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第2章
変わった男の子(1)
「ありがとうございましたー」
ドラッグストアで薬をいくつか購入した。
食べたくもないお菓子も何個か買ったのは、ちょっとしたカモフラージュだ。
薬だけを何個か買うのは店員の記憶に残ってしまうような気がして、ちょっとしたことでODに気付かれるんじゃないかと懸念して、そのためだけにお菓子で隠そうとした。
そんなことをしなくても、人は意外と他人に興味はないもので無駄なことかもしれないけど。
「……よかった」
レジ袋に入れられた市販薬を取り出して、それを見るだけでホッと安心した。
買うまでの不安、動悸や息切れは今はもうなくなってしまっていた。
この安心を得るためにもやっぱり、薬を買うことはどうしてもやめられない。
こんな自分はバカだと思うのに。
不安を取り除く違う方法を見つければきっとこんなことをせずに済むのに、それもわからない。
ほんの少しのことが、些細なことが不安を煽って自己肯定感を低くしていく。
自分に自信が持てたら、自分の存在意義を見出すことができたらいいのに。
成績がよかったら。
運動ができたら。
なにか賞をもらえたら。
そしたら私も両親からの愛情をもっと受けることができたのだろうか。
それか……涼夏みたいに、病気だったら。
こんなことを考えるなんて、涼夏だけじゃなく病気の人みんなに失礼だ。
でも、どうしても考えずにはいられないんだ。
家に帰ろうとして石につまづいて、その拍子に手に持っていた薬を落とした。
拾おうとして足で蹴ってしまい、それは遠くのほうへ飛ばされた。
私が拾う前に、同い年くらいの知らない男の子が拾い上げた。
それを見られたところでどこにでもあるただの市販薬だ、変に思われることはない。
なのに、不自然なくらいに動揺してしまって、慌てて彼に駆け寄った。
「あ、あの……それ…」
彼と視線が絡まり合い、ドキリ、とした。
その瞳があまりにも透明で澄んでいて、すべてを見透かされてしまうような気がしたから。
私が隠していること、隠そうとしていることが真っ裸にされるように感じて。
「これ、君の?」
「…は、はい」
彼がその薬箱を渡そうとしてきて、私もそれを受け取ろうと手を差し出すものの、すぐにそれは手の中に落ちてこない。
不思議に思っていると、彼は私の手をじっと見た後で薬箱を渡してくれた。
「…ありがとう、ございます」
お礼を言って帰ろうと背中を向けると、彼に声をかけられて振り向いた。
「ねえ、時間ある?」
「え?」
「暇ならちょっと付き合ってくんない?」
会ったばかりの男の子で仲良くなるつもりなんてないのに、なんでこう言われたのか意味がわからない。
彼が私を気に掛けるようなことなんてなにもないはずなのに、いったいどうして。
「……なんで」
やっとのことで口から出たのがそれで、他にうまく断る言葉が出てこない。
どこへ行くのかもわからないし、この彼が危険な人じゃないという保証もない。
「なにか予定でもあるの?」
「…別にない、けど」
「じゃあいいじゃん。家に帰って薬飲んで吐くくらいなら」
「……え?」
今なんて?
なにも言ってないのに、薬箱を拾っただけなのにどうしてわかるの。
私が日常的にしていることが、きっと帰ってからも衝動的にすることが。
私がなにも言えずにいると彼はニコリと笑って、手を軽く掴んでくる。
「ほら、行くよ!」
「え……ち、ちょっと!」
半ば強引に手を引かれて、やろうと思えば振りほどくこともできたのにそうしなかった。
なぜかはわからないけど、彼に触れられるのは嫌だと思わなかった。
ドラッグストアで薬をいくつか購入した。
食べたくもないお菓子も何個か買ったのは、ちょっとしたカモフラージュだ。
薬だけを何個か買うのは店員の記憶に残ってしまうような気がして、ちょっとしたことでODに気付かれるんじゃないかと懸念して、そのためだけにお菓子で隠そうとした。
そんなことをしなくても、人は意外と他人に興味はないもので無駄なことかもしれないけど。
「……よかった」
レジ袋に入れられた市販薬を取り出して、それを見るだけでホッと安心した。
買うまでの不安、動悸や息切れは今はもうなくなってしまっていた。
この安心を得るためにもやっぱり、薬を買うことはどうしてもやめられない。
こんな自分はバカだと思うのに。
不安を取り除く違う方法を見つければきっとこんなことをせずに済むのに、それもわからない。
ほんの少しのことが、些細なことが不安を煽って自己肯定感を低くしていく。
自分に自信が持てたら、自分の存在意義を見出すことができたらいいのに。
成績がよかったら。
運動ができたら。
なにか賞をもらえたら。
そしたら私も両親からの愛情をもっと受けることができたのだろうか。
それか……涼夏みたいに、病気だったら。
こんなことを考えるなんて、涼夏だけじゃなく病気の人みんなに失礼だ。
でも、どうしても考えずにはいられないんだ。
家に帰ろうとして石につまづいて、その拍子に手に持っていた薬を落とした。
拾おうとして足で蹴ってしまい、それは遠くのほうへ飛ばされた。
私が拾う前に、同い年くらいの知らない男の子が拾い上げた。
それを見られたところでどこにでもあるただの市販薬だ、変に思われることはない。
なのに、不自然なくらいに動揺してしまって、慌てて彼に駆け寄った。
「あ、あの……それ…」
彼と視線が絡まり合い、ドキリ、とした。
その瞳があまりにも透明で澄んでいて、すべてを見透かされてしまうような気がしたから。
私が隠していること、隠そうとしていることが真っ裸にされるように感じて。
「これ、君の?」
「…は、はい」
彼がその薬箱を渡そうとしてきて、私もそれを受け取ろうと手を差し出すものの、すぐにそれは手の中に落ちてこない。
不思議に思っていると、彼は私の手をじっと見た後で薬箱を渡してくれた。
「…ありがとう、ございます」
お礼を言って帰ろうと背中を向けると、彼に声をかけられて振り向いた。
「ねえ、時間ある?」
「え?」
「暇ならちょっと付き合ってくんない?」
会ったばかりの男の子で仲良くなるつもりなんてないのに、なんでこう言われたのか意味がわからない。
彼が私を気に掛けるようなことなんてなにもないはずなのに、いったいどうして。
「……なんで」
やっとのことで口から出たのがそれで、他にうまく断る言葉が出てこない。
どこへ行くのかもわからないし、この彼が危険な人じゃないという保証もない。
「なにか予定でもあるの?」
「…別にない、けど」
「じゃあいいじゃん。家に帰って薬飲んで吐くくらいなら」
「……え?」
今なんて?
なにも言ってないのに、薬箱を拾っただけなのにどうしてわかるの。
私が日常的にしていることが、きっと帰ってからも衝動的にすることが。
私がなにも言えずにいると彼はニコリと笑って、手を軽く掴んでくる。
「ほら、行くよ!」
「え……ち、ちょっと!」
半ば強引に手を引かれて、やろうと思えば振りほどくこともできたのにそうしなかった。
なぜかはわからないけど、彼に触れられるのは嫌だと思わなかった。
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