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第16章
つらい現実(4)
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その後も俺は、たくさん話しかけた。
今までの思い出話のことや二人でやりたいことを、次から次へと。
流奈からの返事はないのに不思議と話が尽きることはなくて、まだまだたくさん話していたかった。
やっと気持ちを言えたんだ。
恋人の時間を持てたんだ。
二人きりの時間を大事にしたかった、――限りある時間だからこそ。
「流奈」
言いたいことや伝えたいこと、たくさんあるのに。
時間が経つごとに言葉に詰まって、ただ流奈の手を握りしめるだけ。
両手で包み込むように華奢な手を握り、そっと繋いだ手にキスを落とす。
その後すっと流奈に顔を近づけ、白い額に優しく唇を落とした。
「――ずっと大好きだ、流奈」
伝わった? 俺の気持ち。
どれだけ流奈が好きかってこと、こんなにも特別に想ってるってこと。
そしたら流奈はきっと笑って、「私も大好きだよ」って言ってくれる。
そして俺は、「バーカ」って言ってキスをする。
流奈より俺のほうが好きだ、今もこれからもずっとずっと好きだ。
――俺の、初恋なんだから。
***
その後は時間の流れがとにかく早く感じた。
2回の脳死判定、家族の意思確認、移植希望者――それらがとんとんと進められ、あっという間に手術になった。
俺は手術室に向かう流奈に、「行ってこい」と一言だけ声をかけた。
臓器移植を受ける時、流奈が俺に言ったように、それ以上の言葉なんて必要ない。
頑張ってくる彼女に、頑張れ、なんてことは言わなかったし言いたくなかった。
3、4時間ほど経った頃だろうか。
病室のベッドに横になっているとヘリコプターの音が聞こえ、俺はすぐに窓に駆け寄った。
流奈の臓器を載せただろうヘリコプターがちょうどヘリポートから飛び立つところだった。
今から移植を待っている人達のところへ、流奈の臓器が運ばれていく。
「移植を受ける人、その家族、友達、たくさんの人を救ってこいよ。流奈だからできるんだ」
俺は一人きりの病室でそう言って、流奈を見送った。
またな――そう心の中で呟いて。
臓器摘出後、手術室内で閉胸閉腹されてから病室に運ばれた流奈にはエンゼルケアが施される。
流奈の家族に呼ばれて行くと、綺麗に化粧をしてもらってお洒落な服に身を包んだ彼女がいた。
たくさんの管が外された彼女の顔はとても綺麗で、どこか笑っているふうに見えた。
事故の時の痛々しい傷も化粧で隠され、そのことに安心してるみたいだ。
「ん、可愛いな」
いつもは恥ずかしくて言えなかったことを今日ははっきりと言った。
それほどまでに流奈は可愛くて、まるで寝ているふうにしか見えない。
この言葉を聞いて「ほんとに?」と喜ぶ姿が目に浮かぶけど、そんな日は来ない。
それでも、流奈の笑顔は俺の中にある。
いつだって思い出せるし、これからもずっとずっと想い続ける。
だから、……消えてなくならない。
「流奈、よく頑張ったな」
俺は慣れた手つきで頭を撫で、飽きるほどにたくさん褒めてあげた。
すげえな、偉いな、って。
褒めてもらうのが好きだった君だ、きっと喜んでくれてるだろ?
その後しばらくしてから業者の人が来て、俺は流奈が搬送されていくのをじっと見つめていた。
今までの思い出話のことや二人でやりたいことを、次から次へと。
流奈からの返事はないのに不思議と話が尽きることはなくて、まだまだたくさん話していたかった。
やっと気持ちを言えたんだ。
恋人の時間を持てたんだ。
二人きりの時間を大事にしたかった、――限りある時間だからこそ。
「流奈」
言いたいことや伝えたいこと、たくさんあるのに。
時間が経つごとに言葉に詰まって、ただ流奈の手を握りしめるだけ。
両手で包み込むように華奢な手を握り、そっと繋いだ手にキスを落とす。
その後すっと流奈に顔を近づけ、白い額に優しく唇を落とした。
「――ずっと大好きだ、流奈」
伝わった? 俺の気持ち。
どれだけ流奈が好きかってこと、こんなにも特別に想ってるってこと。
そしたら流奈はきっと笑って、「私も大好きだよ」って言ってくれる。
そして俺は、「バーカ」って言ってキスをする。
流奈より俺のほうが好きだ、今もこれからもずっとずっと好きだ。
――俺の、初恋なんだから。
***
その後は時間の流れがとにかく早く感じた。
2回の脳死判定、家族の意思確認、移植希望者――それらがとんとんと進められ、あっという間に手術になった。
俺は手術室に向かう流奈に、「行ってこい」と一言だけ声をかけた。
臓器移植を受ける時、流奈が俺に言ったように、それ以上の言葉なんて必要ない。
頑張ってくる彼女に、頑張れ、なんてことは言わなかったし言いたくなかった。
3、4時間ほど経った頃だろうか。
病室のベッドに横になっているとヘリコプターの音が聞こえ、俺はすぐに窓に駆け寄った。
流奈の臓器を載せただろうヘリコプターがちょうどヘリポートから飛び立つところだった。
今から移植を待っている人達のところへ、流奈の臓器が運ばれていく。
「移植を受ける人、その家族、友達、たくさんの人を救ってこいよ。流奈だからできるんだ」
俺は一人きりの病室でそう言って、流奈を見送った。
またな――そう心の中で呟いて。
臓器摘出後、手術室内で閉胸閉腹されてから病室に運ばれた流奈にはエンゼルケアが施される。
流奈の家族に呼ばれて行くと、綺麗に化粧をしてもらってお洒落な服に身を包んだ彼女がいた。
たくさんの管が外された彼女の顔はとても綺麗で、どこか笑っているふうに見えた。
事故の時の痛々しい傷も化粧で隠され、そのことに安心してるみたいだ。
「ん、可愛いな」
いつもは恥ずかしくて言えなかったことを今日ははっきりと言った。
それほどまでに流奈は可愛くて、まるで寝ているふうにしか見えない。
この言葉を聞いて「ほんとに?」と喜ぶ姿が目に浮かぶけど、そんな日は来ない。
それでも、流奈の笑顔は俺の中にある。
いつだって思い出せるし、これからもずっとずっと想い続ける。
だから、……消えてなくならない。
「流奈、よく頑張ったな」
俺は慣れた手つきで頭を撫で、飽きるほどにたくさん褒めてあげた。
すげえな、偉いな、って。
褒めてもらうのが好きだった君だ、きっと喜んでくれてるだろ?
その後しばらくしてから業者の人が来て、俺は流奈が搬送されていくのをじっと見つめていた。
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