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第2話
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ラナは生まれながらに耳が聞こえない。
そんなラナの住む世界は厳しい。
大部分のヒトは農業や畜産を生業として生きている。
水は川の水を汲みに行かなければならないし、寒ければ薪を燃やすしかない。
ラナの生まれた村は森の辺りにある。
森には薬草や果物、木の実、薪など生活に必要な物が取れるが、奥には魔物が住んでいる。
ヒトはそれほど強い種族ではないが、鍛えれば武器も使えるし魔法も使える。
魔物に対抗出来るようなヒトは一握りではあるが。
王都や街では、もう少し文化的な生活を送っている。
煉瓦の道もあるし、井戸も作られている。
王を頂点として、貴族が王を支える政治体制を敷いており、法も作られている。
貴族は領主、武官、文官に分かれ領民を支配している。
領地からの税収で貴族の生活や領地運営は賄われている。
ラナの住む国の体制ではあるが、村から出た事が無い彼が知る世界は村の周囲だけだ。
ラナは耳が聞こえないし、内向的だ。
外は怖い。
友達は欲しいが、耳が聞こえないので会話が出来ない。
意思疎通が難しいのだ。
子供は自分と違うものは警戒する。
虐められるのも同情されるのもラナには辛い。
自然と外には自分からは出ないので、体力もない。
体に不自由が有って生まれて来る人はそれなりに居る。
五体満足で生まれてきても、後天的に不自由になる事もある。
しかし、周りの人達に負担をかけているのは事実で、ラナはその点について考えると悲しくなってしまう。
そんなラナに家族は「気にするな、ラナは人の痛みが分かる優しい子に成れば良い」と。
優しい家族に囲まれて、貧しいながらも家族5人で生活している。
祖父シン、父マサは村領主の下で働いている。
祖母シズ、母アケは畑で麦や芋を作って生活を支えている。
「ラナ、今日は薪を拾ってきておくれ」と祖母シズが和やかに言うのを、母アケが手話でつたえてくれる。
父マサと母アケはラナの為に、手の動きで話が出来るように考えてくれた。
決してキチンと体系的に話が出来るわけではないが、それでも物心付いた時から続けていれば、それなりに意思疎通出来る。
(外かぁ、1人じゃ怖いな。あんまり人にも会いたくないし)とラナが思っていると。
「ロキも一緒にだから、大丈夫」と、お見通しのシズの答えをアケが伝える。
ラナは弱気な自分を見透かされ照れながらも『任せて、おばあちゃん』と伝える。
従兄弟のロキは2つ上で、体も大きく面白い。ラナにいろいろな話を伝えて何かと構ってくれる。
両親の考えた手の動きを覚えられたのは、ロキと幼馴染のリアだ。
2人が居るので、ラナはとても救われている。
「ラナ居ますかー?」外の元気な声にアケとシズは顔を上げる。
「リアちゃん、今日も元気ね」とシズが言うとアケも「また遊びに来てくれたのね」と嬉しそうに微笑み、ラナに伝えてくれる。
(リア姉ちゃんだ!でも今日は薪拾いだし、文字の練習は出来ないな)と残念に思っていると、リアが玄関から顔を出す。
『ラナ!今日も読み方教えてもらいに来たよ!』と満面の笑顔で伝えてくる。
リアはひとつ年上だ。
胸まである髪を緩く一纏めにした自然な髪型で素朴な顔ではあるが、笑顔がとても似合う優しい女の子だ。
ラナは村領主の下、文官の手伝いをしているマサから、意思疎通の手段として文字を小さな頃から徹底的に教え込まれている。
決して覚えが良い方では無いが、12歳の今では、父達が持ち帰る仕事の書類も理解出来る程だ。
この世界では、文字をなんとか読めるのは半分くらい、文章を作れるのは更にその半分くらいだ。
この村での識字率は1割くらいだろう。
ラナが聞こえない代わりに必死に手に入れた知識だ。
『今日はロキちゃんと薪拾いに行くから、字のお勉強は出来ないんだ』と伝える。
『あら、そっか~…』と少し上を見ながらも直ぐに『私も薪拾いに行く!』と伝えてきた。
『準備して来るから待ってて』と伝えながら、リアは母と祖母に挨拶らしき口の動きをして、自分の家に走って戻って行った。
読唇術は難しく、まだゆっくりと話してもらってやっと日常で良く使う言葉がなんとかといった所だ。
村の近くの浅い森で危険は殆ど無いとはいえ、しっかりと準備する。
村人の標準装備である布の貫頭衣。
その上に布のマント(四角い布1枚を首に巻くだけ)を纏う。
これで虫対策も出来るし、もしもの時はこれに包まって一晩明かす事も出来る。薄いのでそれ程の効果は無いが、まだ秋なので夜でも凍死は免れるだろう。
草鞋から革の靴に履き替え、外にある竹籠を背負うと、隣にある木の棒を持つ。
棒は杖代わりにすると同時に、武器にも使えるがラナは力が弱いのであまり期待は出来ない。
(ふふ。棒を持つと強くなった気がする)と少し年相応の男の子っぽい事も思っていた。
今日の装備は
木の棒
布の貫頭衣
布のマント
革の靴
竹籠
