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嫌な臭い
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笙悧は言って、クマのチョコケーキの最後の1匹と、他にケーキを4個、買った。3個と、クマのチョコケーキ1匹とショートケーキ1個で、箱を分けてもらった。
「逆に、何か、申し訳ないな…」
お礼代わりに買ったのではないことを、希更は信じてくれなくて、ぶつぶつ、言い続けていたけれど。
「行ってらっしゃ~い」
希更と巌の子どもの大と花と、預かっている近所の子どもたちと、女子高生たちと、宇宙に見送られて、笙悧と希更は、店を出た。
少し歩いて、駐車場に停められた「柞 楽器店」と「ケーキ屋さん ぽぽんた」と、たんぽぽのイラストが、後ろの荷台に印刷された箱型軽トラックに乗り込む。
「ぽぽんた」という店名が、「たんぽぽ」の、さかさま読みであることを、笙悧は気付いた。
「あなた、北部の人間だったのね!」
車のナビに入力するために、住所を聞かれて、笙悧が答えると、希更は敵を見るような目で見た。
再開発されて、マンションが立ち並び、大型商業施設がある北部と、昔ながらの商店街のアーケードと住宅地が広がる南部。
笙悧は住んでいるマンションのそばの大型商業施設で、何でも買えるので、料理教室に通い始めて、南部へ行くようになったくらいだった。
最初は大型商業施設にある、大手の料理教室に通っていたのだが、αといっしょになることも多く、笙悧は、嫌な臭いに悩んでいた。
たまたま、ネットのクチコミで『バースに配慮したクラス制で、安心して通えます』という評価が付いた個人の料理教室を見かけて、通い始めたのだ。
「北部は、遠いわ…」
線路を越える高架橋の渋滞にハマって、希更は、ため息をついた。
「すみません…」
笙悧は謝った。
徒歩で送ってもらって、駅のぺデストリアン・デッキを渡った方が早かった。
のろのろと、高架橋を車は、赤いテールランプを連ねて、進んで行く。
希更が言い出した。
「一応、宇宙には、話、聞いたんだけど、あいつ、説明、下手すぎてさ。――通りすがりのαに、何か、されたわけじゃないのね?」
「はい…。声をかけられただけです」
でも、もし宇宙が現れなかったら、と思うと、笙悧は、ぞっとする。
「本当のこと、言ってね。Ωが発情してるからって、αに何をされても、仕方ないなんて思わないで。」
希更の言葉に、笙悧は、胸の奥が、ギュッと痛くなった。
希更の言葉は、正論だ。
わざわざ正論を主張しなければならないのは、正しくないことがありふれているからだ。
「本当です。声をかけられただけです。困っていたら、鷹司さんが助けてくれたんです」
「名字で呼ぶと、あの子、テンション、ダダッ下がるから、やめたげて。」
「すみません…」
「何かあったら、警察を、その場で、すぐに呼びなさい。嫌な思いもするけど、その場で、すぐに警察、呼ばなきゃ、証拠も何も、なくなっちゃう」
「はい…」
希更は黙り込み、それから口を開いた。
「この質問は、答えなくてもいいよ。――笙悧くん、αに、ちょっかい、出されたり、よくあったりする?」
「いいえ」
笙悧は答えた。
抑制剤は欠かさず、用量を服用している。定期的に通院もしている。周期的に起こる発情期も、解消できている。
「この質問も、答えなくってもいいよ。――何かあった時に、相談できるひとは、いる?」
希更の質問に、笙悧は、真っ先に、お兄ちゃんが思い浮かんで、答えた。
「います」
「恋人?」
「…………」
単刀直入に聞き返されて、笙悧は――答えられなかった。
「恋人だから、相談できなくなることもあるから、相談先は、他にも作っておいた方がいいよ」
「はい…」
「ごめんね。脅かしすぎだね」
希更は苦笑した。
「人気のない道を、昼間だって、歩いちゃダメだよ。人がいっぱいいる所が、苦手なのかもだけど。」
「…そうですね……」
「とりあえず、アーケード歩いてれば、何かあったら、『助けて~!』って叫べば、宇宙か、うちの旦那、行かす」
「お願いします…」
高架橋を渡ると、どこに車が詰まっていたのか、不思議になるほど、スムーズに進んで、すぐに、マンションの前に着いた。
笙悧はリュックを肩に掛け、ケーキの箱を2つ持って、車を降りた。
「今日は、本当に、いろいろとありがとうございました。宇宙さんにも、お礼を、お伝えください」
「直接、お伝えできるかもね」
希更の不思議な言い方に、笙悧は首を傾げた。
