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しおりを挟む席を移動して、そう待たない内にどうやら待ち人が来たらしい。
窓ガラスから見える外に健兄は手を振り掛けると、その人は店に入ってきた。
「いや、待たせな」
待ち人はそう言いながらテーブル席に着いていた。あたしは水とメニューを用意する。
二人は席に着くなり顔を近付けて話をしている。
あの連れも芸能関係なんだろうか?あたしはそんな事を思いながらテーブルに向かった。
「いらっしゃいませ」
「ああ、晶。コイツにもさっき俺が食べたセットを頼むよ」
「オケ」
注文を伝票に書き込むあたしの全身を、その連れの人は堂々とガン見してくる。
あまりにも堂々とし過ぎててかえって視線が気にならない──
なんとも可笑しな話だ…
「君、手脚長いね~…顔も小さいし、身長いくつ?」
「170です」
「なるほど、八・五とは言わず、九等身だな!」
「はは、有り難うございますっ、お礼にお冷サービス!」
なんて言って一口分水を継ぎ足したあたしに健兄が吹き出してその連れの人も笑っている。
取り合えず掴みはオッケ!…と言ったところだろうか?
あたしはカウンターに戻るとマスターに注文の品を伝えた…
「なんだかな…」
厨房に引っ込んだマスターの代わりにあたしはカウンターで洗い物をしながら呟く。
自宅マンションに戻った夏希ちゃんと入れ替わりで、喫茶・和らぎを媒介とし、遠巻きながらここでは夏希ちゃんとの繋がりができつつあった。
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離れてから幾日か経つけど夏希ちゃんからのラブコールは毎日ある。
短期間ではあったけど濃密な時間を過ごしただけに、急に一人に戻るとちょっと淋しい…
しかもあたし、こっちに上京してからは友達らしい友達も居なかったし──
夏希ちゃんじゃないけど、寂しくて死んだらどうしよう…
衝立(ついたて)に隠れたテーブル席では話し込んでいた健兄がまた携帯電話を手に、電話ボックスに駆け込んでいた。
「悪い、あと三人増えるんで席を頼む」
ボックスから出て来るとカウンターまできてそう声を掛ける。
「いいよ、テーブル付けるだけだから」
あたしは隣のテーブル席を移動させて、その席を少し広めにセッティングした。
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