と、森に行く村人の標準装備だ。
準備の出来たラナは玄関に座ってロキとリアを待つ事にした。
そんなラナの住む世界は厳しい。
大部分のヒトは農業や畜産を生業として生きている。
水は川の水を汲みに行かなければならないし、寒ければ薪を燃やすしかない。
ラナの生まれた村は森の辺りにある。
森には薬草や果物、木の実、薪など生活に必要な物が取れるが、奥には魔物が住んでいる。
ヒトはそれほど強い種族ではないが、鍛えれば武器も使えるし魔法も使える。
魔物に対抗出来るようなヒトは一握りではあるが。
王都や街では、もう少し文化的な生活を送っている。
煉瓦の道もあるし、井戸も作られている。
王を頂点として、貴族が王を支える政治体制を敷いており、法も作られている。
貴族は領主、武官、文官に分かれ領民を支配している。
領地からの税収で貴族の生活や領地運営は賄われている。
ラナの住む国の体制ではあるが、村から出た事が無い彼が知る世界は村の周囲だけだ。
ラナは耳が聞こえないし、内向的だ。
外は怖い。
友達は欲しいが、耳が聞こえないので会話が出来ない。
意思疎通が難しいのだ。
子供は自分と違うものは警戒する。
虐められるのも同情されるのもラナには辛い。
自然と外には自分からは出ないので、体力もない。
体に不自由が有って生まれて来る人はそれなりに居る。
五体満足で生まれてきても、後天的に不自由になる事もある。
しかし、周りの人達に負担をかけているのは事実で、ラナはその点について考えると悲しくなってしまう。
そんなラナに家族は「気にするな、ラナは人の痛みが分かる優しい子に成れば良い」と。
優しい家族に囲まれて、貧しいながらも家族5人で生活している。
祖父シン、父マサは村領主の下で働いている。
祖母シズ、母アケは畑で麦や芋を作って生活を支えている。
「ラナ、今日は薪を拾ってきておくれ」と祖母シズが和やかに言うのを、母アケが手話でつたえてくれる。
父マサと母アケはラナの為に、手の動きで話が出来るように考えてくれた。
決してキチンと体系的に話が出来るわけではないが、それでも物心付いた時から続けていれば、それなりに意思疎通出来る。
(外かぁ、1人じゃ怖いな。あんまり人にも会いたくないし)とラナが思っていると。
「ロキも一緒にだから、大丈夫」と、お見通しのシズの答えをアケが伝える。
ラナは弱気な自分を見透かされ照れながらも『任せて、おばあちゃん』と伝える。
従兄弟のロキは2つ上で、体も大きく面白い。ラナにいろいろな話を伝えて何かと構ってくれる。
両親の考えた手の動きを覚えられたのは、ロキと幼馴染のリアだ。
2人が居るので、ラナはとても救われている。
「ラナ居ますかー?」外の元気な声にアケとシズは顔を上げる。
「リアちゃん、今日も元気ね」とシズが言うとアケも「また遊びに来てくれたのね」と嬉しそうに微笑み、ラナに伝えてくれる。
(リア姉ちゃんだ!でも今日は薪拾いだし、文字の練習は出来ないな)と残念に思っていると、リアが玄関から顔を出す。
『ラナ!今日も読み方教えてもらいに来たよ!』と満面の笑顔で伝えてくる。
リアはひとつ年上だ。
胸まである髪を緩く一纏めにした自然な髪型で素朴な顔ではあるが、笑顔がとても似合う優しい女の子だ。
ラナは村領主の下、文官の手伝いをしているマサから、意思疎通の手段として文字を小さな頃から徹底的に教え込まれている。
決して覚えが良い方では無いが、12歳の今では、父達が持ち帰る仕事の書類も理解出来る程だ。
この世界では、文字をなんとか読めるのは半分くらい、文章を作れるのは更にその半分くらいだ。
この村での識字率は1割くらいだろう。
ラナが聞こえない代わりに必死に手に入れた知識だ。
『今日はロキちゃんと薪拾いに行くから、字のお勉強は出来ないんだ』と伝える。
『あら、そっか~…』と少し上を見ながらも直ぐに『私も薪拾いに行く!』と伝えてきた。
『準備して来るから待ってて』と伝えながら、リアは母と祖母に挨拶らしき口の動きをして、自分の家に走って戻って行った。
読唇術は難しく、まだゆっくりと話してもらってやっと日常で良く使う言葉がなんとかといった所だ。
村の近くの浅い森で危険は殆ど無いとはいえ、しっかりと準備する。
村人の標準装備である布の貫頭衣。
その上に布のマント(四角い布1枚を首に巻くだけ)を纏う。
これで虫対策も出来るし、もしもの時はこれに包まって一晩明かす事も出来る。薄いのでそれ程の効果は無いが、まだ秋なので夜でも凍死は免れるだろう。
草鞋から革の靴に履き替え、外にある竹籠を背負うと、隣にある木の棒を持つ。
棒は杖代わりにすると同時に、武器にも使えるがラナは力が弱いのであまり期待は出来ない。
(ふふ。棒を持つと強くなった気がする)と少し年相応の男の子っぽい事も思っていた。
今日の装備は
木の棒
布の貫頭衣
布のマント
革の靴
竹籠
と、森に行く村人の標準装備だ。
準備の出来たラナは玄関に座ってロキとリアを待つ事にした。
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