂話を交わし合うことも、仕方ないとも思えた。
今では社長夫人として、彼女はその地位を確立するに至っている。容姿も艶美、冬子よりも社交的な性格であることも、俗に言えば周りのウケが良かったのだ。
…しかし清河は、未だに彼女を信用できないでいた。それはもしかすると、自分だけが彼女の本性を知っていたからかもしれない。
それを知ったのは、真琴と志織の結婚式を終えた数日後のこと。日課の職務を終えた、まさに今と同じ時間帯だったか。清河は、二階の廊下でばったりと、瑛子に出くわした。
瑛子は泣いていた。長い清らかな黒髪に、整った白い顔。亡き冬子の姿に面影が似てきたなと思いつつ、己の脚にぶつかってきた彼女を清河は支える。彼の姿を見ると、ハッと涙を腕で擦り拭き、明らかな作り笑顔を向けた。
「お嬢様、どうされました」
「な、なんでも、ないの。おやすみ清河さん」
瑛子は強く首を横に振る。会話はそれだけだった。彼女は清河の脇を抜けると、そのまま自分の部屋に俊敏な動きで入っていった。
数秒の間、清河はその場で放心する。そうしてから、瑛子が向かってきた方向へと顔を向けた。そこで彼は体が硬直した。扉が開いていた。開いた扉の隙間に、志織の姿が見えた。暗い室内、無表情に清河を見ていた。
「こんばんは、清河さん」
「え。あ。は、はい。こんばんは」
思わず返事に少し戸惑った覚えがある。志織はその場所から動かない。異質な雰囲気に気圧されつつも、気を取り直し、清河は彼女に尋ねる。
「志織様。お嬢様は…」
「さっきまでここに居たわよ。もう寝る時間だって、飛び出して行っちゃったわ」
「…泣かれていたような」
「あれね。新しくお母さんができて、思わず感極まっちゃったみたいなの。泣く程嬉しかったのかしら」
「嬉し涙、ですか」あれが嬉し涙ではないことは、清河も容易に推測できた。しかしその場で反論はしなかった。というよりも、清河はできなかった。目の前の志織の声色、所作の不穏さから、それをすることが憚られたのである。
「前の母親のことは忘れなさい。私、あの子にそう言ったの」
「えっ…」
唖然とする清河。暗闇の隙間で、志織は手を口に当てて妖しく笑う。「ほら。冬子さんって、なんか暗くて人見知り気質だったじゃない。私、ここ数日で分かったわ。やっぱり人は明るく、社交的に生きないと駄目よ、駄目。とにかく私、そんな…しかも死んだ人と、比べられたくないの。私は彼女と違うもの」
当然至極の如くそう述べる志織に、清河は何も言えなかった。
「とにかく、ね。藍田志織として、これからもっと頑張らないといけないから。清河さんも私のこと、応援してね」
あの、不気味な志織の微笑み。思い出すだけで、清河は未だに鳥肌が立つのだった。
あの日、あの時、志織の部屋で。継母に「昔の母親のことは忘れろ」と言われた瑛子の心境は、どういったものだったのか。当の本人に聞くことは流石に憚られた。
しかしそれから、彼女達の関係には明らかな変化があった。瑛子は志織だけではなく、家族とも、使用人達とも会話をしなくなり、余計に部屋で引き篭るようになった。食事の時間も一人で、使用人の塩原芳美に持って来させる始末。雛子は立腹していたが、志織は反抗期よと笑い、良しとしていた。まるで、互いに顔を合わせたくないかのようにも思えた。
それまでの瑛子は、よく喋る子だった。また、良い意味で庶民らしいところがあった。出生地は藍田家を離れた遠方の地、当時の真琴と冬子の社会的立ち位置は、清河と何ら変わらないが故に、だろうか。学校の授業で何を教わったとか、友人達とのこんな会話をしたとか、清河ら使用人に対して、楽しげに話していたものだ。
ただ、彼女はよく自分の身を憂う発言をした。
「ふと思うんだ。私、この家にとって、要らない存在なんだって」
「何を、仰いますか」
真琴と冬子が共に藍田家にやってきて、半年が経とうとした頃のこと。思えば、瑛子が消極的な言い方をし始めたのも、その頃からだった。
瑛子は教育係の祖母の雛子から厳しい教育をされていた。ダンスにピアノ、家庭教師に料理。学校以外の彼女の日常は、それらに全てが消えた。
しかし彼女はまだ、幼い。少しくらいのわがままは言いたい年頃である。大人の言いぶりを、全てを受け入れるだけの余裕が、彼女にある訳では無いのだ。
「あなたは藍田家の長女よ。いつかあなたを娶る方のために、教養は絶対に必要なの。他の子と同じような生活を求めるのはやめなさい」
辛い、苦しいと訴える瑛子の頬を引っ叩いた雛子は、ぴしゃりとそう告げた。雛子の甘えを許さない性格に、瑛子は対抗するだけのすべを持ち得ていなかった。
「女は清楚でおしとやか、教養があって、男の子を喜ばせられる。そんなものにあたしはなれないし、これっぽっちもなりたくない」
清河が口を挟む間もなく、瑛子は「私、普通になりたい」と呟いた。
「普通、とは?」
「えっと。こんな、家もこんなおっきなものじゃなくて、一戸建てでよくって。あ、小さくてもいいから庭も欲しいかも。犬小屋で芝犬なんて飼ってさ。マメ、なんて名付けちゃったりして。毎朝、学校に行く前の散歩が私の日課なの!」
「それはまた、楽しい日常でございますな」
「でしょ?清河さんもそう思うよね!」
目をキラキラさせ、子どもながらに嫌味無く自らの夢を語る瑛子。それが叶わないと知る清河からみると、彼女の表情がどことなく物悲しげにも見えた。
「いつか、叶うと思うの。ほら、『にんたいはびとく』って、ことわざがあるんでしょ。この前学校の授業で先生が言ってたんだけど」
今は我慢の時で、耐えて耐えて、耐え忍ぶ必要がある。彼女はそう言って笑顔を見せた。
事実その言葉のとおりで、瑛子は気丈な性格をしていた。祖母から厳しくされようとも、三年と半年前に実母の死と直面しても、彼女が涙を見せることは無かった。
しかし清河は見た。瑛子が自分の部屋で一人、泣いていたことを。藍田家の長女として、決して他人の前で涙を見せない。藍田家の長女として、情けない姿は見せられない。そういうことなのだろうか。小学生の身であっても、彼女は大人顔負けの気丈さがあった。
使用人として、この館の主人は勝治であり、息子の真琴である。したがって、清河はその妻である雛子や志織にも従わなければならない。しかし仕事は仕事、己の感情とは別の話である。清河個人としては、この健気な少女に、幸せになってもらいたいものだった。
(…さて)
ふっ、と息を吐くと、清河は体を反転させた。一応、雇い主からの命令である。ひとまずは志織の言うとおり、一階に戻ろう。清河は二階廊下の電気だけを消し、そのまま今登ってきたばかりの階段を降りはじめた。
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