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夏希ちゃんのスペアキーは取り合えず失くさないようにあたしのキーホルダーに着けてある──
バイトに付くとあたしの様子を窺いながら調理するマスターを尻目に混んできたホールを切り盛りする。
そしてバイトを終えた帰り道──
あたしはマンションの前に腕組みで仁王立つ、えらい高身長の影を遠目に見つけて足が立ち竦んだ。
そうだ…
忘れてた──
昔、高校の時に怪我を理由にバスケのレギュラー外されて行方を眩ました後輩を九州まで捜しに行ってボコって連れ帰って来るようなヤツだアイツは──
そのくらい追い掛けることに血をたぎらすヤツだということを
あたしは今っ
思い出した──
「えっ…どうしようっ…電話換えたのマジで失敗いだったかも知れないっ…」
携帯替えたその日にあらわれたのはさすが即、実行型だ。
音信不通になって間違いなくヤツを煽った──
電柱の影に隠れながらあたしはブツブツと暗がりで焦りまくる。
近所のブロック壁を向いて眉を潜め考え込むあたしの肩をぽんっと大きな手が掴む──
「捕まーえーたっ!」
「ひいっ!」
「ひぃ、じゃねえだろお前、やってくれたなこの野郎っ…」
高槻はあたしの肩をガシッと掴む。マンションの前まで引き摺りながらあたしが手にしていた鍵を奪うと慣れた手付きでオートロックを解除した。
「なんで部屋の番号まで知ってんの!?」
マンションを知ってる上に部屋まで知っている──
Why?
驚くあたしに高槻はズボンのポケットから携帯電話のメールを開いて見せた──
送信主に多恵ちゃんの名前。そしてウチのマンションの住所と部屋の番号が記されてある……
「詰が甘いなお前は…」
高槻は勝った、とばかりにニヤニヤしながら我が物顔で部屋の鍵を開けた。
・
「入れよ?」
入れよ!?
あんたのウチじゃないけどっ!?
ドアを開けて中へ顎で促す高槻に一言申したいのを我慢しながらあたしは家に入った──
「お邪魔します」
「──あ、一応言うんだ?へえ…」
「お前俺をなんだと思ってんだ?」
自分家の様にズカズカと入ると思いきや、上がり際に一言声を掛けた高槻に少し感心した。
高槻はソファに腰を下ろして部屋を見渡した。
一帯何しに来たんだろうか──?
高槻がゴソッと動く度にあたしはつい身構える。
「襲わねえって…」
いちいち構えるあたしを呆れ顔で見ながら笑っていた。
「飲み物も何も出んのか?ここは…」
「おいしい水道水ならあるよ」
「美味しくないお茶はないのか?」
「………」
相変わらず負けないヤツだ……。
あたしは早く立ち去る様に祈りながら観念して冷蔵庫を開けた。
「──…っ」
途端に背後に大きな気配を感じる。
「しっかりしてんな中身…」
高槻は冷蔵庫を覗きながらそう言った。
バイトに付くとあたしの様子を窺いながら調理するマスターを尻目に混んできたホールを切り盛りする。
そしてバイトを終えた帰り道──
あたしはマンションの前に腕組みで仁王立つ、えらい高身長の影を遠目に見つけて足が立ち竦んだ。
そうだ…
忘れてた──
昔、高校の時に怪我を理由にバスケのレギュラー外されて行方を眩ました後輩を九州まで捜しに行ってボコって連れ帰って来るようなヤツだアイツは──
そのくらい追い掛けることに血をたぎらすヤツだということを
あたしは今っ
思い出した──
「えっ…どうしようっ…電話換えたのマジで失敗いだったかも知れないっ…」
携帯替えたその日にあらわれたのはさすが即、実行型だ。
音信不通になって間違いなくヤツを煽った──
電柱の影に隠れながらあたしはブツブツと暗がりで焦りまくる。
近所のブロック壁を向いて眉を潜め考え込むあたしの肩をぽんっと大きな手が掴む──
「捕まーえーたっ!」
「ひいっ!」
「ひぃ、じゃねえだろお前、やってくれたなこの野郎っ…」
高槻はあたしの肩をガシッと掴む。マンションの前まで引き摺りながらあたしが手にしていた鍵を奪うと慣れた手付きでオートロックを解除した。
「なんで部屋の番号まで知ってんの!?」
マンションを知ってる上に部屋まで知っている──
Why?
驚くあたしに高槻はズボンのポケットから携帯電話のメールを開いて見せた──
送信主に多恵ちゃんの名前。そしてウチのマンションの住所と部屋の番号が記されてある……
「詰が甘いなお前は…」
高槻は勝った、とばかりにニヤニヤしながら我が物顔で部屋の鍵を開けた。
・
「入れよ?」
入れよ!?
あんたのウチじゃないけどっ!?
ドアを開けて中へ顎で促す高槻に一言申したいのを我慢しながらあたしは家に入った──
「お邪魔します」
「──あ、一応言うんだ?へえ…」
「お前俺をなんだと思ってんだ?」
自分家の様にズカズカと入ると思いきや、上がり際に一言声を掛けた高槻に少し感心した。
高槻はソファに腰を下ろして部屋を見渡した。
一帯何しに来たんだろうか──?
高槻がゴソッと動く度にあたしはつい身構える。
「襲わねえって…」
いちいち構えるあたしを呆れ顔で見ながら笑っていた。
「飲み物も何も出んのか?ここは…」
「おいしい水道水ならあるよ」
「美味しくないお茶はないのか?」
「………」
相変わらず負けないヤツだ……。
あたしは早く立ち去る様に祈りながら観念して冷蔵庫を開けた。
「──…っ」
途端に背後に大きな気配を感じる。
「しっかりしてんな中身…」
高槻は冷蔵庫を覗きながらそう言った。
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