逆境からの見習い冒険者

たらも

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第18話

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次の日。
ロキちゃんは丸太みたいな藁の棒を作って持ってきた。

「へへ。俺の力を活かすには得物は大きい方がいいからな」

なるほど。
ロキちゃんは背が高く身体も大きい。
あの藁棒だと間合いも広いし、これは攻めるのも大変だ。

『ラナ。あれってどうやって間合いを詰める?」

「そうだね… 1度振らせてから、何とか避けて懐に入る…とかかな?」

『うーん。そう…だね。力では負けてそうだから速さで翻弄しよっか。負けたくないし、魔力補助使おう!』

「相談は終わったかい、お2人さん? 今日は1人ずつだぜ」

ロキちゃんは棒を構えて待ってる。
良し。リアに良い所見せたいし、僕から行こう。

「僕からいくね。ロキちゃん、よろしくお願いします」

「オッケーだ。来い、ラナ」

改めて相対してみると、ロキちゃんは大きいし間合いが遠い。
ロキちゃんは先に動く気がないのかじっと構えてる。
なら。
僕は魔力を腕と脚に集中させる。
魔力防御で棒と盾を覆う。

準備は出来た。
ロキちゃんが来ないなら、僕から攻める。
まずは左右に揺さぶる。
脇に回り込むように動くけど、ロキちゃんは冷静に僕の動きを見てる。
なら、僕は加速して一気に間合いを詰める。
ロキちゃんの間合いに入った所で直角に右に跳ぶ。
ロキちゃん、ちょっとだけ驚いていたみたいだけど、直ぐに僕に向けて棒を振るう。
わわ。早い
僕は屈んで躱した。
僕の頭の上を通り越した棒を無理矢理止めて、軌道を変えて振り下ろしてきた。

(どうしよう!!)

僕は咄嗟に後ろに蛙跳びで棒から逃れた。
間合いから外れて仕切り直す。

「ラナァァ。昨日みたいにはいかないぜ」

「ロキちゃん、悪い人みたいな顔になってるよ、まったくもう」

でも、これで分かった。
ロキちゃんはゴブリンよりも強い。
武器を振るう力もスピードも違う。
避けて攻撃は難しい。

(これからはロキちゃんの攻撃を避けて攻撃する練習をするとして。今はどうしようかな。今の力でロキちゃんに勝つには)

避け続けるのが難しいなら、受けるしかない。
棒と盾は魔力で補強してある。
腕にも魔法で補助してるし、これなら打ち合えるはず。
僕がロキちゃんの間合いに入ると、すかさず棒を振るってきた。それを後ろに反りながら避けて踏込む。
燕返しに棒が向かってくるけど、勢いがさっきよりは弱い。
盾で受けて、僕の間合いまで詰める。
長い棒が不利になる距離まで近寄って僕は棒を上段に叩きつける。
ロキちゃんは棒を短く持って応戦してきた。

(上手い!)

ロキちゃんは棒の真ん中を持って右に左に振り回す。

(これじゃあ、2本の武器を相手にしてるみたいだ)

僕は盾で受け、棒で払い、ロキちゃんの隙を探す。
体勢を崩させようと頑張るけど、それは向こうも同じだ。
僕達は暫く打ち合ったけど、勝負がつかない。

「ここまでラナがやるとはな。本当に嬉しいぜ」

「まだ終わってないよ、ロキちゃん!」

そう言いながら、僕は棒を頭目掛けて振り下ろす。
ロキちゃんが棒で受けて。
その棒なら手を離して僕の胸倉を掴む。
フワッとした感覚の後に僕は空を見ていた。
投げられた?
頭にコツンとロキちゃんの拳が当たる。

「俺の勝ち」

あ、負け…たんだ。

「ロキちゃん、やっぱり強い!」

「へっへ。でもラナも強くなってて俺も嬉しいぜ」

「お前、昨日より力も速さも上がってたけど、手加減してたって事は無いよな?」

ロキちゃんになら言っても良いよね?
リアを見ると、いたずらっ子みたいに笑ってる。

『教えてあげましょ』

僕もちょっと負けたままは悔しいので、せめてびっくりさせようと思って言った。

「僕達ね、魔法を覚えたんだ」

「は? おい、マジか」

僕とリアはロキちゃんに魔法を使ってみせた。
ロキちゃんは驚いてくれたけどちょっと引いてた。

「どうやって覚えたんだ? てか、何でここまでやってるんだ? 子供の遊びってレベルじゃねーだろ」

僕はちょっと迷ったけど、ロキちゃんに全部話してみた。
僕とリアが一回死んだ事。
巻戻しで2年前に戻った事。
リアが声を代償にして記憶を持ったままの事。
同じ未来を繰り返さない為に強くなろうとしている事。
そして魔法を覚えた事。

ロキちゃんは真剣に聴いてくれた。
いつもはヘラヘラしているのに真面目な顔で考えている。

「2人とも。大変だったな。正直、とても信じられないような話だけどさ。お前ら見てると嘘とも思えない。」

ロキちゃんは少し息を吸って考えを纏めているみたいだったけど、また口を開く。

「俺もお前らの仲間になってやるよ。皆んなを守りたい力って言うなら、数も力だぜ。しかも俺は強いしな」

僕とリアはお互い顔を合わせた。
こんな事言っても誰も信じてくれないだろうって思って誰にも言えなかった。
人に話せて楽になったのと、更に仲間になってくれるって言ってくれた。

「ロキちゃん! ありがとう!」

僕は泣きながらロキちゃんにお礼を言った。
リアはそんな僕を、仕方ないなぁ、みたいな目で優しそうに見てくれてる。

この日から僕達は3人になった。
3人で強くなって、皆んなを守るんだ。

その後、リアとロキちゃんが模擬戦をしたけど、リアが勝っちゃった。
リアの素早さとロキちゃんの丸太みたいな棒は相性が悪いみたい。
1対1だとリアが1番みたい。

僕はもっと強くならなきゃって心に刻んだ。
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