「じゃあね。お買い上げ、ありがとうございました」
希更は、手を振り、車を出した。
笙悧は頭を下げ、顔を上げると、軽トラックが交差点を曲がるまで、見送った。
マンションが立ち並ぶ二車線道路の交差点に、軽トラックは、似合わないと言えば、似合わなかった。
笙悧は家に帰ると、ケーキが3個、入った箱を、ダイニングテーブルに置いた。
「今日のお料理教室、スイーツだったの?」
テレビを見ていた母親に聞かれる。父親は、ケーキの箱をちらりと見て、テレビに目を戻す。
笙悧は、両親に心配をかけたくなかった。
「ちがうよ。帰りに、商店街のケーキ屋さんで、買った」
料理教室を休んだことも言わなかった。
母親はΩで、専業主婦だ。
母親は、Ωは早くにαに番われて、目立たず暮らすことが、幸せだという考えだ。と思う。
それは、とても正しい。
番を持たないΩが、外を出歩けば、今日のような嫌なことが、当たり前に起こる。
笙悧は、ケーキが2個、入った箱の方は持ったままで、自分の部屋へ行った。
照明を点け、学習机の上に、ケーキの箱を置いた。椅子にリュックを置くと、ファスナーを開けて、スマホを取り出し、ファスナーを閉めた。
スマホをポケットに入れ、ケーキの箱を持つと、照明を消し、リビングルームへ戻った。
母親がキッチンで、電子ポットで、お湯を沸かし、並ぶ紅茶の缶を、どれにしようかと選んでいた。
「お兄ちゃんに、ケーキ、渡して来る」
笙悧は言った。
「あなたの分のケーキ、そっち?」
母親に聞かれる。
「うん」
「それで、こっちのケーキ、3個だったのね。琴音が帰って来ないうちに、食べちゃわなきゃ。って、あせっちゃった」
母親は笑う。
そんなことを言って、数が足りなければ、自分は食べずに、琴音に食べさせるくせに。
琴音――妹は、来年、大学受験で、予備校に通っている。
妹は、αだった。
「行ってきます」
「行ってらっしゃい」
「行ってらっしゃい」
笙悧が言うと、母親と、テレビを見ている父親も言った。
笙悧は家を出ると、同じマンションの上の階の、お兄ちゃんの家へ行った。
チャイムを鳴らすと、しばらくして、ドアが開いた。
インターフォンのモニターで、笙悧を見て、ドアを開けてくれたのだ。
「スマホに、ドアキーのアプリ入れたんだから、勝手に入っていいんだよ」
ドアを開けた暖は、毎回、同じことを言う。
嫌な臭いがする。
笙悧は、今、ここで、ケーキの箱を開け、甘い、いい匂いを、胸いっぱいに吸い込みたかった。
「逆に、何か、申し訳ないな…」
お礼代わりに買ったのではないことを、希更は信じてくれなくて、ぶつぶつ、言い続けていたけれど。
「行ってらっしゃ~い」
希更と巌の子どもの大と花と、預かっている近所の子どもたちと、女子高生たちと、宇宙に見送られて、笙悧と希更は、店を出た。
少し歩いて、駐車場に停められた「柞 楽器店」と「ケーキ屋さん ぽぽんた」と、たんぽぽのイラストが、後ろの荷台に印刷された箱型軽トラックに乗り込む。
「ぽぽんた」という店名が、「たんぽぽ」の、さかさま読みであることを、笙悧は気付いた。
「あなた、北部の人間だったのね!」
車のナビに入力するために、住所を聞かれて、笙悧が答えると、希更は敵を見るような目で見た。
再開発されて、マンションが立ち並び、大型商業施設がある北部と、昔ながらの商店街のアーケードと住宅地が広がる南部。
笙悧は住んでいるマンションのそばの大型商業施設で、何でも買えるので、料理教室に通い始めて、南部へ行くようになったくらいだった。
最初は大型商業施設にある、大手の料理教室に通っていたのだが、αといっしょになることも多く、笙悧は、嫌な臭いに悩んでいた。
たまたま、ネットのクチコミで『バースに配慮したクラス制で、安心して通えます』という評価が付いた個人の料理教室を見かけて、通い始めたのだ。
「北部は、遠いわ…」
線路を越える高架橋の渋滞にハマって、希更は、ため息をついた。
「すみません…」
笙悧は謝った。
徒歩で送ってもらって、駅のぺデストリアン・デッキを渡った方が早かった。
のろのろと、高架橋を車は、赤いテールランプを連ねて、進んで行く。
希更が言い出した。
「一応、宇宙には、話、聞いたんだけど、あいつ、説明、下手すぎてさ。――通りすがりのαに、何か、されたわけじゃないのね?」
「はい…。声をかけられただけです」
でも、もし宇宙が現れなかったら、と思うと、笙悧は、ぞっとする。
「本当のこと、言ってね。Ωが発情してるからって、αに何をされても、仕方ないなんて思わないで。」
希更の言葉に、笙悧は、胸の奥が、ギュッと痛くなった。
希更の言葉は、正論だ。
わざわざ正論を主張しなければならないのは、正しくないことがありふれているからだ。
「本当です。声をかけられただけです。困っていたら、鷹司さんが助けてくれたんです」
「名字で呼ぶと、あの子、テンション、ダダッ下がるから、やめたげて。」
「すみません…」
「何かあったら、警察を、その場で、すぐに呼びなさい。嫌な思いもするけど、その場で、すぐに警察、呼ばなきゃ、証拠も何も、なくなっちゃう」
「はい…」
希更は黙り込み、それから口を開いた。
「この質問は、答えなくてもいいよ。――笙悧くん、αに、ちょっかい、出されたり、よくあったりする?」
「いいえ」
笙悧は答えた。
抑制剤は欠かさず、用量を服用している。定期的に通院もしている。周期的に起こる発情期も、解消できている。
「この質問も、答えなくってもいいよ。――何かあった時に、相談できるひとは、いる?」
希更の質問に、笙悧は、真っ先に、お兄ちゃんが思い浮かんで、答えた。
「います」
「恋人?」
「…………」
単刀直入に聞き返されて、笙悧は――答えられなかった。
「恋人だから、相談できなくなることもあるから、相談先は、他にも作っておいた方がいいよ」
「はい…」
「ごめんね。脅かしすぎだね」
希更は苦笑した。
「人気のない道を、昼間だって、歩いちゃダメだよ。人がいっぱいいる所が、苦手なのかもだけど。」
「…そうですね……」
「とりあえず、アーケード歩いてれば、何かあったら、『助けて~!』って叫べば、宇宙か、うちの旦那、行かす」
「お願いします…」
高架橋を渡ると、どこに車が詰まっていたのか、不思議になるほど、スムーズに進んで、すぐに、マンションの前に着いた。
笙悧はリュックを肩に掛け、ケーキの箱を2つ持って、車を降りた。
「今日は、本当に、いろいろとありがとうございました。宇宙さんにも、お礼を、お伝えください」
「直接、お伝えできるかもね」
希更の不思議な言い方に、笙悧は首を傾げた。
「じゃあね。お買い上げ、ありがとうございました」
希更は、手を振り、車を出した。
笙悧は頭を下げ、顔を上げると、軽トラックが交差点を曲がるまで、見送った。
マンションが立ち並ぶ二車線道路の交差点に、軽トラックは、似合わないと言えば、似合わなかった。
笙悧は家に帰ると、ケーキが3個、入った箱を、ダイニングテーブルに置いた。
「今日のお料理教室、スイーツだったの?」
テレビを見ていた母親に聞かれる。父親は、ケーキの箱をちらりと見て、テレビに目を戻す。
笙悧は、両親に心配をかけたくなかった。
「ちがうよ。帰りに、商店街のケーキ屋さんで、買った」
料理教室を休んだことも言わなかった。
母親はΩで、専業主婦だ。
母親は、Ωは早くにαに番われて、目立たず暮らすことが、幸せだという考えだ。と思う。
それは、とても正しい。
番を持たないΩが、外を出歩けば、今日のような嫌なことが、当たり前に起こる。
笙悧は、ケーキが2個、入った箱の方は持ったままで、自分の部屋へ行った。
照明を点け、学習机の上に、ケーキの箱を置いた。椅子にリュックを置くと、ファスナーを開けて、スマホを取り出し、ファスナーを閉めた。
スマホをポケットに入れ、ケーキの箱を持つと、照明を消し、リビングルームへ戻った。
母親がキッチンで、電子ポットで、お湯を沸かし、並ぶ紅茶の缶を、どれにしようかと選んでいた。
「お兄ちゃんに、ケーキ、渡して来る」
笙悧は言った。
「あなたの分のケーキ、そっち?」
母親に聞かれる。
「うん」
「それで、こっちのケーキ、3個だったのね。琴音が帰って来ないうちに、食べちゃわなきゃ。って、あせっちゃった」
母親は笑う。
そんなことを言って、数が足りなければ、自分は食べずに、琴音に食べさせるくせに。
琴音――妹は、来年、大学受験で、予備校に通っている。
妹は、αだった。
「行ってきます」
「行ってらっしゃい」
「行ってらっしゃい」
笙悧が言うと、母親と、テレビを見ている父親も言った。
笙悧は家を出ると、同じマンションの上の階の、お兄ちゃんの家へ行った。
チャイムを鳴らすと、しばらくして、ドアが開いた。
インターフォンのモニターで、笙悧を見て、ドアを開けてくれたのだ。
「スマホに、ドアキーのアプリ入れたんだから、勝手に入っていいんだよ」
ドアを開けた暖は、毎回、同じことを言う。
嫌な臭いがする。
笙悧は、今、ここで、ケーキの箱を開け、甘い、いい匂いを、胸いっぱいに吸い込みたかった。
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